2015・3・15 谷川岳 東尾根 単独 | 高橋 丈のブログ

高橋 丈のブログ

山を登るということ、辛い時の方が多いかも知れません。
でも、頂上で交わす握手や笑顔は代えがたいものが有ります。

日帰りハイキング、夏山縦走、雪の山、
色んな山について、ここで紹介したいと思っています。

天候を心配しながら、朝4時近くにベースプラザ出発。
湯檜曽川の川の音と自分の足音しか聞こえない中、頼りないヘッドランプの灯りを頼りに旧道を歩く。
旧道と言っても雪で埋まっていて、時折バラんスを取るような所もあってアイゼンを付けたくなるような場所もありました。。
1時間20分で一の倉沢へ到着です。
思った以上に時間が掛ってしまいました。

一の倉沢はうっすらと明るくなった程度で、カメラにとっては灯りがまだ足りないようでした。

テールリッジ取り付きには二人の姿が点として見えていました。
例年だと3月下旬、群馬県の条例にて入山禁止時期に成るため、今回がラストチャンスかもしれないですね。

私は彼らを見送ってすぐ左にある一の沢をつめます。
ここでアイゼンを着け、ひたすらシンセンのコルへと目指します。
歩いては足を止め、歩いては一呼吸の繰り返しで、中々到着しません。

そうこうしていると、一の沢左方ルンゼが見えて来ました。
まるで八ヶ岳のジョーゴ沢の様な混みようでした。
後続のクライマーも左方ルンゼへ入って行ってました。

写真が今一つはっきりしていませんが、雪ノ下はブルーアイスが不気味に冷酷な感じで輝いていました。

更に高度を上げるとシンセン岩峰が近くなり、到着して振り返ると・・・
一の沢左稜が見えています。


拡大です。

岩頭の上の雪には、トレースがちゃんと着いていて、左稜経由東尾根と言う経路を取ったに違いありません。

シンセンのコルへ到着した頃から天候が悪化してきて、大分不安になってました。
下りたくない一の沢、でも今なら引き返せる。
単独は何かと弱気になるものです。

でも、今日は天候は高気圧の真下に成るため、また周囲の低気圧との気圧差も少ないので、良くなるはず・・・と自分に言い聞かせて、コルから足をまえに進める。

第二岩峰は数メートルですが、夏は人がすっぽり入ってしまうルンゼ状ですが、今日は雪で埋まり、雪壁となっていました。
丁度先行者が登っていますね。ちゃんとロープは付けていました。

左の雪壁は柔らかな雪、先行者の足跡で少し硬くなった部分にピッケルを打ち込み、木の根にピックを引っ掛けて登り上げる。
ここで落ちると一の沢を真っ逆さまに落ちてゆきます。

単独はロープで確保してくれる人が居ないので気がゆるめないです。
何とか登り上げて、200~300mの雪壁へとなりました。


雪壁を見上げると雪煙をあげてます。

この上が「観倉台」と呼ばれている所です。
夏は一休みする場所なんですが・・・
昔仲間はそこで逆立ちした思い出があります。

先行の人達が付けたトレースというか足跡は本当に有り難いものです。
独りでラッセルして登り上げるのは3倍以上のエネルギーが必要じゃないですかね。 
 

雪壁を登り上げると幅70センチほどの雪のナイフリッジが10~20m位有りました。
しかし、この雪のナイフリッジを最初に歩いた方は緊張を強いられたのではないかと思います。両側も谷底へ真っ逆さまですからね。  
そこが終わった所で、先行者に先へ勧められたため、先へ進む。
すれ違いも危ないです。
そっと足を出して抜けてきました。
後ろを振り返ってみると、こんな感じでした。

雪壁の後は雪庇が張り出した雪稜です。
ピッケルを雪面に刺してバランスを崩さないように歩くと・・・グズッと少し足元の雪が崩れて、ヒヤッとしたことが2回程ありました。
それはほんの10~20㎝なんでしょうが予想に反したことはやはりぞっとします。
落ちたくないですから・・・。

