『色街をゆく』補記 序 その1 | 断片的な日々 

『色街をゆく』補記 序 その1

以前から街歩きが好きだった筆者は、その手の記事を書く仕事をしたいと漠然と思っていたものの、なかなかその機会がなく、いたずらに街中をぶらぶら歩いては、時たま写真をとるようなことで気分を紛らせていた。


そんなある日、仕事仲間で知り合いの中田薫氏(現・イグジット代表)から、ひとつの仕事を依頼された。「ワニマガジン社から発行されるムック本に、街についてのルポを書かないか」というものだった。信頼する中田氏からの連絡に、筆者は直ちに承諾した。


ムックのタイトルは、『東京ダークサイドリポート』。編集長は、現・ミリオン出版編集局長の久田将義氏だった。


依頼内容は、池袋についてのルポだった。そのタイトルからして、久田氏はかなりアンダーグラウンドでディープな内容を要求していたのだと思う。しかし、取材力も根性も無い筆者には、深く高度なルポルタージュなど無理な話だった。


そこで筆者は、とりあえず池袋の街を駆けずり回り、また少ない知り合いから情報を得て、さらに地元の図書館や古書店、個人宅やそれこそゴミ捨て場に至るまで、手を尽くして資料の類を集めた。それらをもとに半ば強引に、「実録・性風土、池袋」「アンダーグラウンドシティ池袋の断片」という2本の原稿にまとめて久田氏に提出した。


そんなやっつけ仕事の原稿を、久田氏は快く受け取ってくださった。今から思えば、何とも恥ずかしい次第である。『東京ダークサイドリポート』は、99年夏に発刊となった。

(つづく)