春に読みたい詩集 鍾山即事 漢詩
澗水無聲繞竹流
竹西花草弄春柔
芽檐相對坐終日
一鳥不鳴山更幽
谷川の水は静かに竹の林を縫って流れ
竹林の西側は花や草が柔らかな春の日差しに
戯れている
茅葺きの檐の下に座り込むこと日がな一日
鳥の一声なく山はますます静かになる…
王 安石 鍾山即事より
芭蕉が
古池や 蛙飛び込む水の音
と 静寂を詠んだ…
季節は少しずれているかもしれないが 王安石は穀雨の時季 丁度今くらいのタイミング。
芭蕉は更に季節を進めたほどか?
いずれも静寂を表している…
王安石が 鳥の一声も無い山の静寂で春の深まりと静まりを表現する
芭蕉は 静寂の中に たった一匹蛙が池に飛び込むことにより ピンと張り詰めたような季節の静寂の薄い膜が破られる…
でもたった今までまるで音はなかったのだ…
はてさて 季節は心にくいまでに 晩春から初夏にかけての扱いづらい 気難しく美しい季節の沈黙を扱った素晴らしい詩句だ。