陸上選手のサングラス考察 | 計測工房社長・藤井拓也のブログ

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マラソン大会などのスポーツイベントのタイム計測のプロフェッショナル、株式会社 計測工房の社長である藤井拓也のブログ。

昨日、ツイッター上で陸上競技ライターの寺田辰朗さん が、現在開催中の
水泳(競泳)の日本選手権を見て、以下のようなツイートを展開されていました。

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水泳の日本選手権、選手の待機部屋までカメラが入っていた。陸上では見たこと
がない。選手が歓迎しているとは思えないから、水連が選手たちを説得したんだ
ろうな。そこを見せれば視聴者が感情移入しやすくなるから、と。視聴率が気になる。

競泳は競技中の顔(表情)が見えない競技。黒いゴーグルもしているから、元から
視聴者が感情移入しにくいと思う。だから選手紹介とか、あそこまでサービスするの
だろう。その点、陸上競技は顔を見せられるんだけど…。

陸上競技では最近は、サングラスをかける選手が多くなっている。人気ということを
考えたら明らかにマイナス。マラソンや駅伝で20人の先頭集団全員がサングラスを
していたら、視聴者は「え?」と思うだろう。実際、かけないように指導しているチームもある。

(以上、寺田さんのツイッターより転載)
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この件、意外と気になったので個人的な考察を記してみます。なお、下記に掲載する
写真は全て計測工房にてタイム計測させていただいた大会で撮影したものです。


サングラスですが、たしかに最近の長距離選手は良く着用しています。
もちろん一番の理由は、日差しの強いコンディションにおいてまぶしさを軽減するという
ことでしょう。風の強い日であれば砂埃なども軽減できるかも知れません。
また、集中力が増すという効果も聞いたことがあります。

しかし、サングラスはファッションアイテムという側面もあります。私はかつて自分自身も
長距離ランナーでしたし、サングラスも使ったことがありますが、独断で思うに、
陸上選手のサングラス着用理由はオシャレ80%、機能20%といったところではない
でしょうか。水泳(競泳)のゴーグルは機能100%です。これを着用しないと競技に
ならないというマストアイテムです。陸上では仮に「サングラス禁止ルール」が出来ても、
実際のところ大きな影響は少ない気がします。

1つの証拠として、高校生、中学生の大会ではサングラスを着用する選手はほとんど
見かけません。これは推測にすぎませんが、もし高校生、中学生がサングラスを着用
していると、高体連、中体連、あるいは教師、保護者から、「教育的観点から好ましくない」
という指導(?)が出るような気がします。サングラスの機能的な効果よりも、ファッション
アイテムとしての側面が強いという判断からです。

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全国中学駅伝。誰ひとりとしてサングラスは着用していません。


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千葉県高校駅伝。やはりサングラスは誰も着用していません。



そして、高校生まではサングラスを着用していないのに、大学生、社会人になると
サングラスを着用する選手が続出します。


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箱根駅伝予選会。サングラス選手が目立ちます。


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九州学生駅伝。やはりサングラスが目立ちます。


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神戸全日本女子ハーフマラソン。サングラス目出ちます。


もし、サングラスが機能的にみてパフォーマンス向上に寄与する面が圧倒的で
あるならば、高校生、中学生でも着用しないのは不自然です。

それが高校を卒業して大学、社会人になるや否やサングラスに走る。もうこれは、
学ランに坊主頭にだった高校生が、大学に行ってオシャレな服装を着こなし、
髪の毛を長髪にしてみたり、茶髪にしてみたり、女子だったら化粧に目覚め、
ネイルアートに目覚め・・・、に近いレベルのような気がします。

とすれば、機能面もさることながら、ファッションアイテムとしてのサングラスという
のが最も納得できる理由です。現役選手というのは年代的には大学生~30代です。
つまり若者です。ファッションに最も多感な年代です。
「トップアスリートが着用しているからマネしたい」、「カッコいいから」、「強そうに
見えるから」というような理由が実は大半で、機能面は二の次というのが本音のところ
ではないでしょうか。というのが私的考察の結論なのですが。

あとは、ビジネス的な背景でしょうか。当然、メーカーさんにしてみればどんどん
売れてほしいわけですから、まずはトップ選手に無償提供して使ってもらう。トップ選手
が使用すれば、それをマネしようとして他の選手にも売れて広まるという古典的な図式
だと思います。


長距離と言えば、世界に君臨するケニア、エチオピアと言ったアフリカ勢は反対に
ほとんどサングラスを着用していないと思います。
機能面での必要性を感じていないから・・・???