じゃかじゃかじゃかじゃか | Board of ego on 力を出そう

Board of ego on 力を出そう

詩の形を模しています。  
鵜の目鷹の目蟲の目魚の目天使の目悪魔の目から  
漢字二文字+「力」のタイトルのもと  
生きるってことを考えてみよう、そして自分自身の力を出そう っていう試みです。

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三軒じゃ

茶屋が三軒じゃ喧嘩も起きる





一軒は餡子にみたらし海苔巻き三色団子を目玉に売るのであろう

一軒は駿府の茶に狭山の茶に宇治も交えて目先を変える



しかし茶酌みのババアのしみったれた皺から

ポタリ汗が垂れ落ちたなら誰も寄らん世は末になる



もう一軒は娘が売り物

番茶も出端の髪下ろす前なら

茶が不味かろうが団子が腐ろうが

娘の裾下からチラリと覗く白い足に赤い鼻緒

ろくに味のしない茶であっても

遥か目黒品川新宿大木戸果ては野の果て野方などから

行列作って娘に並ぶ

もはや厚木街道随一となれば

切歯扼腕二軒は娘の品定め



じゃかじゃかじゃかじゃかチラシを撒いて

綺麗な娘はおらんかな

花より団子というけれど

団子以上に売れまくる

器量よしで気立てもよくて

茶碗を持つ手も艶やかならば

行列の流れはこっちに来るさと

探して探して捜し歩いても



鼻が団子ならよいほうで

オカチメンコも逃げ出すような

へそで沸かした茶が腐るような

お江戸名物雷おこしが豆腐に思えるほどの

歯ごたえのある不細工ばかり



そこで一軒の大将考えました

みんなで仲良くひとりを使って

うちは一のつく日と四の日七の日

となりは三のつく日と六の日九の日

そしてお宅は二のつく日と五の日八の日十の日で

娘のいない日一日をそれぞれ休みにいたしましょう



それはそれでよかったのだけれど

じゃかじゃかじゃかじゃか客は来るけど

娘はいつまでも娘ではなく

いつの間にか玉手箱でも開けたような皺くちゃ婆

はてさてどうする三軒の茶屋

せっせと探せよ次なる娘



そこで探す場所を改めて

甲州街道まで足を伸ばすと

いましたいましたじゃかじゃかいました

綺麗な娘がたんまりと

その中でひとりといわずに各店ひとり

雇い入れて連れ帰り

さらに繁盛大繁盛

じゃかじゃかじゃかじゃか客が来まして



綺麗な娘はどこからきたのか

よってたかって客が束になって

ひつこくしつこく粘りに粘って

聞き出したからさあたまらない

みんな甲州街道めがけて一目散



未踏の地やら田んぼのあぜ道

みんなで踏めば道になる

いつしかそこに鉄路ができて

下高井戸まで一直線

美女を探すには歩くより楽

美女を連れ帰るのも歩くより楽

今じゃたったの140円で

運んでくれるよ世田谷線



じゃかじゃかじゃかじゃか軒先通る

これが世田谷線発祥の嘘物語

続きはあって無きが如し



まずは口開け挨拶代わりに

一丁お眼汚しをいたしました

またのご来場を楽しみに

しばしお別れ泣き別れ

涙に暮れて左様ならばお暇申し上げまする