川内優輝選手の「神」練習 | 計測工房社長・藤井拓也のブログ

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マラソン大会などのスポーツイベントのタイム計測のプロフェッショナル、株式会社 計測工房の社長である藤井拓也のブログ。

本日は陸上の話題。
スポーツナビの記事に「川内優輝を強くした5つのマイルール」という記事が掲載
されましたが、これは長距離ランナーにとって示唆に富んでいます。→こちら

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2013年1月の埼玉県駅伝での川内選手。


あらかじめ申し上げておきますが、川内選手には川内選手のやり方があって、
それが万人に100%通じるわけではないことは百も承知です。

ですが、私自身かつては長距離ランナーだった経験と照らし合わせると、実に
示唆に富んでいるので紹介したいと思います。

記事では川内選手のトレーニング方針として5つ挙げています。
(1)オーバートレーニングはしない・・・多くの選手は練習をし過ぎている。
(2)メリハリをつけて練習する・・・多くの選手にはメリハリが足りない。
(3)マラソン実戦主義・・・多くの選手はレースに出なさ過ぎ。
(4)流しをやらずにバネをためる・・・多くの選手が流しをやり過ぎてバネのためがない。
(5)1部練習が基本・・・合宿以外では1部練習にすべき。

この5つ、いずれも「いわゆる実業団や大学の長距離チームで慣例となっている
練習方針に真っ向から反対して
」います。

そしてかつての私自身も、この川内選手の正反対のことを全てやってきました


月間1000kmという練習量をこなし、毎日2部練習をおこない、気が付けばオーバー
トレーニングに陥り、結果として私は強くなることはできませんでした。
なんとも耳の痛い話です。

それにしても川内選手は強くなるために、冷徹に、合理的に、自身の頭で考えて
この境地に達したと思われますが、私のような「凡人ランナー」からすればそれは
「神」の領域です。

かつての私も「強くなりたい」という思いは川内選手のそれと何ら変わらないもの
だったはずですが、その思いは「とにかく人よりも練習する、ひたすら練習する」という
方向にしか向きませんでした。「トップ選手が月間1000km走るなら自分も走らなけ
れば」という観念、いつしかレースで結果を残すための練習ではなく、月間1000kmを
走るための練習に趣旨がすり替わっていました。
同じような経験を持つ長距離ランナーも多いと思います。とにかく長距離ランナーは
練習をしないと気が済まない人が多いです。

それを凌駕して「練習をし過ぎない」という境地に達するのはやはり「神」としか思え
ません。とても同じ長距離ランナーとは思えません。だからこそ川内選手はかつての
日本人選手が誰もなし得なかったような強さを手に入れつつあるのでしょう。



最後に繰り返しますが、川内選手には川内選手のやり方があって、それが万人に
100%通じるわけではないことは百も承知です。
ですが、私自身かつては長距離ランナーだった経験と照らし合わせると、実に
示唆に富んでいたのでした。


そしてこの話題は、「常識を疑って、自分で考えると、突き抜けた結果が出せる」
という事例として陸上以外のあらゆることにも通じるのかも知れませんね。