その頃から青空が出て来ました。
やっぱり、今日はいい日になった。
風も弱い。

そしたらパ~っと周囲が見えました。

ルートが見えて来ました。

そして、先行グループに追いつきました。

中々の天気で良かったです。


今日は単独ですので、写真を撮りたいときに自由に撮れるのでラッキー!
上の写真で、左がトマの耳の頂上です。
中央上部がオキの耳の頂上です。

安心はしてられません。
この先に第一岩峰の岩場が有ります。

振り返るとこんな景色です。

本当に雪稜ですね。
振り返ったまま見とれていると、フラッとしそうでした。

急峻なそして、グズグズな雪稜を下ると核心の第二岩峰です。

第二岩峰下についてで気が付いたのですが、知り合いのクライマーが二人来てました。
小休止しているところでした。
知り合いと出会って少し緊張した気分がほぐれた気がしました。
岩は高さ4~5m位Ⅲ級程度ですが、アイゼン履いてますので難しさが上がります。

60代と見える男性の方も、手こずってましたが、登り切りました。
頑張ってますね~。

休憩中の写真です。
頂上にうっすらと人影が見えます。

反対は一ノ倉側の景色です。

恐ろしい景色です。

ところで、昨年の写真を取り出して見ました。
昨年は同じ時期に西黒尾根を登って撮った写真です。
矢印の所に第二岩峰はあります。多分です。
今そこで順番待ちの状態です。

昨年の写真東尾根のクライマーです。


そうこうしていると・・・
私の番です。
ピッケルを右手にもって左手で岩をホールド。
少し体を引き上げて、草にピックを打ち込みます。
ピッケルに少しだけ体重を掛けて、体勢を整えてから、岩角にピッケルをひっ掛けて体を持ち上げて、更に上に見える草にぐさっとピッケルを打ち込みます。
手ごたえあり、ほぼ体重を掛けて、また足場を整えると、ガリガリっとアイゼンの音がします。
何とか落ちないで登れました。
その上も不安定な場所で、左手をこぶしで2~3回雪にパンチ!
その穴が20cm位空いたので、拳を入れてホールドです。
この方法は結構役立ちます。

後ろを振り返ると・・・

そして・・・

立ち止まっては分厚い手袋でカシャリとやります。

残るは雪壁の嫌な50m、いや70m、そんなになかったかも知れませんが長いトラバースです。
落下すればマチガ沢へ真っ逆さま。
上は山頂です。
そこについた大きな雪庇、温度も大分上昇してます。
慎重にかつスピーディに・・・
どうぞ雪庇が落下しないように・・・

そして抜けました。
先行していた知り合いの方は、私を待っていてくれ、握手です。
嬉しい瞬間でした。


一応ピークハントしました。

記念写真です。

今日は日曜でしたので沢山の人で賑わってました。


下山は天神尾根です。

気を抜いてのんびり下山です。


熊穴沢の避難小屋を通り過ぎて休憩です。

谷川岳!
いつみても綺麗ですね、
右へ下っているのが西黒尾根です。

そう言えば・・・・
お腹が空いて来ました。
朝3時半に500kCalのカップ麺、登りながら490kalのパン2個と行動食少々しか食べてません。  
つい、ポケットに入れた菓子パンを、時々かじる程度になってします。
此処で大休止です。
西黒尾根を眺めながら濃い~コーヒーに砂糖たっぷり入れて・・・
イタリア人みたいにカップ持って小指は立てませんが・・・

その後思い出の天神スキー場です。
今年も皆さんとの雪トレ、私もお客様も頑張りました。

尻制動で遊んでいる人です。

良いですね!

ロープウエイ駅についたら13時半、
朝4時から13時半まで9時間半の旅でした。

反省もあります。
★軽量化も良いですが食事はたんまり持参しまないといけないですね。
ちゃんと非常食は2日分持参しましたが、もったいないので開封しませんでした。

★2月になって風邪ひいてから殆んど外に出ないまま、ここに来たので足に効きました。
第一岩峰付近で、膝上が若干痙攣気味となり、今の現状を考えて、すぐ漢方薬のツムラ68番の芍薬甘草湯を2袋飲みました。
すぐ効いた感じでした。
仕事でお客さんに時々差し上げてましたが、まさか自分で飲むとは・・・
でもあって良かったです。

日頃の足トレ大切ですね。・・・私の課題です。