猫ひろし選手は4年後のリオ五輪を目指せるか | 計測工房社長・藤井拓也のブログ

計測工房社長・藤井拓也のブログ

マラソン大会などのスポーツイベントのタイム計測のプロフェッショナル、株式会社 計測工房の社長である藤井拓也のブログ。

今夏のロンドン五輪にカンボジア代表として男子マラソン出場が有力視されていた
猫ひろし 選手が、最終的には国際陸連の判断で出場NGという結論に至りました。
国際陸連の規定では、国籍取得後1年が経過していない場合は、
(1)連続した1年の居住実績、(2)IAAF理事会による特例承認、のいずれかが必要で、
猫選手はどちらも満たしていないとのことです。

本件について、その是非に意見するつもりは毛頭ありません。私が考察してみるのは
猫選手は4年後のリオデジャネイロ五輪を目指せるかです。4年後であれば、今回の
国籍問題もルール的には全く問題はありません。あとは実力がどうかでしょう。


猫選手は現在34歳ですから4年後は38歳になります。
38歳と聞くと、マラソン選手としてはピークを越えた年齢のような印象もありますが、
実際のところ過去には、1984年のロス五輪の男子マラソンで優勝したポルトガルの
ロペス選手は37歳でしたし、2008年の北京五輪の女子マラソンで優勝したルーマニア
のトメスク選手は38歳でした。38歳という年齢は必ずしも不利とは言えないでしょう。

しかも猫選手は本格的な競技歴の始まりが30歳を過ぎてからなので、いわゆる
競技者的消耗度はまだまだ低いと思います。ということで4年後の38歳は問題ないと
思います。

さて、あとはどこまで記録を更新できるかですが、現在の猫選手のマラソンベストが
2時間30分26秒、10km(ロード)は33分0秒です。個人的な推測ですが、2時間27~28分
まではすぐにでも到達できるでしょう。今回のロンドン五輪代表の座をめぐってクローズ
アップされたカンボジアのヘム・ブンティン 選手のベスト2時間23分29秒ぐらいまでは
行ける気がします。

ただし、ブンティン選手も4年後はさらに伸びている可能性が大です。現在26歳ですから
4年後でも30歳。マラソンベストは先述の2時間23分29秒ですが、5000mでも14分24秒71の
自己ベストを持っています。この5000mの基礎スピードからすると、マラソンで将来、
2時間15~18分ぐらいは可能でしょう。今夏のロンドン五輪の場合、男子マラソンの参加
標準記録は、A標準2時間15分、B標準2時間18分だったので、もし4年後も標準記録が
同じだとして、ブンティン選手が2時間18分を突破したら、その時いくら猫選手が2時間23分
ぐらいを出しても猫選手の出場はかないません。

次の4年間で猫選手が2時間23分にとどまらず、2時間20分を突破して、さらに18分、15分・・・、
と記録を更新していけるのか、それは私にもまったくわかりません。
30歳を過ぎてから本格的な競技を始めてわずか4年で2時間30分26秒まで記録を伸ばして
きたこと自体がかなり常識外れであり、次の4年間も引き続き注目したいと思います。