ふらふら6
思い切って声をかけたバーベキューはとても楽しい時間だった。
一年ぶりに会う、今、目の前でほふく前進をしている酔っぱらいのもと彼女の美幸。
昔はこんなに酔っぱらう事はなかったからちょっとびっくりしているが、まぁ彼女との失恋のおかげで、出不精になっていたのでなんか今は心の中のつっかえていたモノがすこしとれたような気がしている。
宏「温司さん」
温司「なに?」
宏「温司さん、美幸と付き合ってたんですよね」
温司「えっ」
宏「美幸が付き合い始めたころ、寝ぼけて『アツシ』って言ったことがあって」
温司「オレ以外のアツシかもよ」
宏「いや、今日で分かりました。今回急に誘われて、来る途中もそわそわしていて、来てからもああでしょ」
温司「ああって?」
宏「あんな酔っぱらい方するの初めてだから」
温司「確かにあんな酔い方しないよな」
宏「なんか、飲みたい気分なんだと思います」
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少し離れたところで、寝ている優里さんに向かって
美幸「優里、上等兵大丈夫でありますか?優里上等兵!」
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宏「なんで別れたんですか」
温司「聞いてないの?」
宏「話したがらないから」
温司「じゃあ、オレが話したら怒られちゃうよ。でも、まぁ、オレが駄目だったんだろうね。うんオレが駄目だった」
宏「そうですか。今でも美幸の事好きですか?」
温司「えっ」
宏「美幸の事好きですか?」
正直分からなかった。
オレは美幸の事忘れてはいなかったけど、この感情は昔の好きではないような気はした。
だけど、今日会ってみて、なんなんだろう、あれ?なんなんだろう。
不思議な気持ちだった。
温司「わかんないや」
宏「・・・・・」
温司「わかんないよ。いきなり俺の前からいなくなって連絡先も変わってて、話も何にも出来ないままだったんだから。忘れよう忘れようとしても忘れられなくて・・・。でいきなりブログにメッセージ送ってきて、彼氏と行きますって。でも断ればいいのに、オレも場所教えちゃってさ」
宏「温司さん・・・」
温司「でも今は、幸せにやってるんだろ。いいじゃないそれで、今は今、過去は過去。なんかはっきりさせないと都合悪い?」
宏「・・・・、あの俺、次の美幸の誕生日に」
その時、晴美さんの声がした。
晴美「ちょっと美幸さん大丈夫?」
美幸「気持ち悪い・・・」
晴美「ちょっと」
宏「あっ、大丈夫です。温司さん水あります?」
温司「あっ、これ」
宏「美幸飲み過ぎだよ」
美幸「ごめん」
宏君は美幸を抱えるとトイレの方に向かっていった
でも嫉妬なんてなかった。
それにすがすがしいぐらいだった。
ふとオレは思った。美幸もきっと結婚しようと思っているのだ。
そして、けじめをつけるべくオレに会いに来たんだと思う。
だけど、相変わらずへそ曲がりな彼女は素直になれずに、言いだせないまま悪酔いしてしまったんだろう。
網の上では、やっと一段落して自分の為に焼き出した肉が焦げていた。
その肉をゴミ袋に入れ、網を油で拭いていると何か自分の焦げ付いてこびりついていたモノが落ちていくような気がした。
その時、ミンミンが急に頭上を指さして悲鳴をあげた
ミンミン「チョギ!チョギ!きゃぁぁぁ」
その方向を見た時みんなはびっくりした。こんなことってあるんだろうか・・・。