『マエストロ!』 (2015) 小林聖太郎監督 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~



映画『マエストロ!』鑑賞。

スポ根はマンガの確立したジャンルだが、スポーツによってマンガにしやすいものとしにくいものがある。超定番は野球だが、それは野球がチームスポーツでも、9人のキャラクターをポジションごとにメリハリつけることができ、またゲームの展開がドラマチックに仕立てやすいためだろう。

ミュージシャンを題材にしたエンターテイメントとして、オーケストラというのは野球と同じく、楽器ごとにストーリーがあり題材にしやすいというのはのだめで証明されているところ。

とはいえ、この作品はあまりにひねりがなさすぎる。スポンサーが倒産して解散したオーケストラを、コンマスの亡き父親の友人である指揮者がタクトを振って感動的な音楽を奏でる、という観る前から予想できる『がんばれ!ベアーズ』のオーケストラ版。

そして指揮者天道徹三郎という重要な役を演じるのが、私が映画監督なら使いたくない役者の筆頭の西田敏行。彼を『釣りバカ日誌』以外の映画で観たいとは全く思わない。プロのオーケストラにアマチュアながら参加し、みんなに刺激を与える音を奏でるというフルート奏者の橘あまね役のmiwaが注目されてるが、天才/天然役にはどうもあざとすぎる。よかったのは若きコンマス役の松坂桃李。バイオリンを弾く演技も(クラシック素人目には)自然にかっこよく見えた。

クライマックスでは、超大衆的なベートーヴェン『運命』とシューベルト『未完成交響曲』をたっぷり聞かせるのが(西田敏行がウザいものの)そこそこ楽しめた。あまり難しいことを考えたくない向きにはいいのかも。

★★★★ (4/10)

『マエストロ!』予告編