川内優輝選手の2時間8分37秒 | 計測工房社長・藤井拓也のブログ

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マラソン大会などのスポーツイベントのタイム計測のプロフェッショナル、株式会社 計測工房の社長である藤井拓也のブログ。

昨日の東京マラソン2011 はエリートレースのみTV観戦しました。
実業団に所属していない”市民ランナー”の川内優輝 選手(埼玉陸協)が
2時間8分37秒で日本人トップの3位に入り、今夏のテグ世界陸上の日本代表
に決定しました。
これは本当に快挙であり、陸上界(特に実業団関係者)に与えた衝撃は
大きかったと思います。

川内選手は高校時代に全国レベルでの活躍はなく、大学も強豪校ではない
学習院大学に進んでいます。しかし学習院大学時代に着実に実力を伸ばし、
5000m14分08秒49、10000m29分28秒04、ハーフマラソン1時間3分13秒という
大学生としては一線級のレベルに達して、箱根駅伝にも「関東学連選抜」の
一員として2007年と2009年の2度出場し、区間上位の成績を残しています。
また、在学中からフルマラソンに出場しており、大学時代のフルマラソン
ベストは2時間18分18秒でした。

大学卒業後は実業団チームではなく、フルタイム勤務の公務員(定時制高校
職員)として働くかたわら陸上を続けており、しかもその環境において記録を
伸ばし続けています。5000mは2009年(社会人1年目)に13分59秒73に、
10000mは2010年(社会人2年目)に29分02秒33まで縮めています。
そしてマラソンでは昨年2010年の東京マラソンでそれまでの自己ベストを一気に
5分縮める2時間12分36秒を出して4位に入り、一躍ブレイクしました。

今回の2時間8分37秒は昨年の自己ベストをさらに一気に4分更新するものです。

今回の東京マラソンに向けて順調に仕上がっていたことを感じさせたのは、
3週間前に出場した香川丸亀ハーフマラソンで、ハーフマラソン1時間2分40秒の
自己ベストをマークしていたことからもうかがえました。

川内選手自身のコメントにあったと思いますが、今の環境で最大限努力している
結果として強くなったのだと思います。川内選手にとっては実業団に所属する
よりも今のスタンスが一番あっていたということでしょう。
今回の川内選手の快挙は、陸上界、実業団関係者に大きな衝撃を与え、色々と
見直されるいい契機になると思います。

私個人的にも今年1月3日付のブログで「実業団制度を思う 」と題し、実業団の
システムから外れる動きが活発化していることを書きましたが、川内選手の
活躍もまさにその延長線上にあると思います。


川内優輝選手のフルマラソン履歴
2:19:26  20位 09.02.01 大分 (大学4年)
2:18:18  19位 09.03.22 東京 (大学4年)
2:17:33  13位 09.12.06 福岡 (社会人1年目)
2:12:36   4位 10.02.28 東京 (社会人1年目)
2:17:54  10位 10.12.05 福岡 (社会人2年目)
2:08:37   3位 11.02.27 東京 (社会人2年目) 日本歴代21位


今回の東京マラソンは他にも見どころが多かったのですが、川内選手の
快挙のインパクトがあまりにも大きかったです。心から最大限の敬意を表したいと
思います。「大和魂」や「武士道」をも感じさせる魂のこもった走りでした、と言ったら
大げさでしょうか。