住み慣れた街の様に | tmpブログ

住み慣れた街の様に

11/24  ヨコハマ 快晴の日曜日

今日は休日ですので t.m.p のお仕事自体は周囲に配慮してお休みしています。

でもね、腕は絶えず磨かなくちゃいけませんからね、先日一流の奏者さんの演奏を目の前で聴いて学んだ感覚を作りかけの楽器に再導入する作業をしています。
よくしたもんで、以前より成長出来ると作業に迷いが無くなって行きます。

まるで長年住み慣れた我が街を歩く様に迷い無くサクサク進める様になっていくのです。
そこまでの感覚が身に付いていないと、まるで知らない街を歩いている様な心もとなさがあったのですが、それが消えて行きます。 どんな仕事でもそんなモンでしょう、きっと。

写真のビオラは何度も手を入れながら試験を繰り返して来た個体で、この個体での試験は終了したので預け先のビオラ弾きさんから引上げたものです。
表面のニス塗りもチャレンジのつもりで画家のセザンヌがビオラを静物画として描いた時に、たぶんこんな色使いで描くんではないだろうかと想像したものです。

過去にこんな色合いの楽器は無かったはずですし、自分ではとても気に入っていたのですが、このビオラを販売するにあたって オーソドックスな色合いの仕上げじゃないとクラッシック系のお客さんには受け入れられそうも無い気がしますので、一旦表面のニスを落としてブラウン系のニスを塗り直しています。
古典楽器の世界では数百年もの間、使われているニスの色合いは数パターンに決まってますので、このビオラの様なオリジナリティは商売においては邪魔となりそうです。
特に日本人は個性的なものは多くの支持者が居ないと避けたり、選ばれない傾向が強いですからねえ。
その反面、大した楽器じゃないのにヨーロッパ製と聞くと高額な値段をポン!とはたいて購入したりする。なんだかんだ言っても日本人は未だに保守派ブランド志向なんですわ。 

まあ、そんなのもひっくるめて、楽器は作るのもタイヘンですが売る方もかなり難しそうです。
ですから、あくまでヴァイオリン属の楽器は基本的に向学の為に追求して行きます。

ワタシに仕事を下さる方が「あの人はヴァイオリンの世界でだってりっぱに通用する技術を持ってるんだから」と安心して依頼を下さる様になればいいと思っています。
全ては我が身のためではなくて、皆さんの為に技を磨くのです。





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