原発連休明けの生活(2) 原発の今後




原発は連休開けに少しずつ安定していきます。それは高濃度の瓦れきや水を除去し、少しずつ原発内の放射線量が減っていくからです。 

始末をするためには作業員が入って具体的な作業をしなければならないからです。 

例えば、冷却水の接続やポンプの稼働などが重要な問題ですが、これらも現実的に作業員が現場に入れなければできない問題が多いのが問題です。 

残念ながら現在のところ、原発内の放射線量が高いので作業が少しずつ進むことになると思います。その中には意外な障害物も出てくるので、そのたびに少し遅れるかもしれません。 

東電はこの期間を3ヶ月とみていますが、わたくしたちから見ると、それが3ヶ月でも2ヶ月でも、また6ヶ月かかってもそれほど大きな違いはありません。 

これまで、爆発後の原発からは50万テラベクレルぐらいの放射性物質が放出されたと考えられますが、現在では1日あたり当時の100分の1ぐらいの放射性物質の放出があると考えられます。 

今回の事故では、最初の放出が余りに多かったので、現在のように1日あたり150テラベクレルぐらいの量は「大した量ではない」ということになっていますが、普通の場合には大変な放射性物質の量ということが言えます。 

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つまり今から秋口までの3ヶ月から4ヶ月は福島原発から「普段なら相当の量」の放射性物質が出続けるということを意味しています。 

しかしそれは今まで被爆し多量に比べると少ないという状態であることも覚えておく必要があると思います。 

(福島原発事故の前では多くて)+(福島原発事故の直後から見ると少ない) 

秋口になるとさらに原発は安定してきます。原発内の放射線の強さも大分弱くなってきますので、原発内でまとまった作業ができるようになります。 

この時期には、原発内に残る放射性物質はセシウムやストロンチウムなどのように半減期が30年のものが残るので、それ以降は半減期では放射線は減らず、除染作業によってのみ減らなくなります。 

ともかく、秋口には原発からの放射性物質の放出量をできるだけ少なくするための様々な作業が行われますので、放射線が下がってい来ます。 

それからは10年単位です.

10年ぐらい経つとかなり作業がしやすくなりますので、日本の場合にはそのまま埋めてしまうというより、むしろ解体してまとめでどこかにしまうという方法がとられると考えられます。 

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福島原発の爆発の可能性が減ったので、貯金通帳を持ち歩く必要はありません。 

また、長期化しますので「長期的に生活ができるような体制」を整える必要もあります。1ヶ月や2ヶ月ならかなり無理なこともできますが、1年単位になりますと実際に自分が精神的にも安定した生活していけるような環境を作っていくことが大切です。 

つまり、よほどのことがない限り福島原発が危険な状態になることはありませんから、頭の中から福島原発のことは取り除いてしまい、自分やご家族のことだけに頭を使うという方がよいでしょう。 

また長い期間ではストレスもたまるので楽しい生活を目指すことも大切になると思います。 

政府や東電は福島原発のことを一生懸命やってくれなければいけませんし、メディアは、もしかすると、福島原発のことを詳細に報道するかもしれません。 

しかし、それらはほとんど我々には関係がないことですし、東電の発表した行程の「第1ステップ」が3ヶ月かかろうと6ヶ月になろうと、ほとんど我々には関係のない時期が来たと思ってよいでしょう。 

福島原発は忘れることができます!!  

それで一つ「心の負担」が減ります。やれやれ・・・放射線は怖いのですが、半減期や漏れる期間がありますので、時間が解決してくれます。これまでの我慢が一つ、報いられました。 

ニュースではまだ福島原発のことをするでしょうが、「遠くで起こっていること」ぐらいの気持ちで大丈夫です.

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(注) 福島原発が、再度、爆発する危険性はありますが、それは「日本にある他の原発が地震で壊れる可能性より低い」ということで、私はその意味で心配していません.

つまり、人間のやることですから「完全に安全」というのはなかなか無いのですが、福島原発より、他の原発の方が危険な状態になったので、その点で安心して良いと思います.  

(平成23425日 午前8時 執筆) 

































武田邦彦