研修を終えた新人が配属されて、しばらくが経った。

そうすると、いろいろゲームについての話などももちあがる。


で、そんな中、出てきた発言。

なかなか誤解されやすい部分だとおもうので、そのままのっけてみる。



新人「うちの**(ゲームの名前)って、ムービーとか声とかいらないとおもうんですよね。

    そんなことするぐらいなら、値段さげてほしい」


んー、つまり、「ムービーとかがなければ、値段が下がる」と思ってる?


新人「ちがうんですか?」


そうだねえ。まず、大前提として。

ムービーだとか、声優・俳優、この辺で買う人がいる、って人がいる、ってのはいいよね?

ワレワレがどうおもうか、は別として。


新人「ですね」


基本的に、たくさんの人に売れれば、利益は出るよね。

利益が出るなら、価格は多少安くてもいい。

逆にいうなら、売れないなら、値上げするか、そのシリーズをやめるしかない。

「値段をさげたい」「シリーズを続けたい」なら、まず数売ることだ。

たくさんうれてりゃ、シリーズも続くし、利益も出る。

「たくさんのひとに売りたい」→「ムービーで牽引」って流れは、結果として、値段を下げることにつながる。

まあ、実際に下げることはなくとも、定価の維持とかにはなるよなあ。


新人「……あれ」


うん、つまり、逆なんだ。

「ムービーいらないから値段さげてくれ」は、ユーザー視点では正しいけど、

開発視点では、まったく通じない発言なんだよね。

「値段倍はらうからムービーぬいてくれ」なら一貫してる。

もちろん、そんなこというユーザーはいないわな(笑)


新人「なるほど」


もちろん、ゲーム本体のクオリティがマイナスになる内容なら、そりゃまずいよね。

さて、**の場合は、どうだった?

オレは、ゲームとしては、別に声もムービーもいらんと思ったけど、

ユーザーの牽引効果は高いと思ったよ。

んで、ゲーム本編のクオリティにも大して影響してない。


まあ、「ムービーをいれれば値段を下げられる」という意味ではないけど、

少なくとも逆はない。

安くコンパクトに作って利益を出す、っていうのももちろんあるけど、

**がそうじゃないからといって、それは、各々のソフトの狙いどころだよねえ。

**が大赤字だ、ってのなら、そういうアプローチもありだけど。

いまんとこ、それでうまくいってるシリーズなんだがね。


新人「そうすると、俳優とかアイドルとかの起用なんかも?」


その辺も一緒だね。

そういうのをみて、「そんなのにつかう金があるなら、定価下げろ」は、まったく意味のない発言だ。

心配するべきは、クオリティ。


もちろん、まったく無駄な起用もあるとはおもうけどね(笑)


逆にいうなら、クオリティに疑問がない、

あるいは、クオリティの低下を補って余りある効果があるなら、この辺も「ひとつの手段」だ。

無論、下がるならオレは賛成しないけどな(笑)


逆に、クオリティを下げずに、高い牽引効果を起こせるなら、

それは超A級のワザ、ってことになる。


よそのゲームだけど、レイトン教授とかどうだ? 

芸能人起用してるけど、本編のクオリティはまったく下げずに、高い宣伝効果を出してるだろ。

逆にいうと、レイトンが、芸能人起用なくしたとして、さて、開発の利益は増えるかな?


新人「減りますよね……やっぱり」


たぶん、ムッチャ減るよな(笑)

開発費用はちょっと減るかもしれんけど、これで定価下げろ、は……ちょっときついよな。

これを置き換えて、ムービーの場合を考えてみればいい。


まあ、ともかく、俺ラがみるべきはまずはクオリティだ。

ついでに、「それをどうやって売るんだ?」まで気を配れるといいな。




……とまあ、こんな会話でした。

新人氏のこういう考え、結構でまわってるみたいですが、どうでしょ?


まあ、当たり前だけど、俳優起用とかは、

「宣伝効果が高めで、しかしクオリティに不安のある要素」だ。

それをたたくのに、でも、価格や他にかけるべき要素を指摘してもしょーがない。


芸能人だの、その起用だのをたたくのではなく、クオリティをたたくようにしたいなあ、と思います。