私自身は、「モンスターハンター」は、
 十分に海外ウケするゲームだと思っていた。


 だから、前回提示した結果は、意外すぎた。


 ここで、まず、ワタシが「モンスターハンター」が
 「海外でも受けそうだ」と考えた理由を書いてみたい。



● アクション/キャラクタの傾向
 
 だいたいにおいて、プレイヤーキャラクターの好みの傾向は、
 日本と欧米で真っ向から反する。


 国内では、FFに代表されるような、
 美形・中肉中背か細身のキャラクタが人気を集め、
 欧米では、筋骨隆々のパワフルなキャラクタが受ける傾向がある。


 Gears of Warのマーカス・フェニックスや、
 God of Warのクレイトスを想像してもらえばわかりやすい。


 「モンスターハンター」のキャラクターは、国内のゲームとしては
 かなり「武骨」な類に入り、また、アクションモーションは、
 (大剣などで顕著だが)非常にパワフルで、海外に受けそうである。



● リアル指向


 ゲームに内におかれるギミックについて、
 リアリティを重視したシステムが、欧米のゲームファンは特に好意的である。
 ゲーム的に手間になってしまう、面倒な内容であっても、
 それが世界のリアリティを促進するようなシステムであったとき、
 それがかなり好意的に受け止められる。
 
 肉を焼いて食べなければスタミナが減少し、
 アイテムを使ってペイントしなければ相手の追跡もままならない。
 こういった、モンスターハンターのシステムは、
 いままであまりなかった傾向の「リアリティ」を
 ゲーム内に持ち込んでおり、海外に受けそうである。



● 対戦/パーティ指向


 「友人と一緒に遊ぶ」ことについて、欧米のユーザーは、
 国内より環境に恵まれているといっていい。
 ホームパーティの文化や、「週末に一緒に遊ぶ」という機会が多いため、
 国内に比べて、「対戦」や「通信プレイ」の需要が極めて大きく、
 それらを備えたゲームは非常に歓迎される。
 
 「協力プレイ」は、「対戦」に比べると若干訴求力で劣るが、
 それでもモンスターハンターの協力プレイはきわめて魅力的であり、
 海外のパーティゲームを遊ぶ層には受けそうである。
 そもそも、通信プレイについては、協力であれ、対戦であれ、
 海外が常に先駆しており、関心の高さが伺える。



 端的にいってしまえば、「パワフル」で「リアル」で「みんな」で出来る。

 こういうゲームは海外で受ける。

 ワタシの認識はこうだったのだ。


 このあたりを考えれば、「モンスターハンター」は、
 当然受け入れられると思っていたのだ。
 ところが、市場の結果は、けしてそうではない。


 海外からの出向者や、海外のゲームファンとコンタクトが取れたとき、
 何度か意見を聞いたことがあったが、
 そもそも、タイトルの知名度としてもそれほど高くはなく、
 「どんなゲームだ?」と問い返されることも多かった。
 
 このことから、ワタシは、いろいろと認識を改めなければならなかった。


 上にあげた3点は、そのまま、
 ワタシが「海外向けのゲームをつくる際に留意すべき内容」として
 考えていたものだった(*1)。


 それを兼ね備えたモンスターハンターが受けていないのなら、
 ワタシの考えていない大きな内容があるか、
 そもそも、この3点の捉え方に重大な間違いがあるか、ということになる。


 かくして、実際にモンハンのプレイ風景を見せたりしつつ、
 海外のひとたちの感触をうかがいながら、何が違うのか、を
 時間をかけて探ることになったのだ。


 ……以下次回。


(*1)あと、「銃を使う」ってのもあったけど。