中村克氏の主張する「『読売新聞』の誤報」に関する検証 3 | 断片的な日々 

中村克氏の主張する「『読売新聞』の誤報」に関する検証 3

著作権侵害である可能性が極めて高い『最後のパレード』(サンクチュアリ・パブリッシング発行)に、著者としてクレジットされている、自称コンサルタント業の中村克氏が、読売新聞社(本社・東京)が発行する『読売新聞』の記事について、「誤報」と主張し、自らを「報道被害者」と繰り返している点についての検証を行う。今回検証するのは、次の記事となる。『読売新聞』の同日夕刊に掲載された。


◎2009年4月20日 

盗用疑惑 「最後のパレード」著者側から「小さな親切」本部に連絡なし



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盗用疑惑 「最後のパレード」著者側から「小さな親切」本部に連絡なし

 ◆「最後のパレード」問題
 ベストセラーになっている「最後のパレード ディズニーランドで本当にあった心温まる話」(サンクチュアリ・パブリッシング発行、中村克著)に、社団法人「小さな親切」運動本部が2004年に実施した「小さな親切はがきキャンペーン」の入賞作品がほぼそのまま収録されている問題で、同本部は著者側から、酷似した文章を載せるという連絡を受けていなかったことが20日わかった。
 同キャンペーンは1985年にスタート。「小さな親切」運動本部は、応募作品の著作権について同本部に属すると応募要項に明示している。同本部の山橋由貴子事務局長は、04年の日本郵政公社総裁賞受賞作品とほぼ同じ内容になっている「最後のパレード」の文章について、「こちらの入賞作品を少し手直ししただけという印象だ。今後の対応は弁護士と相談して決めたい」と話している。東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランド広報部によると、同書には、来場者からの手紙に記されていたエピソードも複数含まれているという。著者の中村氏は同社に勤務した経験があるが、エピソードの使用に関する相談などはなかったといい、同部は「内部の情報が、我々の知らないところで使われたのは残念だ。何らかの対応を検討したい」としている。

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事実関係の確認としては、「小さな親切」運動本部に対して、中村克氏やサンクチュアリ社の担当者等が、『最後のパレード』刊行以前に何らかの連絡を行ったという事実は認められていない。これは筆者の取材等によっても確認されている。


また、同運動本部の山橋由貴子事務局長のコメントとして、「今後の対応は弁護士と相談して決めたい」とあるが、こちらについても直ちに法的手段をとるものではないということを、筆者は取材によって確認している。


さらに、オリエンタルランド社によるコメントも、後に再確認されるように矛盾等は認められない。


確認すると、中村克氏やサンクチュアリ社が、同書の編集製作段階で「小さな親切」運動本部やオリエンタルランド社に何らかの接触を試みた形跡は、あらゆる点から認められていない。したがって、上記の記事の内容から「誤報」と考えられる記述や表現は認められない。また、その可能性のある箇所についても、その存在の可能性は極めて少ないと考えられる。


(つづく)