最近、オラック値についての問い合わせが多いので少し触れてみます。


ORAC(=Oxygen Radical Absorbance Capacity/活性酸素吸収能力)とは、1992年に米国農務省(USDA)と国立老化研究所(National Institute on Aging)によって開発された抗酸化力の指標で、食べ物に含まれるカテキン、フラボノイド、カロチノイドなどの総合的な抗酸化物質の能力を分析し、その機能を数値化したものです。


私たちは呼吸によって酸素を取り込み、生きるためのエネルギーを作っていますがその酸素の一部は活性酸素となって体内に進入する細菌や異物を分解する一方で強力な活性酸素は細胞に損傷を与えてしまいます。


それを防ぐために各細胞には抗酸化酵素が存在しますが加齢と共にその作用は弱まり、更に飲酒・喫煙・ストレス・紫外線・添加物や生活環境などの影響によって糖尿病、高血圧などの生活習慣病やしわ、シミなどの老化現象が表れやすくなります。


そこで抗酸化を促すビタミンEやビタミンCなどの栄養素は欠かすことが出来ませんが、昨今は植物に含まれる色素、苦味、渋み成分などのポリフェノールが注目されていて、特にコーヒーのクロロゲン酸やフルーツの各種色素そしてナッツには抗酸化ミネラルやビタミンEも豊富に含まれています。


またSODSuper Oxide Dismutase/スーパーオキシドジスムターゼ=活性酸素抑制効果酵素)作用食品として様々な健康補助食品が販売されています。


これらの食品の是非に関しては言及しませんが、2008715日付けの米科学誌「サイエンス」に東京大学食品工学研究室と米ウィスコンシン大学、フロリダ大学の研究チームによって老化のメカニズムを解明した研究発表がありました。


活性酸素は体を酸化させて遺伝子や細胞膜を傷付ける有害物質で、従来はこの活性酸素が細胞内小器官のミトコンドリアを攻撃して老化を促すと考えられていましたが、この研究発表によると、活性酸素が老化に関与しているのではなく、ミトコンドリアにあるDNAの損傷が蓄積されることによって老化が進むメカニズムを解明したと言うことです。


この研究チームはマウスを使った実験で、活性酸素がミトコンドリアに障害を与えているとの見方を否定していますが、私は、ミトコンドリアDNAに活性酸素が損傷を与え続けることによってその損傷が蓄積されて老化が進むのだと考えていましたので現段階ではこの研究について不明な点が残っており、詳しく確認したいと共に更なる研究発表を期待しています。


今後の更なる研究で老化の抑制方法が開発されればアンチエイジング対策も発展するかも知れません。