降臨-16- | 妄想★village跡地

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「リク魔人」の妄想宝物庫 』のseiさんよりお預かりした、お題です。

長らくお待たせしてしまい、申し訳ありません…。

魔人さんの書かれた一話の続きを、書いて行きたいと思います~


『蓮キョ』ターンですヨ。

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『お付き合い』を始めてから、キョーコはすぐに一人暮らしを始めた。

きょーこのスキャンダルは、大御所俳優のダブル不倫騒動にかき消されてもう光が当たることはない。

けれど迷惑をかけただるま屋には戻れなかったし、元々社員寮として活用されていたあのマンションに長居も出来なかったから。

蓮は一緒に住めばいいと言ってくれたが、一度スキャンダルに晒された身ではそう簡単にも行かない。

近くのマンションを借りて、ひっそりと秘密の恋愛を続けている。


「公表してもいいんだよ?」


蓮はそう言ってくれるが、今のキョーコの実力では荷が勝ちすぎる。

もう少し自信がついてからと、無理を言っているのだ。

芸能界に飛び込んだ理由はショーを見返す為だったが、今の目標は蓮の隣に並んでもそん色がない人間になることだ。

その為にいろんな仕事をして、沢山の経験を積みたい。

そんなキョーコを、蓮は優しく見守ってくれている。


「じゃぁ、行ってきます!!」


「頑張ってね」


「はい!!」


偶然同じ局での撮影だったため、送ってもらったのだ。

忙しい二人。

車の中でのわずかな時間も、大事なデートの時間だったのだ。

最も、同乗している社はひどく居心地が悪そうだったが…。


パタパタと走り去ってゆくキョーコの背中を見て、社は蓮に声をかけた。


「キョーコちゃん、また雰囲気が変わったね」


「そうですか?」


「うん。すごく綺麗になったよね。なんだろう…、前は少し影があったけど、今は何だろう…。パステル色になったっていうのかな? 幸せそうだよね」


小さくなってゆく、キョーコの体。

濃いブルーのワンピースに包まれた体は、弾む様に廊下を突き進む。

だるまや夫婦から贈られた靴を履き、シンプルなタイツに包まれた足は健康美そのもの。

スキャンダルに会っていた時の、影は何処にもない。


「……幸せそうに見えますか?」


「うん。人生最高潮っていう雰囲気だよね」


この世界に携わってて、多くの人を見ている社の目は確かだ。

その彼がそう言うのだから、キョーコは幸せでいてくれるのだろう。

他人の目からもそう見えることに、密かに蓮は安堵した。


「スキャンダルも落ち着いたし? 誰かさんの家にはほぼ毎日いるし? 何だか幸せそうだし? 羨ましいなぁ…」


にやにやしながら小突いてくる社と共に、キョーコの向かった先とは逆のエレベーターに向かう。

タイミングよく着た箱に乗り込みながら、他愛もない会話を交わす。


「どこか旅行に行きたいですよね」


「今のスケジュールじゃ無理だろう?」


「そうなんですけど…。沢山悲しませたので、幸せにしたいなぁって思うんですよ」


幸い同乗者はいなかったので、憚ることなく幸せな現状を維持する方法を相談する。


「そう思うのは分かるけど…、国内は無理だろう? パスポート、持ってるのかな?」


国内では顔が売れすぎている二人。

のんびりするも何もないだろ。


「今度聞いてみます。夏休みは、長めに貰えると嬉しいです」


随分先の予定を強請る蓮は珍しく、兄貴分を自負する社は骨を折ろうと決心をした。


「頑張ってみるよ。ちゃんと意識のすり合わせをして、楽しい旅行にしろよ? それと!! それまでには公表しないと、彼女の名前がまた傷つくことになるからな」


「わかってます。折を見て、発表します」


美しくなるキョーコ。

密やかな恋人生活も楽しいが、咲き誇る花に群がる羽虫が増えたのが唯一の気がかりだ。


「羽虫を一掃するには、その方がいいですからね」


にっこりとほほ笑んだ蓮の笑顔には、そこはかとない怒りが滲んでいた。


「……公表する前には、相談してくれよ?」


「善処します」


弟分と妹分がお付き合いを始めたのは嬉しい社だが、なるべく穏便に公表したいと願ってしまうのだ。


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