終末ホラー作品『ワールド・ウォーZ』観賞。
監督は『007慰めの報酬』を監督したマーク・フォスター。であれば、あまり期待できないところ。ただ映画予告がなかなか迫力があったので観てみた。タイトルの「Z」は最終戦争とゾンビのダブルミーニングか。
一緒に観た息子の解説では、ゾンビ物はブードゥー系(なぜ人間がアンデッドになるか説明していないもの)とウィルス系に分かれるが、ブードゥー系だと世界的なアウトブレイクがストーリー的に難しいため、映画のプロットとしては「オワコン」なんだと。
しかし、この映画の最初15分に緊張感があったのは、「なぜ」という謎解きなしに恐怖に叩きこまれ、ただ単に逃げ惑うだけだったからなのではないだろうか。それが、主人公が国連職員のフィールド・エージェントで、ゾンビがウィルスによるものと解説されるに従って緊張感が失せた感がある。
感染はゾンビに噛まれた場合、という伝統的な設定を踏襲しているが、噛まれた手を切り落として大した止血もせずに生き長らえたり、飛行機が墜落して、重要な登場人物だけ生き残ることができたという設定は納得いかない。
また、ここで登場するゾンビは、最近のゾンビ物にある「走るゾンビ」であり、襲われる恐怖感が映像的に強調されるということなのだろうが、生きていた時より身体能力が上がることにはこれまた納得がいかない。
恐怖映画が、その緊張感を維持できずにコミカルになってしまうことはよくあるが、この映画もそうした感じを受ける。配役もブラッド・ピット以外では、『24』のチェイス役のジェイムズ・バッジ・デール、『LOST』のジャック役のマシュー・フォックスというテレビ中心の俳優を使い、ほかは無名。ブラピが浮いている感は否めない。
但し、ストーリー的には、ゾンビに対抗する方法はなかなかひねりが効いていた。その方法自体、若干の無理はあるが、人間がアンデッドになる時点で無理はあるので、それはよしとしよう。
やはりゾンビ映画は、一般人が、世界から取り残され、絶望感の中でも何とか生き延びようと逃げ惑う孤独感・恐怖感が最高のモチーフであると思う。やはりこのジャンルではジョージ・A・ロメロ監督の『ゾンビ(Dawn of the Dead)』を越える作品はないと思われる。
★★★★ (4/10)
『ワールド・ウォーZ』予告編