おもたい瞼をあけ
時計を見る
まもなく昼過ぎだが
土曜日なので焦る事はない
けだるい身体を引き摺って台所へ
冷たい水で喉を潤すと
少しずつ記憶が甦る
接待が終わった後
部長行きつけのバーへ
2人だけで杯を重ねるのはかれこれ3年ぶりだった
マスターに(ニューヨーク)をオーダーする
労いの言葉に始まり
今後の展開について説明を受けた
仕事の話をそうそうに
切り上げ、カクテルの話題
マスターも交えてお酒の
蘊蓄の応酬へ
二杯目のニューヨークは
ベースをライからバーボンに
よりパンチの効いた味わいにノックアウト気味
おぼつかない足元で店を
出ると外は雨
部長と別れタクシーを拾う
車中で1日を回想しながら改めて部長の偉大さを知る
「チャンスはピンチ、ピンチはチャンスだと思え」
最後に伝えられた言葉の
重さが身に染みた夜だった
(ニューヨーク)
ライ・ウイスキー3/4
ライム・ジュース1/4
グレナデンシロップ1/2
tsp
砂糖1tsp
シェークしてカクテルグラスに注ぐ