ー嘆きの煙ー
紫陽花の艶良き葉上滑る
雨粒は
日の射さぬ 今日は
鈍く 光らぬ…
スモーキークオーツの粒の如く
溢れ落ち アスファルトに
割れた
六月の憂鬱を雨のせいにばかり
している わたし…
読みかけの小説の
どうにも納得のいかぬ終わり方に
くちびるを噛み
自分に投影している
ああ…
そればかりでもないだろう
止まぬ頭痛と苦い薬
もう 飲まないでくれと
肉体の悲鳴…
わたしは わたしを駆逐していく
人生の大半を食い尽くした
わたしは 青虫だ…
いつまでも 蝶はおろか…
蛹にすらなれない…
見上げた天に厚い雲のカーテン
祈る光が
見えない…
水溜りに 黒い
わたしの影が 映る…
いつになったら…
…羽根が生えるの?