血液型と性格の相関関係(3) ~HLA・人間の個性とは~ | テレビ番組 時事ネタなど書いていきます。はい。

血液型と性格の相関関係(3) ~HLA・人間の個性とは~

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続いております。





HLA

HLAはHuman Leukocyte Antigenの略で、
日本語ではヒト白血球型抗原となります。
骨髄移植、臓器移植においてドナーとレシピエントの間で、
移植可能かどうかの判定などに用いられてますね。

血液型と呼ばれるもののほとんどの分類法は
ABO式血液型は赤血球の違いに着目したものですが、
しかし、HLAは白血球の違いによる分類、
実際はABO式の赤血球表面の糖鎖と同じく、
白血球のみに見られるものではなく、
HLAの場合はほとんどの細胞、体液などに見られるものです。
そして、その役割も赤血球上の糖鎖と同じく、
自己と他者を見分ける旗印、免疫系になります。
ただ、その実態は糖ではなく、HLAの場合は蛋白質です。

細菌やウイルスなどが体内に入ってくると、
免疫系が働くことになりますが、
その活性化、抑制ををHLAが担っています。
また、侵入者の情報を知らせる役割も持っているようです。
免疫系の最前線であるHLAですが、
この「小さな悪魔の背中の窪み」では、
各人のHLAごとに、
侵入者に対する得手不得手があるのではないかとしています。
本書が書かれた時点では、
まだHLAの研究はこれからという段階でしたので、
具体的な内容は書かれていないんですが、
その後、たしかにそのとおりであることが分かってきました。
これが書かれた時点でも
自己免疫疾患との関連性はわかっていましたが、
今はエイズに罹患しやすい人、罹患しにくい人、
インフルエンザに罹患しやすい人、罹患しにくい人などが
わかってきています。
この件については、こちらのほうが



書かれたのが新しいぶんだけ、
新しい情報を読むことが出来ます。
それでも8年前の本ではありますけれど。
藤田紘一郎先生は免疫学が専門の医学博士で、
特に寄生虫に関する多数の著作が好評です。
HLAは赤血球表面の糖鎖よりも、
免疫系としてははるかに重要な役割を担っているもので、
これが前の記事でお書きしたような
侵入者ごとに得手不得手があり、
それが各個人の性格の個性に影響を与えているのではないか、
そういう推論になります。



さて、人間の性格を考えるのは
主に心理学の領域であろうかと思います。
本来、自然科学の一部としての心理学は他分野同様に、
実験と観察などから理論を構築するものであります。
その分類が多岐にわたる心理学ではありますが、
根底の部分は、実験と観察、
そして、得られた結果を懐疑的精神を以て検討し、
また実験を行うという手順は変わらないだろうと思います。
先日の縄田先生の論文は貴重なものではありましたが、
それはアンケートによって得られた回答を基礎としています。
社会心理学とはいえ、実験で得られたデータでないのは残念でした。

「あなたは慎重な性格ですか?」と問われた場合、
肯定する人もいれば否定する人もいるでしょう。
しかし、実際のところ、自分のことを
「慎重」と完全に評価している人は少ないでしょうし、
そうではないと評価している人も少ないでしょう。
選択肢が二つしかないので、
どちらかを答えているだけかもしれません。
何を以て「慎重」とするのか、それが明確でなく、
多くの人の場合、慎重な部分も
大胆な部分も持ち合わせているのが普通です。
「自分は○○だ」と明言できる人がどれほどいるでしょうか?
「あなたは慎重な性格です」と言われた場合、
ほとんどの人は何かしらの慎重な部分を
持ち合わせているでしょうから、
多くの人がこれに当てはまると考えるでしょう。
いわゆるバーナム効果と呼ばれるもので、

所さんの目がテン! 「メンタリズムの科学」~メンタリストDaiGoさんご本人の解説~
http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-11468774998.html

この種の情報に触れる際にはその点を忘れてはならないでしょう。
その他、ラベリング効果というものもあります。
「あなたは慎重な性格です」と言われると、
そのように振る舞うようになり、
また「彼は慎重な性格だ」というラベルが貼られている人を見ると、
その人の中では「彼は慎重な性格である」と
イメージが固定されることになります。
そうして決めつけていたほうが「楽」でもあります。

「人間の個性」とはどう定義づけるべきでしょうか?
その中には性格の様々な傾向が含まれるでしょうし、
目の色、髪の色などの身体的特徴なものも含まれるでしょう。
その他、普段個性として取り上げられることのない、
左手小指の爪の幅のような小さなものも個性といえます。
「彼は慎重な性格である」と決めつけてしまうことで、
彼の小さな個性は見失われ、
彼自身も他の個性を埋没させていくことになりかねません。

連日の私のこの問題についての記事で長々とお書きしてきましたが、
ABO式「血液型と性格に相関関係はあるのか?」という疑問に対しては、
「ない」と考えるべきだろうと思います。
竹内久美子さんの「小さな悪魔の背中の窪み」では、
その可能性に触れていますが、そういうことがあるにせよ、
その理論は「だとしたら」という仮定の上に、
さらに「だとしたら」という仮定を重ねているもので、
考察の入口にはなっても
肯定的な結論に至ることは出来ません。
完全のその可能性がゼロという訳ではないものの、
「ある」という論拠にはならないでしょう。
あったとしても、無視できるレベルに過ぎないのではと考えています。
ただ、HLAと性格の相関関係については、
現在、多くの疾病との関係が明らかになってきていて、
その可能性はABO式の比ではないと思います。
HLAは親子で確実に半分ずつを共有し、
キョウダイでは1/4の確率で同じ部分を共有しています。
他人だと、ほぼ一致しません。
それだけ多種多様なHLAが存在し、
もしも、HLAと性格に相関関係があるとすれば、
それだけ、多種多様な性格が
存在していることの証になるかもしれません。

ある種の決めつけを、不快に思う人もいます。
また、形となって不利益を被っている人もいることでしょう。
ブラッドタイプハラスメントの加害者にならないために、
楽をしようとせず血液型ではなく、
その時のその人そのものを見て、
その人を評価すべきであろうかと思います。