2015・7・20  豪雨の白毛門 | 高橋 丈のブログ

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山を登るということ、辛い時の方が多いかも知れません。
でも、頂上で交わす握手や笑顔は代えがたいものが有ります。

日帰りハイキング、夏山縦走、雪の山、
色んな山について、ここで紹介したいと思っています。

7月20日は梅雨明けと同時に谷川山塊も猛烈な暑さでした。
登り始めからの樹林の中の急登が続き、水分補給と塩分補給をこまめに取りながら、汗が目に入ったりで、辛い夏山登山となりました。

お客様の足取りも重そうで、時折足を止めて呼吸を整えるようなことを繰り返しての時間が続きます。


隣の白毛門沢では「タラタラのセン」を登っている姿も見られ、実に羨ましかったです。


こちらの尾根は蒸し暑い、こんな根っこの急登でした。


熱中症などを気にしながら、休み休み登りやっと松の木沢の頭へ到着した頃は、対岸の谷川もこんな感じの雨雲が立ち込めていました。

(左雪渓はマチガ沢、中央は一の倉沢、そして右が幽の沢です。あの時もきっと何人もクライマーが岩に取りついていたのでしょう。)

私達は記念写真を撮りすぐ下山に掛りました。

東の空にはこの雲行きで、今でも降って来そうな状態です。
・・・がしかし、疲れ気味のお客様の足取りははかどらず。


4時頃に大きな雷鳴とフードを打つような大粒の雨がやって来ました。


「雨と雷の音に動揺しないで、しっかり一歩一歩下ってください。」

返事は有りません。聞こえなかったのかも知れません。


登山道は川になって泥水がどんどん流れて行ってます。
足は泥まみれ、フードにはバタバタ雨粒が当たり、ゴゴゴォ~ンと雷鳴が頭の上で唸ってます。


ピカッと光ってから間もなくで雷鳴です。
確実に遠くないです。
危険な状況!



焦る心と裏腹に下山速度はゆっくりゆっくり・・・


やっと登山口手前で東黒沢の増水です。


これはいけません。


周囲を川下からも

(上の2枚の写真は雨が止んだ頃撮影したものです。)

下の写真はネットからお借りしたものです。朝はこんな感じでした。


「まだ5時半です。
白毛門沢と東黒沢に降った雨が個々に集まって来ています。
しかし、いずれの沢も日帰り可能な沢ですので、水はすぐ引けるでしょう。」

そんな話を沢登パーティーの方と話して、私達は腹をっくくってツエルト内でコーヒー飲んだり行動食食べたりでした。
ツエルトの屋根に溜まった雨水をコッフェルでひとすくい、インスタントコーヒーと砂糖でアイスコーヒー出来上がり。

どうぞ、・・・とお客様に差し出した雨水で作ったのも美味しかったですね。


1時間半もの間待ち続けて、すこしづつ水位は下がって来ています。
そこで向こう岸に居て、橋の上にてこちらの様子を見に来た沢登りパーティーの先着隊の方々と協力して、渡渉することにしました。


投げたロープ先端を赤い欄干にしっかりボーラインノットで結んでくれました。
此方側は太い流木にセットして、固定ロープ完了。

これなら水流に向かって斜めに渡渉できます。
7人の渡渉待ちの方々を2人セットで渡渉。私は立木でバックアップです。
流木と石の中間目指して川へ入って行きました。

私のお客様が写真流木手前でバランスを失いかけましたが、沢の人に支えて頂き、回復です。
「良かった~!」

お客様にとっては腰あたりまで水位は来てました。
バックアップロープを持つ手も力が入ります。

そうやって全員渡り切ったら、7時過ぎでした。
暗くなった駐車場でロープとカラビナ類の確認です。
「沢の皆さん、ありがとうございました。」


お客様を引き寄せてくださって有難うございました。
こちら側に居た女性沢師の人、頼もしかったで~す。

帰り道は土砂崩れで通行止め。
谷川ベースプラザで炊き出しのおにぎりとうどん、そしてコーヒーやジュース。
また、寝具まで用意してくださり、本当に助かりました。
たぶんスタッフの皆さんは寝ずの体制でした。


「本当に、有難うございました。お世話になりました。」


翌朝6時半、交通止め解除となりました。
土砂で全壊した車の横を通過してきました。


今回も色々ありました。
熱中症の高校生、こむら返りの単独男性、そして雷雨、渡渉、土砂崩れ・・・
登山は危険なエリアへ入り込むことですね。


つくづく感じました。


でもそれが楽しいのですよね。