学名、

種小名の作られ方の続きです。


形容詞化するか、

所有格にするか。


その2択の、

今度は所有格の話です。

※形容詞の話はこちら


方法としては基本的に、



◆人名を使用する場合

属名の性が何であろうと語尾は同じ。属名が男性・中性形でも共通の法則

・人名の属格化ってやつ。


・-a終わり         →eを加える。 ……aeの形

・-a以外の母音     →iを加える。

・-erのとき        →iを加える。

・その他子音で終わる →ii ・iを加える


です。


「 ~ii 」と聞くと見覚えありませんか?

・Tillandsia duratii(ドゥラティー)
・Tillandsia harrisii(ハリシー)

・Tillandsia butzii(ブッツィー) など


みんな「~ii」で終わってますね。

すべて人名由来が絡んでおります。





●-i -iiを加える場合

・母音終わり ……「-i」をつける。

・子音終わり ……「-ii」をつける。

ただし、「-er」で終わる場合は、「i」を追加する。

※これについては、属名が男女中性なんであろうと共通。

※女性にこの法則も当てはまるが、

  だいたいは男性1名に献名の形が多いよう。


例:

・エイジー Tillandsia eizii (松田英二氏が発見。

                  <i>という母音終わりなので<i>が語尾に付けられている。)

・スークレイ  Tillandsia sucrei(植物学者 D.Sucre氏 <e>という母音終わりなので<i>が語尾に)

・リンデニー  Tillandsia lindenii(栽培家 J.Linden氏、子音終わりなのでiiが語尾にある)

・ベルゲリ   Tillandisa bergeri(植物学者A.Berger氏、er終わりなのでiが追加されている)

・ブッツィー  Tillandsia butzii(発見者Butz氏、子音終わりなのでiiが語尾にある)

・ドゥラティー Tillandsia duratii(栽培家 Durat氏、子音終わりなのでiiが語尾にある)

・ハリシー   Tillandsia harrisii(発見者 B.Harris氏 子音終わりなのでiiが語尾にある)



他にコルビー、マレモンティー、カミーなど。


●-ae, -iaeの法則

・語尾に -(i)ae を付けてラテン語化。

※これについても、属名が男女中性なんであろうと共通。

・たいてい、女性1名に献名する場合が多いよう


例:

・エディシアエ Tillandsia edithiae(収集家 A.Blass氏の妻 Edith氏 )

・マツダエ    Tillandsia matudae(松田英二氏)


※例外

・カプトメデューサエ Tillandisia caput-medusae 

 アエ終わりですが、

 これは神話からきているので人名由来ではありません。

 


●それらをまとめるとおおむね、

 ・男性1名に献名「-i」「-ii」

 ・女性1名に献名「-(i)ae」(ただし語幹が「-a」で終わる場合は「-e」)


になります。

 ・男性複数または女性を含む場合は「-orum」

 ・女性複数の場合は「-arum」


なんてのもあるみたいだけど

チラにはあんま関係ないかなーという感じ。


余談ですが、

ラテン語には「K」は存在しません。

ラテン語では「c」と表わします。


しかし学名にKが存在するのは、

人名や地名由来とする場合があるからです。


人のまま、地名のままつけますので「K」が存在します。

チランジアもそれは同じで、

K始まりの種小名は、人名由来になっています。

もちろん、単語の途中に「K」が存在する場合も同じです。


funckiana(フンキアナ)、kautskyi(カウツキー)
velickiana(ベリッキアーナ)、kolbii(コルビー)  など


Kがつくものは人名か地名等からきていると思ってよいでしょう。


ただし、'Eric Knobloch ' 、

色からきている~Pinkなど、

交配種や選抜種はラテン語にしなさい法則がないので

それは除きます。


こういった規則は、

全ての植物……というか動物や魚、細菌など学名全てに共通。

よって、知らない名前を見ても


iiで終わっていたりanaだったりする時は、

「これは人名由来の花名なんだなー」とか分かる豆知識でした。



【まとめ】

チランジアの人名由来な学名

・形容詞にする場合

  ……~ana

・所有格にする場合

  ……~i.~ii

  ……~iae、~ae


次は、

形や色由来の話に行きます!


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※参考文献

・『植物の学名を読み解く リンネの「2名法」』田中學 朝日新聞社 2007/6

・『植物の名前のつけ方 植物学名入門』L.H ベイリー 八坂書房 2000/10

・『増補改訂版 ビジュアル園芸・植物用語事典』土橋豊 家の光協会 2011/1