彼が中学一年の頃、クラス中の男子が女子のスカートめくりに熱狂していた。
彼も最初の頃は、そのうちに一人だったが、
熱狂の中で彼だけはある事に気づいた。
クラスで・・・いや学年で一番かっこいい男子生徒だけは、
クラス中の男子が熱狂していはスカートめくりに参加してはいなかった。
その時の彼には、その一番かっこいい男子生徒の方が、
スカートめくりに熱狂している男子より、戦略的に正しい様に思えた。
戦略的に正しいとは・・・もちろん、女子にもてるための戦略だが、
授業中は動きの鈍い彼の頭脳だが、この時ばかりは素早く回転し、
その一番かっこいい男子生徒の行為を『戦力的に正しい。』と結論付け、
彼は熱狂的スカートめくりに参加することを取りやめた。
その副作用として、男子に付き合いの悪い奴、と思われはしたが、
コンビニで立ち読みする順番が、週刊ジャンプより、
ホットドックプレスやポパイの方が先になっていた彼にとって、
その種の友情など、愛情に比べればかすみたいな存在だった。
とはいえ、学年で一番かっこいい男子生徒と違って、
凡人の彼にその戦略的正しさの効果など、すぐに出るはずも無かった。
中学を卒業して高校に進学し、
そして大学の受験準備を始めようとしていた頃、
中学1年の時判断し実行した、
その戦略的正しさの効果は現れ始めた。
高校1年から2年になる時のクラス替えで、
中学1年の時同じクラスだった女子と、
再び同じクラスになった。
その中学1年の時同じクラスだった女子は、
中学一年の時彼が取った行動を覚えていた。
そして、昼食の時間に思い出話の1つとして話題にあげた。
それ以降、女子にとって凡人に過ぎなかった彼の好感度は上がり、
彼に中学の時一番かっこよかった男子生徒のイメージに近い、ブランドイメージを植えつけた。
そして、高校生活も終わりに近づいた頃、彼は幸運を勝ち取った。
中学1年の時取った、戦略的に正しい行為によって、
凡人の彼にはもったいないほどの最良の彼女を手に入れ、愛を育んだ。
居酒屋で隣に座る彼は私に
「もうすぐ結婚するんだ。」
と嬉しそうに言った。
私は結婚のお祝いに、彼に酎ハイを一杯おごって外に出た。
おしまい
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