「請願」つぶし裁判についての補足 | 断片的な日々 

「請願」つぶし裁判についての補足

東村山市議の矢野穂積氏と朝木直子氏が、自らに対する辞職勧告を求める請願について、その内容が名誉毀損にあたるとして請願人の市民ならびに紹介議員2名に損害賠償を請求した、いわゆる「請願潰し」裁判の判決言い渡しは、次のような主文朗読のみで散会した。


主文

1 原告らの請求をいずれも棄却する。

2 訴訟費用は原告らの負担とする。


すなわち、矢野氏と朝木氏の主張はことごとく退けられた結果となった。


この裁判は、市民として当然の権利である請願に対して訴訟を起こすという前代未聞の事例だったためであろうか、判決言い渡しには、その傍聴には多くの報道関係者が訪れた。


矢野氏と朝木氏の主張は、請願の内容が「原告らの社会的評価を低下させ、その名誉を毀損する」ものであるとした上で、その請願全文をインターネット上において公開した事実を指して違法行為であると指摘している。


これらについて東京地裁立川支部は、同誓願の内容について、使用されている表現は「原告らの表現行為等に対する反論等として、意見ないし論評の域を逸脱したものということはできない」として、「違法性は阻却される」すなわち名誉毀損には該当しないと判断した。


また、同請願本文がインターネット上で公開された点についても、すでに市議会に提出された事実を指摘し、それが不法行為とは認められないとした。


そして、「以上によれば、その余の点を判断するまでもなく、原告らの請求はいずれも理由がない」「よって、原告らの請求をいずれも棄却することとし、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法61条、65条を適用して、主文のとおり判決する」と締めくくられている。


なお、判決文には矢野氏と朝木氏の両名が、一般市民の発言を抜き出してハンドルネームとともにインターネット上に掲載し、「脅迫投稿」「名誉毀損」「人権感覚麻痺者」「呆れた発想の持ち主」などとして公開している事実や、自らに対する批判者やその支持者に対する誹謗および揶揄などの事実を、裁判官が確認している点なども興味深い。これらの記述を読むと、裁判所が客観的な事実を逐一把握している様子がよくわかる。