A girl like a butterfly 1 | 妄想★village跡地

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素敵スキビサイト『カホルのブログ』様より。
素敵小説をいただいてしまいました



『時節柄、クリスマスなお話が読みたいです。念入りに、レストランとかプレゼントとかの計画を練りに練る、蓮様の姿が読みたいです』
とのたまった私…

カホル様、ありがとうございます



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「個室もいろいろあるんだな・・・」


楽屋での待ち時間、たまたま置かれていた雑誌の見出しに惹かれて手に取ったのだが。
・・・芸能人だし、個室なのは必須にしても、カップルシート・・・・こんなに密着して座っていたらどうしてやろうかという気分になるに違いない。・・・却下だな。
それに、料理も、舌が肥えてるからな。フレンチ?イタリアン?場所は、普通のレストランか、それとも、ホテルのレストラン?でも、それだと下心を疑われるかな?
ロマンティストのあの子の好みは、やっぱり夜景が一望できて、キャンドルライトがほのかに照らすような雰囲気がベストだろうか。


「・・ん。蓮!顔、弛んでるぞ?」


声に気付いて、目を通していた雑誌をぱたりと閉じると顔を上げた。そこには、にんまりと目じりを下げる社さんが立っていた。

「・・・社さん、戻ってたんですね?」

「外では、そのだらしない顔してくれるなよ?俺が戻ってきたのも気づかないくらい、何を真剣に読んでたのかなあ?」


急いで顔を戻したが、社さんはにやにやと雑誌を覗き込んだ。


「なんでもないですよ?」

「へえ?恋人と過ごすクリスマス特集ねえ。」

雑誌をさっと横にスライドさせたが、表紙にはでかでかと宣伝が載っていた。

「別に、そこを読んでいたわけじゃないですよ。」

「今更隠さなくてもいいだろぉ。お前が、この時期になるとそわそわしだすのは毎年の事じゃないか。」

「隠しているわけじゃないです。遊ばれたくないだけです。」


移動のために、ちゃっかり雑誌を鞄にしまい歩き出した俺に社さんは隣に並びながら笑った。

「遊んでるんじゃなくて、応援しているんじゃないか。今年こそ、キョーコちゃんの誕生日までにはそうなっている予定なんだよな?」

・・・しっかり遊んでいるじゃないか。質問には黙秘を行使することにした。これ以上遊ばれてたまるか。
あの子と再会してから、もうすぐ5度目の誕生日がやってくる。成人を過ぎて、大学に通いながら精力的に女優とタレントの仕事をこなす彼女との接点はなかなかない。
開き直って、アプローチをかけようとするのだけれど、いつも、肝心なところで邪魔が入ったり話題が変わってしまったり。今年こそは、恋人同士で記念日を過ごしたいと思っているのだから、準備は念入りにしておかないと。

「でも、今年はいつものグレイトフルパーティはやらないのか?毎年恒例だろ?」

「今年は、マリアちゃんも中学に入って忙しいし、多分やらないだろうって言ってましたけどね。」

「なんだ。もう、しっかり、リサーチ済みか。」

「いえ?たまたま話題になっただけですよ?(きらきら」

「わかったから!その、笑顔で脅すのはやめてくれぇ!そんな事すると、せっかく二人そろって25日オフをもぎ取ったのになしにするぞ!」

印籠のように、スケジュール帳をかざされてぴたりと止まった。

「・・・ありがとうございます。」

「うん、うん。分かってくれればいいんだよ。でも、結局、今年も24日は夕方までは仕事なんだ。ごめんな?」

「いえ、十分です。大変だったでしょう?」

社さんも悪癖さえなければ、本当に頼りになるのだけれど。

「いいってことよ。キョーコちゃん、歳を重ねるごとにますます綺麗になっちゃって。いい加減まとまってくれないと、お兄ちゃん心配で心配で。今更、どこかの馬の骨に奪われるなんてごめんだからな。」

真剣な表情で言い切られて、強く頷いた。俺だって、そんな事は絶対にごめんだ。今年こそは、絶対に逃がさないよ?最上さん。



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