先月発売された嶋野榮道老師の『愛語の力 ――禅僧ひとりニューヨークに立つ』(致知出版社)。何かやりたい、またはやった方がいいと分かっているのに、現実世界との狭間で戦って一歩踏み出せない方にはオススメです。
- 愛語の力―禅僧ひとりニューヨークに立つ/嶋野 榮道
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著者が昭和39年の32歳のときに、警策1本と現金5ドルを持って禅をアメリカに広めようとニューヨークにやって来たお話です。
当時は、アメリカ人に「たとえハドソン河の水が澄んでも、アメリカに禅寺の建つことはない」と嘲笑されたそうですが、今はニューヨークとキャッツキルに2つの禅寺を建立し、40余年何十万もの欧米人に禅の指導をされておられます。
禅をアメリカに広めるんだ!と渡米したものの、食べることもままならない状態で、とある銀行のドライバーとして雇ってもらう話が決まったその帰り道、著者の師匠である中川宋淵(そうえん)老師の言葉が聞こえてきたというのです。
「もしあなたが法のために心身を捧げるなら、法のほうからやってくる」
その言葉で我に返った著者は、自分の心や態度を見直し、以来早朝は4時に起床し黙々と修行に明け暮れているうちに、気がつけば禅を学びたいという人が増えはじめます。そして、コピーの発明・特許を取得された裕福なご夫婦から、禅寺を一つ建立できるほどの金額が寄進されるのです。
著者の嶋野老師の言葉に、
「“自力”と言っても違う。
“他力”と言っても正しくない。
自分に嘘のない日々をコツコツ生きていたら、
不思議と計らいを超えた力が、そっと後ろから押してくれた。
怖れをなくし、身をその力に委ね切ることができた時、
道はおのずから開けてきた。
そこから喜びに満ちた精進が始まった……」
不思議な力って本当にありますよね。
内なる声、直感、ビジョンなどを見たり聞いたり感じたりしてもなお、顕在意識の自分が怖れや疑いを持って否定している時は、出口のない暗闇の中に入ってしまいます。
でも、嶋野老師のように、不思議な力、宇宙、サムシンググレート、神様、仏様など、私たちの目に見えない偉大な何かに心を開いて身を委ねた途端、潜在意識の自分がこの偉大な力とコネクトし始め、色んな事がどんどん舞い込んできて、急に道が広がってきますよね。その展開の速さに驚かされるばかりです。
昔読んだ本に、アメリカの大富豪の人達をリサーチしたものがあって、宗教とかではなく、自分だけの神もしくは何か偉大なる存在をそれぞれが深く信じているそうで、嶋野老師じゃありませんが、いつも不思議な力に助けられてきたと報告しています。また、離婚率が高いこのアメリカで、彼らのほとんどが離婚をすることなく、むしろお互いをこの世で一番尊敬できるパートナーと称え、どちらが欠けてもこの成功を手に入れることはできなかったと信じているそうです。