【詭弁とデータと愛情を】コドモダマシ:パオロ・マッツァリーノ
- コドモダマシ―ほろ苦教育劇場/パオロ マッツァリーノ
- ¥1,470
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こんにちは。
最近パオロさんの著作に、マッツアリーノ(まったりーと)はまっている
TMstarです。(え?ダジャレはいいから?)
今日の1冊は、パオロ・マッツァリーノさんの「コドモダマシ」です。
夏休みも終わろうとしているところに新型インフルエンザの流行で
学級閉鎖が相次いでいるって
40日間もお休みもらっておいて、さらに1週間休みって
どんだけ休むつもりだ、オマイラ!
さて古今東西、3歳~小学生ぐらいの年齢の子供っていうのは
なぜなに星人になるもので
オトナも答えに窮するぐらいの質問をします。
「○○ってなに?」「なんで○○しなきゃだめなの?」
最近はテレビやインターネットの影響もあなどれません。
「テレビでは○○っていってたよ」
あー、うるさいうるさい!あっちいけ、このやろう。
ガキはおとなしく学校の宿題でもやってろ。
なーんて言っていては
子供は将来ぐれて親を殴り殺しちゃうか、やっぱりぐれてニートになってしまいます。
どっちにしろいいことはありませんね。
ラクをするために一時的にかわしたとしても、時間が経ってこういう結末じゃ、お父さんもうかばれないってもんですよ。
ここはひとつ「データ」と「詭弁」をつかって、コドモをだまくらかしてしまいましょう。
あ、もちろん「愛情」もわすれずに。
本書は、質問したがりのお子様とそのお父さんのコミュニケーションを中心に(ほかにもお母さん、おじいちゃん、隣のおじさんなど)
超短編小説(4~5P程度)形式で、仕事とは勉強とはお金とは・・・etcについて語っています。
時には「正論」をはき、時には「詭弁」を弄し、時には「ホンネ」を語って
お父さんは子供の疑問に答えていきます。
サブタイトルが「ほろ苦劇場」となっているように
ヒューマニズムもたっぷりと含ませているのでリアルに感じます。
人はいつから正論だけでは生きていけないことに気がつくのでしょう・・・。
本書の素晴らしいところは
各お話の終わりに参考文献がのっているのですが
文章だけでなく写真付きで、我々が興味をもてばすぐ手に取れるような書籍を主に紹介している点です。(一部統計資料などもあり)
非常に読みやすく、おかしく、考えさせられ
最後には「ほろり」とする1冊です。
とくに小学生ぐらいのお子さんをお持ちのお父さんにはオススメ。
ぜひご一読ください。
【気づきポイント】
ナンバーワンにならなくていいっていうのはヤセ我慢で、みんな本心では、なりたくてしょうがないんだよ。(中略)一番になれないとくやしいもんだから、うちは小型車では一番だ、うちは軽自動車では一番だ、アジアで一番、町内で一番・・・・・・って、自分が一番になれるような都合のいいものさしを持ち出してナンバーワンになるんだ(P56)
山に登ったら、降りなきゃいけないだろ。全力を尽くして頂上に登ったはいいが、そこで体力を使い果たして死んじゃったら、元も子もないよな。大学受験なんてのは、長い人生から見れば、ちょっとした山登りに過ぎないんだよ(P81)
昭和24年の調査では、6歳くらいで多くのこどもがナイフで鉛筆を削ることができています。幼い頃から普通に刃物を使っていたからこそでしょう。不器用は単なる経験不足。やらせない、教えないオトナの責任です(P94)
わかる、わかるよキミの気持ち。そうだよねぇ。こどものころはみんな感想文なんか書くのいやがってるんです。そのクセ、オトナになると、頼まれもしないのにブログで本や映画の感想ばっかり書きたがるんだから、わからない、わからないよブロガーの気持ち(P102)
歴史の教え方が根本的に間違ってるんだ。これまで学校で教えてきたのは、いわば偉人の歴史だ。そうじゃなくて、ダメな庶民がいかに頑張って歴史を生き抜いてきたかを教えるべきだ。庶民を歴史の主人公に据えないかぎり、ガキが親や年寄りを尊敬するようになるわけがない(P115)
お金を稼ぐのはとても大事なことだから、おろそかにしてはいけないけど、お金もうけを人生の目標にするようなオトナには、なってほしくないんだ(P126)
言葉が通じないってだけで、ガイジンにはナニもいえなくなるなんて、日本人はおかしいヨ。大事なのは、アナタいけない、ボク怒ってる、だからそれやめて、って相手に伝えることでしょ。英会話をすることじゃないでしょ(P143)
つまり一旗あげるには、故郷より豊かな場所の存在が欠かせないってことですよね。でも日本が世界有数の豊かな国になっちゃったいま、日本の若者が単純作業や肉体労働で一旗揚げられれる場所がどこにあります?もう、そんな約束の地はないんです(P162)
こどもを危険から遠ざけるのはいいことだけど、それは同時に、危険を学ぶ機会も奪ってしまうってことですよね(P168)
使えないものを、どうしたら使えるようにできるか、一見、役に立ちそうにないものを、どうやったら役に立つようにできるかを考えて、実行できたら、おもしろいことになりそうだろ。それができるのが、一流のオトナだね(P180)
こどものイジメってのはな、親でも先生でも近所のおじさんでもいいが、オトナが介入しないかぎり、絶対解決しないんだよ(P192)
なにかがないってことを想像するのは、意外に難しい(P203)
人生が本番なら、学校はリハーサルの場だろ。学校でまちがいや失敗をどんどんさせて免疫をつけるべきなんだ。それなのに日本の学校はまちがうことを許さないし、恥だと植えつけるんだよな(P209)
だからなんでも適当にしとけというんだ。悩みは半分解決すればいい。百パーの解決を望むから、努力が苦しみになっちまうんだ(P227)
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