『色街をゆく』補記 1 吉原 その1 | 断片的な日々 

『色街をゆく』補記 1 吉原 その1

拙著『色街をゆく』は月刊誌『ドンドン』に連載した記事をまとめたものだが、かなり加筆修正した部分が多く、そのほかにもいくつかの書下ろしが含まれている。具体的には、「吉原」「黄金町」「ススキノ」「飛田」「真栄原」「木辻・生駒」「安浦」は本書の為に書き下ろしたものである。


そのなかでも、吉原は筆者にとって馴染み深いエリアである。一時期は、ほぼ毎週のように通っていたこともある。


通い慣れてくると、単に遊んで帰るだけではもったいないことに気付いた。何より、吉原の「なか」はとても治安がよい。困るのはポン引き男性くらいのもので、それでもキチンと断ればそれほどしつこく絡まれることはない。



断片的な日々 
2000年頃 筆者撮影


上の建物は、吉原の外れで営業していたバーである。筆者は遊んだ後、少し吉原のなかをふらふら歩き回ってから、何度かこのバーで休んだことがある。静かな雰囲気の、落ち着いたバーだった。値段も、カクテルやリキュールが800円くらいからだったと思う。壁に「カクテルの注文は、できるだけ努力します」などと書かれた張り紙があったように覚えている。現在は閉店してしまっている。


ほかにも、吉原のなかには何軒か居酒屋さんや小料理屋さんなどがあって、寄らせてもらったことがある。ほろ酔い気分になった筆者は、タクシーで上野まで行って、カプセルホテルで休むというのが定番だった。

(つづく)