29日 その2 | tmpブログ

29日 その2

0129  #ー2

本日2回目のブログは先程と同じギブソン CS 製 J-45 のチューンナップ作業。

1枚目の写真:ブリッジの台座に段差加工を施す為の治具をセットしたショット。

2枚目がブリッジ台座の段差加工を終えた時点でのショット。




この後、ブリッジの内部に接ぎ木加工して弦のボールエンドの留る位置を変更し、同時に弦にグランドアースが落ちる様にします。

従来のブリッジ台座構造ではサドルが突き出ている同じ面から弦がセットされ、真後ろからサドルに弦は延びて行きますのでサドルには前倒しの力が加わり、同時に弦の張力そのものは弦を引っ張る事に多く消費されます。更に弦のボールエンド位置はブリッジ裏面のすぐ側に留まっている為にブリッジ周辺の木部をめくり上げる力が働きトップの変形を招いています。

ワタシの構造設計では段差構造により、ピン位置がサドルの突き出ているブリッジトップから一段低い位置から弦が出て来る為に弦の張力がサドルを下に押し上げる方向によりエネルギーが使われますので音が分離し力強い鳴りを引き出せる上に弦自体に余計に架かっていた張力が弱まる為にベンドし易く表現力も増加します。

更に変更されたボールエンド位置の影響で従来よりもより深い位置にボールエンドが留まりますので裏側からトップ材をめくり上げる力が以前よりも軽減しますのでトップの変形を起こさせにくいのです。

こうしたノウハウは皆さんもご存知の様にワタシはパテント申請してませんから以前からオープンノウハウにしていますので誰でも採用出来る有効手段なのですが、国内のメーカーさんの多くは例の如く、マーティン社やギブソン社その他ブランドメーカーが採用しない限りやらない様子。

これって昔の日本人のスタイルなんですね。
そもそも外国製品の模倣からスタートしてきた国内産業ですから外国のブランドメーカーの真似はすぐするけど国内のオリジナル仕様にはあまり興味を示さないのです。ユーザーさんもその点は殆ど変わらないですけどね。
ギブソン、フェンダーがやってる事はなんでも受け入れるけど国内から生まれたノウハウには興味を示さない。CFSもそうですしね。

これがスポーツの世界では日本の選手をみんなで応援するんだけど、ギター関係は海外の老舗ブランドのファンばかり多い。これって我々日本人の技術者にとっては恥ですよね。
日本人に日本のメーカーが応援されないなんてね。悲しいにも程が有る。

それを「いつかひっくり返してやる!」ってのが若かりし頃のワタシの目標でした。
今のワタシは「技術面ではとっくにひっくり返したよ」って正直思ってます。
但し、実情は日本人の意識は殆ど変わってない。外国製大好き。

まあ、ワタシのやるべき事は全てやって来ましたから最後は笑顔で引退します。(^0^)