うさぎをつくろう―ほんものになったうさぎのはなし/レオ・レオニ

自分ってなんだろう?と、考えてみたこと、


ありますよね。


名前も出身地も、親の名前も、卒業した学校も、


もちろんそれはすべて、“自分”をあらわすものなのだけど、


なんだか、それらは “記号” であって、


自分とは?という答えとはちがうんじゃないかと・・・・・・。




なーんてことを、つらつらつらつら考え出すと、


よくわからなくなっちゃったり。とくに20代のころはそうでした。



レオ・レオニの絵本『うさぎをつくろう』には、


“ほんもの”とそうでないものが、わかりやすく表現されています。



“ほんもの”には、影があるけれど、そうでないものには影はない。


えんぴつで描かれた、えんぴつうさぎと、


はさみで切り取られた、はさみうさぎ。


最初はペラッペラだった二匹が、


影のあるにんじんを見つけて食べたら、


やがて自分たちにも影ができ、“ほんもの”のうさぎに生まれ変わる。



訳者の谷川俊太郎さんの「影の意味」という文章で、


「本当に実在しているものには、影かあるのだということは、


私たちも実際の人生でよく経験します。


影がない人は、たとえ快活でも


どことなくうすっぺらな印象を与えますし、


影のうすい人は、どうしてか幽霊のようにはかなげです」と


綴っており、



「光には影がつきものであり、影は人生を立体的に豊かにする」


とおっっしゃっています。



なんだかね。もう、すがすがしいシャワーを浴びた気分に。



人生、挫折や摩擦のない生き方、光だけをいっぱい浴びて生きるのが、


いちばんよいのかと思うこともあるけれど、


きっと、そんなことないんです。



影をもっているからこそ、その人はキラキラと光を放つ。



自分ってなんだろうなーと思う気持ちも、


それもまた自分らしい自分。



うさぎたちのように、自分の気持ちに素直になって、まっすぐ進んでいけば、


それがきっと “ほんもの”の自分なのでしょう。



あなたの影は、ちゃんとありますか?