探査に手かがり? メタンハイドレートとベニズワイガニ | テレビ番組 時事ネタなど書いていきます。はい。

探査に手かがり? メタンハイドレートとベニズワイガニ



なかなか興味深いニュースですね。
久しぶりにメタンハイドレートという言葉を聞きました。

メタンに密集するベニズワイガニ

ベニズワイガニは、メタンに集まるバクテリア目当ての結果、
こんな密集状態になったらしく、
この発見のおかげで、
メタンハイドレートを見つける手がかりが得られたとのことでした。


メタンハイドレートを見つける?
見つけてどうするのでしょうか?

私が大好きだったNTV「特命リサーチ200X」で、
何度か取り上げられたメタンハイドレート。

一度は、バミューダトライアングルにおける
船舶・航空機行方不明事件についての仮説として、
そして、新しいエネルギー源としての期待でした。

我が国は、極めてエネルギー資源の少ない国です。
天然ガスがわずかに得られますが、
国内需要と比較出来ないほどの量しか採取出来ていません。
そんな日本が、独自のエネルギー資源を持てるとすれば、
それはメタンハイドレートなのでは、
そういう期待があるんです。
日本近海には、メタンハイドレートが
たくさん存在していることがわかっていますので。

1996年米地質調査所の調査によるハイドレートの分布図
(1996年米地質調査所の調査によるハイドレート分布図)


日本周辺海域のメタンハイドレート推定埋蔵域
(日本周辺海域のメタンハイドレート推定埋蔵域)




メタンハイドレートは、
文字通りメタンなのですが、
一見すれば、それは氷かドライアイスのような外観をしています。
メタンの分子を水分子が取り囲み、
全体としては氷状の結晶のような姿をしています。
そして、氷のような姿をしていながら、

燃焼するメタンハイドレート


このように燃えます。



メタンの化学式は

CH4

これが燃えますと、

2CH4O+3O2 2CO2+4H2O

と、二酸化炭素と水が残ることになります。
しかし、そもそも炭素原子一つのメタンは、
石油系燃料と比べて、
COx排出量が少ないとされています。
そして、燃焼時の熱量も、
石油系燃料の1.2倍程ですので、
環境面でも、現在頼っている石油よりも優れていると考えられます。
そのメタンが、メタンハイドレートとして、
固体に閉じ込められている、
そして、それが大量に日本近海にあるとすれば、
それを利用しない理由はないはずなのですが…


問題は、そのメタンハイドレートをどうして採取してくるか、です。

そもそも、深海に、そしてその土中に存在するメタンハイドレートを、
如何にして採掘するのか。
流体である石油や天然ガスのように、
穴を掘っても固体であるメタンハイドレートは採掘できません。
また、温度面などでの刺激を与えたとすれば、
メタンハイドレートは崩壊し、
ただの気体のメタンガスになってしまう可能性があります。
しかし、その気体を採取しようとしても、
水中に出てくる前に、
再びメタンハイドレートとして形成される事もあり、
その採掘には課題が多いようです。

この記事を作成するにあたり、
いろいろと検索してみたんですけれど、
既に500億円の研究投資がなされているようですね。
その利用価値の高さの表れでしょうか。
ここまでつぎ込んだのであれば、
ぜひ、成果を見たいですね。



一方で、このメタンハイドレートは、
地球温暖化をもたらす危険因子としても知られています。
地殻変動や、海水温の変化などで、
不安定なメタンハイドレートが崩壊し、
気体のメタンが大気中に放散されたとすれば、
地球温暖化はいっそう加速されるのではないかともいわれています。
二酸化炭素が温室効果ガスとして、
地球温暖化に影響を与えているとすれば、
その20倍の温室効果があるとされているメタンが、
大量に大気中に放たれたならば、
また海水温を上昇させることになり、
さらにメタンハイドレートが崩壊し、
大気中にメタンが放出され…
といった、悪循環が危惧されています。

このような事態を招かないためにも、
大気中にメタンを放出しない採掘法が必要とされています。
安全なメタンハイドレート採掘法の確立が待たれますが、
それが私たちの福音であればと期待したいですね。

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