CARS 小児自閉症評定尺度 | 私のお薦め本コーナー 自閉症関連書籍

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自閉症・アスペルガー症候群および関連障害や福祉関係の書籍紹介です by:トチタロ

E..ショプラー、R.J.ライクナー、B.R.ラナー:著 佐々木正美:監訳
岩崎学術出版社 定価:3500 + 税 (1989年5月)


     私のお薦め度:★★★★★


自閉症なのか、あるいはそうではないのか? もし自閉症であったとしたら 重度なのか軽度なのか?


一般の知能検査などでは、なかなかはかれませんね。
それは自閉症というものに発達のかたより・アンバランスがあり、また自閉症としての重度・軽度は知能検査だけでははかれない面があるからだと思います。


この小児自閉症評定尺度:CARSは、自閉症としての診断・判定のためにノースカロライナ大学のTEACCH部によって考え出されたものです。
すでに1971年以来、多くの自閉症児たちの評定に使用され、改訂を重ねてきています。本文にある通り、その信頼性及び妥当性は世界の療育機関において認められるところとなっています。


そして、初版の頃のCARSが、特別の心理検査セッションの中で訓練された診断者によって観察・評価する目的で作られていたのに対し、現在のCARSは医学生や特殊教育教師などでも、正確に使用できるように改訂されています。またその場面も特別なセッションを設定しなくても、ケース記録や教室内での観察、あるいは親からの聞き取りでも正しく評定できるように、15項目が設定されています。


もちろん医学的な診断は児童精神科医などお医者さんしかできませんが、各項目の留意点に気をつけて、客観的な目で観察をすれば、親でもわりに正確な評定ができるということです。


実際に、我が家でも10年ほど前、哲平が自閉症と診断されて間もなく、このCARSを夫婦で相談しながらやってみました。

一人ではヒイキ目で見たり、認めたくなかったりする箇所も、二人でお互いに意見をだしあっているうちに「ん~ん、やっぱりこの項目は軽度より、ちょっと中度の異常に近いから、2.5かな。」などと比較的、客観的にスコアリングできました。

それぞれの項目ごとに「正常範囲」「軽度の異常」「中度の異常」「重度の異常」の症状の具体例が書かれているので、どのあたりにあてはまるかだけをマルをつけていって、最後に合計するだけで結果がでます。


我が家の場合は、「比較的安定して暮らしているので(行動は多動の極みでしたが・・楽しそうに、という意味です(^_^;)・・)、自閉症としては軽度~中度くらいかな?」と思って始めたのですが、スコアリング結果はしっかりと重度 (^_^;)の自閉症でした。


でも、夫婦でやったので、ふんぎりがついて「がんばりましょう」と、スタンスが同じになって結果として良かったと思います。

みなさんもご家庭で試される時は、できればご夫婦で相談しながらスコアをつけてみてください。子どものことを改めて見直す、良い機会にもなると思います。


育てる会のみなさん、評定シートはまだ20数枚残っていますので、ご入用の方は事務局まで・・


CARS(カーズ):THE CHILDHOOD AUTISM RATING SCALE


       (2002.3)


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目次


  日本語版CARSへの序文
  監訳者の序:TEACCHプログラムとCARS
  謝辞


序文


セクション1 CARSの成り立ちとその信頼性・妥当性


  はじめに:小児自閉症評定尺度(CARS)とは


  CARSの成り立ち


  1 CARSと他の診断基準との関係


  2 CARSの長所


  3 15項目の説明


  4 CARSの評定について

     a 信頼性
        1) 内的等質性の信頼性
        2) 評定者間の信頼性
        3) 再テストによる信頼性


     b 妥当性
        1) 基準連関妥当性
        2) 複数条件下でのCARSの妥当性
        3) 他の専門分野の療育従事者によってなされるCARSの評定の妥当性


セクション2 CARSの実施マニュアル


  1 利用者の留意点と利用の仕方


  2 観察方法と評定方法

       1)  人との関係
       2)  模倣
       3)  情緒反応
       4)  身体の使い方
       5)  物の扱い方
       6)  変化への適応
       7)  視覚による反応
       8)  聴覚による反応
       9)  味覚・臭覚・触覚反応とその使い方
       10) 恐れや不安
       11) 言語性のコミュニケーション
       12) 非言語性のコミュニケーション
       13) 活動水準
       14) 知的機能の水準とバランス
       15) 全体的な印象


  3 CARSの得点の意味


 付録:CARS記入の実際例


 文献


 CARS評定シート: 30名 分