久しぶりにディープな陸上の話題を。
全国陸上競技愛好会という会がありまして、私も大先輩の薦めで会員になって
おりますが、この会はWEBサイトも存在しません。
その全国陸上競技愛好会が創立50周年を迎えたとのことで、先日、一冊の冊子が
届きました。「歴代記録集」ということで、日本歴代300傑&パフォーマンス100傑、
世界歴代300傑&パフォーマンス100傑が収録されていました。これは陸上マニア
には垂涎ものの超一級の資料です。
以前は陸上専門誌が年に一回発売している記録集計号でもパフォーマンスリスト
は掲載されていましたが、諸事情により近年はパフォーマンスリストが掲載されなく
なっていましたので、久しぶりにパフォーマンスリストを目にしました。
単純に自己記録を並べただけの歴代順位と異なり、パフォーマンスリストは奥行きを
感じられて良いです。
ということで、2012年12月31日時点の日本パフォーマンス100傑のデータを分析
してみました。(オリンピック実施個人種目に限る)
男子(2012年12月31日時点)
種目 日本記録 100位 最大占有者と占有回数
100m(10.00 伊東浩司) 10.21 【朝原 宣治(歴代2位:10.02) 39】
200m(20.03 末續慎吾) 20.61 【同左 28】
400m(44.78 高野進) 45.84 【同左 27】
800m(1.46.16 横田真人) 1.48.27 【同左 33】
1500m(3.37.42 小林史和) 3.42.20 【同左 27】
5000m(13.13.20 松宮隆行) 13.32.45 【高岡寿成(歴代2位:13.13.40) 23】
10000m(27.35.09 高岡寿成) 27.59.31 【同左 7】
マラソン(2:06:16 高岡寿成) 2.09.35 【中山竹通(歴代16位:2.08.15)&高岡寿成 5】
110mH(13.39 谷川聡) 13.67 【内藤真人(歴代2位:13.43) 52】
400mH(47.89 為末大) 49.00 【同左 34】
3000mSC(8.18.93 岩水嘉孝) 8.33.78 【同左 27】
20kmW(1.19.29 柳沢哲) 1.22.51 【藤沢勇(歴代4位:1.20.12) 12】
50kmW(3.40.12 山崎勇喜) 4.00.14 【今村文男(歴代5位:3.49.38) 18】
走高跳(2.33 醍醐直幸) 2.24 【吉田孝久(歴代3位:2.31) 26】
棒高跳(5.83 澤野大地) 5.52 【同左 75】
走幅跳(8.25 森長正樹) 7.93 【同左 27】
三段跳(17.15 山下訓史) 16.49 【同左 29】
砲丸投(18.64 山田壮太郎) 17.73 【村川洋平(歴代4位:18.43) 28】
円盤投(60.22 川崎清貴) 55.82 【畑山茂雄(歴代2位:60.20) 68】
ハンマー投(84.86 室伏広治) 77.10 【同左 100】
やり投(87.60 溝口和洋) 78.86 【村上幸史(歴代3位:83.95) 36】
十種競技(8073 右代啓祐) 7467 【金子宗弘(歴代2位:7995) 16】
青字が日本記録、ピンク字がパフォーマンス100位記録、そして赤字がパフォーマンス
100傑における最大占有者と占有回数(占有率)です。
たとえば男子100mは日本記録は伊東浩司選手の10秒00で、パフォーマンス100位記録
が10秒21、そして最大占有者は日本歴代2位の自己記録を持つ朝原宣治選手で100傑の
うち39個を占めており39%の占有率ということです。
日本記録保持者がそのまま最大占有者である種目は22種目中11種目。残り半数は
日本記録保持者ではない選手が最大占有者です。
日本記録保持者はその種目の歴史上、最高記録をマークした選手ですが、最大占有者は、
その種目の歴史上、長きにわたって第一人者であった選手と言えると思います。
占有率のベスト3は、
(1)ハンマー投 室伏広治選手 100%
(2)棒高跳 澤野大地選手 75%
(3)円盤投 畑山茂雄選手 68%
次点 110mH 内藤真人選手 52%
室伏選手の100%というのは、ありえない記録としか言いようがないです。室伏選手の
日本記録を脅かす選手どころか、パフォーマンス100位記録を脅かす選手すら存在
しない空前絶後の独壇場となっています。
上記の4種目のみ占有率が5割を超えています。
反対に占有率のワースト3は、
(1)マラソン 中山竹通選手&高岡寿成選手 5%
(2)10000m 高岡寿成選手 7%
(3)20kmW 藤沢勇選手 12%
次点 十種競技 金子宗弘選手 16%
やはり、出場できる試合回数が必然的に少ない長距離&混成が占有率が低いようです。
特にマラソンと10000mは顕著ですね。マラソンはもしかしたら10年後には、あの公務員
ランナーが記録を塗り替えている気もしますが・・・
次回、余力があれば日本女子編を分析してみます。