『色街をゆく』補記 序 その3 | 断片的な日々 

『色街をゆく』補記 序 その3

日本ジャーナル出版から発行されていた月刊実話誌『ドンドン』(現在休刊)に売り込みをかけてみたものの、編集長の若月祐二氏はまったく興味が無い様子だった。


筆者は仕事はもらえないだろうと完全に諦め、日が経つにつれ売り込みに出向いたことすら忘れかけていた。


ところが、編集部を訪れてから1ヶ月近く経った頃、若月編集長から電話で連絡が来た。


「考えたんですが、風俗街のルポをやってもらえませんか」


筆者にとって、まったくの想定外であった。さっそく時間を取ってもらい、改めて編集部を訪れた。すると、さらに驚く言葉を若月氏から聞いた。


「とりあえず、毎月5ページの連載でどうでしょう」


普通、見ず知らずの無名ライターが売り込みに行ったら、最初は単発の記事か、ページの片隅のコラム程度の仕事がもらえればいいほうである。それが、いきなり5ページの連載をいただけるなどという話は、筆者にとって未体験のことだった。


しかも、さらに驚いたことには、内容も筆者に殆んど任せてもらえるということだった。


その後、さらに若月氏と打ち合わせを重ねて内容をつめていった。連載のタイトルは、『東京ダークサイドリポート』に書いた記事のひとつから取って、「日本性風土記」に決まった。第一回は池袋で、『ドンドン』2002年2月号に掲載された。


(つづく)