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映画「ダークナイト・ライジング」鑑賞。クリストファー・ノーラン監督によるバットマン三部作完結編。
いつものように、クリストファー・ノーランの映画は面白いわけではない。前2作しかり、『メメント』しかり、『インセプション』しかり。単純明快さに欠けるのである。しかし、雰囲気がある。そして勧善懲悪的な明快さがない分、じんわりくる感じ。超極悪人の様相のベイン(トム・ハーディ)ですら、悲哀を帯びている。その人物設定がいい。
バットマンの周りにいるアルフレッド(マイケル・ケイン)、ゴードン(ゲイリー・オールドマン)、フォックス(モーガン・フリーマン)らは、ブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)の父親的な存在で、彼らとの関係が常に副旋律として作品に流れている。つまり単なるスーパーヒーロー・アクション物ではないところが、クリストファー・ノーランたるゆえんだろう。
そして本作では、有名なキャラクターのキャットウーマンが登場。アン・ハサウェイ演じるこのキャットウーマンは「ミャオウ」と鳴かないのである。そしてコスチュームの猫耳も実はナイト・ヴィジョンをはね上げた時にそう見えるという凝りよう。ミシェル・ファイファーのキャットウーマンより相当セクシー。
クリストファー・ノーランの作るバットマンにはペンギンや「なぞなぞモジモジ君」のキャラクターは似合わないのである。
バットマンもスーパーヒーローというにはあまりに生身。ゴッサムシティもまんまニューヨークだし(実際、ロケはニューヨークのほかにピッツバーグとロサンジェルスで行われたが、ゴッサムシティと言わなければ、誰もがニューヨークが舞台と思ってしまう)。そうした「子供っぽさを排除したリアリティ」がクリストファー・ノーランが目指すところであろう。
クリストファー・ノーランは自分が監督する限り、若いバットマンを演出するのでロビンは出さないと言っているが、そのネタを知っているとニヤリとするシーンがあることを付け加えておく。
★★★★★★ (6/10)
『ダークナイト・ライジング』予告編