「難攻不落な天然乙女のバレンタイン物語-2-」 | 妄想★village跡地

妄想★village跡地

スキビ二次元創作物の残骸がある場所です。閉鎖いたしました。
リンクフリーではありません。無断リンクはお断りしております。

魔人様よりリクエスト★

魔人様が書かれたお話の続きを私が、書いて行きたいと思います。


ちょっと時期がずれたけど、バレンタインのお話です★


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「別段何かをした覚えがないんですけど・・・。衣装可愛いね、って褒めただけですよ? それ以降、なんとなく避けられてて・・・・」


「お前の褒め方がおかしかったんじゃないか?」


「えっ!? ・・・・・・」 


蓮はその日の事を振り返ってみる。


(あの日は・・・)




たまたま通りかかったスタジオ。よく見知った名前が掛かっていて。

中々会う事が出来ない蓮は、折角だからと覗いてみたのだ。


「敦賀さん!! どうしたんですか?」


ドアの隙間から、顔をのぞかせた蓮にキョーコは嬉しそうな顔を見せ、小走りに走り寄ってきた。


「偶然取りかかって・・・。今日は撮影?」


「いえ、衣装合わせなんです。CM用の・・・」


「あ、だから可愛い恰好してるんだ」


今キョーコが身に着けているのは、濃いめのピンクのワンピース。ふんわりと重なった裾と、水玉模様が可愛い。頭に付けてる大きなリボンと相まって、どこかのキャラクターのようだ。


「ふふっ!! ありがとうございます。どれもこれも可愛いから、目移りしちゃうんです」


ふふっと、首をすくめて笑う彼女は可愛らしい服を沢山着られるのが嬉しいらしく。

ほんのり紅潮した頬や、潤んだ瞳が蓮にはまぶしい。


「京子さん、次はこっちお願いします~」


「あ、はーい!! じゃ、失礼します」


スタッフに声を掛けられ、キョーコは蓮の傍を離れてゆく。ちょっとさみしいと思うけれど、それも仕事だ。


「あ、あの・・・」


踵を返した時、スタッフから声を掛けられる。


「はい?」


「よ、かったら、見学されてゆきますか?」


顔を真っ赤に染めた女性スタッフは、目元も潤ませている。


「お時間があれば、ですけど・・・。京子さんと仲が、いいんですよね?」


(あー・・・。不味いかも・・・)


彼女から送られる、あからさまな秋波。ここで彼女の提案に乗るのは不味いかもしれないと、理性は告げる。

残ったら、この女性がべったりと張り付いて、キョーコと話すどころではなくなるかもしれない。

けれど・・・


(久しぶりに会ったし・・・。キョーコを充電しておきたいよな・・・)


今日会えたのも、本当に偶然。この偶然を生かさなければ、次は何時補充できるかはわからない。


「いいんですか? お言葉に甘えても?」


「っ!! もちろんです!! きっと京子さんも喜ぶと思います」


きらきらの笑顔を纏って、自分の欲求に負けた。

キョーコが着替え終わるまでの間、スタッフにCMの概要やその後のキャンペーン活動について話を聞く。


(そうか・・。地方を飛び回るのか・・・)


分かったのは、このCMを撮り終わったらしばらく地方巡業に出る事。

つまり、自分とは益々会えないという事だ。

仕方ないとはいえ、がっかりした気分を噛み締めている蓮の耳に、愛しい存在の声が響いた。


「あれ? 敦賀さん・・・」


「見学してっていいって聞いたから。可愛いキョーコを見て行こうかな、って」


傍らのスタッフに向けたのとは違う、心からの笑顔をキョーコに向ける。


「もう、本当にお上手ですね。私以外の人が聞いたら勘違いされちゃいますよ?」


心からの口説き文句は、気持ちい位綺麗に叩き落とされたけれど。

こんなことは日常茶飯事なので、めげたり凹んだりしない。


「その服もとってもかわいいね」


「ありがとうございます!! 兎さんみたいで可愛いですよね!!」


今キョーコが来ているのは、真っ白のふわっふわロングセーターにぴったりとしたレザーのホットパンツ。すんなりとした美脚を覆うブーツもよく似合っている。

くるっと、一回りしてみせてくれる。


「ほんとだ。兎みたいだね」


大きく開いた襟ぐりからは、際どい部分まで肌がのぞいて。背中側も、大きくくり貫かれて浮き出た背骨が蓮を誘う様だ。


「でも、ちょっと肌出過ぎじゃない?」


「うーん・・・そうなんですよね。中に何かきれば・・・・」


とても似合ってるし、可愛いとも思う。けれど、思い人のこんな姿を全国の皆様に見せたくはない。

まぶしい位の肌の滑らかさに、蓮の目がくらむ。


「インナー着ても、ダメじゃない?」


「え?」


「だって、この辺きっと隠れないよ?」


そっと伸ばした指で辿ったのは、むき出しになった鎖骨。


「っ!!」


ぼんっと、キョーコの顔が赤く染まる。


(ほんと、純情なんだな・・・)


その反応を楽しく思いながら、つぅぅぅっと指をさらに滑らせる。浮き出た骨を覆う皮膚は滑らかで。思わず口付たくなる。


「つ、つ、つルがサンっ!!」


「ん?」


鎖骨だけでは飽き足らず、首筋の方まで指を這わせると変な音程で名前を呼ばれた。

「なに?」


「は、はれんちですぅぅぅ!!」


うるうると、涙ぐんだ眼で睨まれて。詰られて。慌てて我に返り、指を引っ込めるけれど・・・。

「ひぃぃぃん!!」


時すでに遅く、キョーコはぼろぼろと泣き出してしまった。


「ご、ごめん!! ちょっと・・・・」


「いじめっこですぅ!!」


「ほんとごめん!! 綺麗だったからつい・・・」


ぼろぼろ流れる涙を、指でそっと拭いハンカチ代わりにと自分の胸に閉じ込める。


「ついってなんですかぁぁぁ!!」


「ごめん!! ごめんね?」


ひんひん泣きじゃくるキョーコを、あやしながら己の失態に舌打ちしたい気分だった。その蓮に追い打ちをかけたのが、周りのスタッフの冷たい視線。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・敦賀さん、京子さんとお付き合いしてたんですね・・・」


その冷たい視線を代表したのは、件の女スタッフ。


「いや・・・・」


腕の中、キョーコをあやしながら蓮は途方に暮れた。





その日から、なんとなくキョーコに避けられているのだ。


(ほっぺにちゅうの時は、こんなことなかったのに・・・)


ただ鎖骨を触っただけで、ここまで避けられるとは思わなかったのだ。