御名残四月大歌舞伎

  ティンク の 覚え書き-1004歌舞伎座1

御名残木挽闇爭
(おなごりこびきのだんまり)


悪七兵衛景清 / 三津五郎
典侍の局 / 芝 雀
工藤祐経 / 染五郎
曽我十郎 / 菊之助
曽我五郎 / 海老蔵
鬼王新左衛門 / 獅 童
小林朝比奈 / 勘太郎
片貝姫 / 七之助
半沢民部 / 團 蔵
秩父庄司重忠 / 松 緑
大磯の虎 / 孝太郎
小林舞鶴 / 時 蔵

もう出演者の名を見るだけでお腹いっぱい?の並びな若手な面々
幕が開きせり上がっての登場は 若さ余って?キラキラ輝いてます 

だんまりといえ皆さんに少しずつセリフがあるわけで
現歌舞伎座でその最後の舞台で
染五郎さんのお声を聞くことが出来て何よりうれしい
演目発表時 ええ~だんまり~ orz
お声が聞けない~と思いましたもの(笑)
さすがにそれは無く

舞台面はキラキラしていても
どこにおいでになるかはすぐわかります(笑)
勘?匂い?(・・・そんな訳ないか)

染五郎さんそろそろ祐経もお似合いになってきたなぁって
(偉そうにスミマセン )
時蔵さんの舞鶴も凛としてお上品ながら
“やっとことっちゃうんとこな”で
“おお~恥ずかし”がとってもカワゆらし♪
七之助さんの片貝姫ホントお人形さんのよう
三津五郎さんの花道引っ込みはさすがでありました

一点集中と言え時蔵さんも観たかったので
一番上手と一番下手を観るのに大変(笑)

普通“曽我対面”では祐経が兄弟に狩場手形を与える
今回は 狩場の絵図面
= 3年後の新しい歌舞伎座の設計図
鳳凰が晴海ヶ浜に舞い降りる夢を見たという
頼朝公の命により 舞台造営の奉行を担う祐経を
仇と狙う兄弟が対面 役目を果たした上でなら
討たれましょうとの祐経 何んとも粋な設定替えなこと

3年後のあらたなる歌舞伎座で
この続きが観る事が出来たなら
・・・そんな夢さえも与えてくれる一幕でした

しろさん発案?の どのお人形になさいますか?
( ↑ わかる方にはわかる) は言い得て妙です(笑)
精巧なフィギュア造って頂きたいほど
美しく煌びやかな舞台面でした
歌舞伎座と言う名のドールハウスに全部並べたい


  ティンク の 覚え書き-1004歌舞伎座7


一谷嫩軍記
熊谷陣屋 (くまがいじんや)


熊谷直実 / 吉右衛門
白毫弥陀六 / 富十郎
藤の方 / 魁 春
梶原平次景高 / 由次郎
堤軍次 / 歌 昇
源義経 / 梅 玉
相 模 / 藤十郎

何度か拝見した演目ですが
これ結構好きな役者さんでなければ
睡魔が襲ってくる可能性が大きいのも確か
全編通して悲痛でもあるし
最初の花道の出からして既に話は重い

見せ場のひとつでもある“敦盛の最期”を物語る場面
まだまだ観る方(私)に解釈する技量も足りませんので
言葉足らず理解不足ではありますが
それでも吉右衛門さんの熊谷の語りは
戦の場が敦盛が熊谷が目前に現れる 

“一枝を伐らば一指を剪るべし”
と書かれた札を手にしての“制札の見得”も
その書いてあることの重さをも感じさせる

最後幕外引っ込み 花道での
“十六年はひと昔 夢だ~夢だ”で
吉右衛門さんの目には汗とも涙ともとれる光るもの
陣太鼓に無条件に反射してしまい
くッと表情が一瞬険しくなり武将の心が見え隠れ
そうするもすぐに再び無常の心に戻る下り
それまでの人生が一瞬(ではないけれど)にして
裸の一個の人間としてそこに存在しているよう
直実の心情が痛くて涙  

熊谷の妻相模に対する表情も忘れられません
とてもやさしい目で包み込んでいるような時がある
でもそれは相模の背中に注がれるもので
決して目を合わすものではないところがまたよいのです

藤十郎さんの相模 好きですね~
熊谷が惚れただけの事はあります(笑)
熊谷と共に翻弄される哀しい女性ですが
武将の妻らしく毅然とした所と
息子(小次郎)が心配でしょうがない
母の顔もきちんと持っていて
かと思えば (イヤホンでも少し言ってましたが)
あなた昔私に惚れたでしょう?
そこのところどうなのよ的なのもちょっとあったり

吉右衛門さんと藤十郎さんの間には
熊谷と相模の間に存在するであろう空気感が
そのままあった気がします

以前は芝翫さんで拝見したのだったかな
どちらも捨てがたい~

いつぞやか富十郎さんを
かっこいい~ と思った最初のお役が
陣屋の弥陀六だったような記憶

しかし自分の君主の為に自分の子を身替りにする
そんな理不尽な事 今の世ではありえない
熊谷と相模の悲しみや辛さに
少しでも共感(というのかどうか)出来てしまう
これってやっぱり日本人だからなのでしょうか?

来月は染五郎さんが初役でなさる直実
ほうおうインタビューや製作会見を拝見しても
憧れが強くそれを演る感激を隠せぬ反面 並々ならぬお心構え
どうみせて下さるのか楽しみにしています
とはいえ・・・吉右衛門さんでこれだけ語っておいて
来月 果たして書くことが出来るのか・・・わたし?



連獅子 (れんじし)

狂言師後に親獅子の精 / 勘三郎
狂言師後に仔獅子の精 / 勘太郎
狂言師後に仔獅子の精 / 七之助
僧蓮念 / 橋之助
僧遍念 / 扇 雀

始まる前から客席の雰囲気というか
意気込み?というかが違うのですよね~
期待度満々!って感じ(笑)
それに応えるかのようなお三人さんの獅子

七之助さんは女形でしか拝見した事がなく
狂言師姿が何だかとても新鮮でした

花道で仔獅子二人が跳躍する場面
飛び散る汗~ が手に取るように 目
引っ被りそうでしたが まだまだ美しい部類の汗ですから OK?
キラキラ汗が美しく見える間は飛び散らせていいのです(笑)!
って誰かが言ってた 

今回中村屋さんの連獅子を観て お家によって?
毛の振り方というか廻し方というかが違うのだな~と感じたり 

最後は客席と舞台がひとつになっていたように思います


  ティンク の 覚え書き-1004歌舞伎座6


・・・其の2へ続く