瀬戸氏の発言を再度検証する | 断片的な日々 

瀬戸氏の発言を再度検証する

ジャーナリストを自称する瀬戸弘幸氏は東村山で起きた「朝木明代氏転落死事件」について、少し前に以下のような発言をご自身のブログにて公開している。



 「私が何故、この事件を取り上げてこのような訴えに立ち上がったのか?」


 「それは内部告発です。現職の警察官から、この事件をこのままにしておくことは出来ない。これは自殺などではなく殺人事件であり、3人の犯人と思われる人物の特定もなされていました」


 「しかるに、創価学会の信者と見られる検察官からの捜査打ち切りによって、真相は闇の中へと閉じ込められたのです。瀬戸さんたちがこの問題に火をつけて下さい。騒ぎが大きくなれば、隠された真相はやがて明らかになるでしょう」


 「もう、時効まで2年と迫っています。頑張って下さい。社会の巨悪を眠らせてはいけない。我々も協力します」


 私が100%の確信をもって今回この事件を取り上げ、そして検察庁への捜査のやり直しを要望する理由はこの点であります。


 捜査にタッチした当時の警察官の中から、この事件の曖昧な決着を許さない―という声が出始めた。であるからこそ、立ち上がったのです。ここまでご説明すれば、私が告発を続ける地元の市民団体と連絡を取らずとも、この問題を取り上げた理由については理解いただけるものと思います。


(以上、瀬戸弘幸氏「せと弘幸Blog『日本よ何処へ』」 朝木明代さん不審死事件 <活動報告>朝木明代元市議・不審死事件を訴える! 創価学会が蔓延る八王子駅前で街宣敢行! 2008年07月30日より引用)



瀬戸氏の文章はその表現や記述に精密さおよび正確さが低いため、情報の伝達性および的確な説明能力に劣るところであるが、その記載をつぶさに検査していくと、疑問点が随所に現れるのがわかる。


まず、瀬戸氏が同事件について関心を持つようになったきっかけについて、「内部告発」であると明確に発言している。しかし、その「内部告発」がどこの誰によるものなのか、まったく記載されていない。すぐ後に続く、「現職の警察官から…」という文章も、よく読むと「内部告発」と直接的に関係するかどうかは疑問の余地がある。ここで瀬戸氏は、「現職の警察官からの内部告発」とは語っていない。


さらに、この「現職の警察官」も、具体的な情報は何一つ記されていない。東村山署の署内に勤める警察官なのか、それとも別の署の警官なのか、まったくわからない。


そして、「内部告発」がどのように瀬戸氏にもたらされたのかも完全に不明である。内部告発者と瀬戸氏が直接接触したのか、あるいは音声または文書もしくはメール等の電子的な手段によるものなのか。


また、「内部告発」と瀬戸氏は言うが、それはどの程度のものなのか。実際に瀬戸氏に重大な情報が伝達されたのか、あるいは内部告発者から電話や文書あるいはメール等の電子的な情報によって接触を受けたのか。または告発者から内部告発の用意あるいは可能性等を示唆されたのか。現時点でもなんら判明していない。


さらに、瀬戸氏が「100%の確信」と強調する根拠はどのようなものであるのか。それについても瀬戸氏は2ヶ月以上経過した現在でも、具体的な確証は何も言及していない。仮に「朝木直子氏の言葉を信じる」という発言をその根拠としてあげるのであれば、同氏の発言を裏付ける具体的な事実もしくは確証となるものはどこに存在しうるのか。


加えて、瀬戸氏がこの「内部告発」について、どうして中途半端な形で、しかも不用意に公表しているのかという点が大きな疑問である。具体的には、上記引用の「自殺などではなく殺人事件であり、3人の犯人と思われる人物の特定」などといった記述である。これらの記述が「内部告発」の内容や行為について、どれほどの重要性において関連しているのかは不明であるが、「内部告発」の語とあわせて言及されていることから、同件と無関係であるという可能性については皆無ではないと判断できよう。


内部告発者から得られた情報の取り扱いについて細心の注意を払わなくてはならないことは、告発者本人の保護の観点からも極めて重要である。したがって取材を行う者は、告発の内容と平行して独自に取材を進め、その内容の事実確認や裏づけに努力するものである。それが告発内容を補強するともに、告発者本人を精神的に支え保護するものだからである。


逆に、うかつに告発の内容を公表してしまえば、告発者本人を動揺させる可能性や、場合によっては告発そのものをしにくくなる危険性もある。情報が公開されて時間が経過するほど、その可能性は強くなることは取材経験者であれば体験的に知っているものではなかろうか。それがたとえ内部告発の内容に直接言及するものではなくとも、その内容等になんらかの関係があるものであるならば、同等の可能性を危惧するのは当然の感覚であろう。


にもかかわらず、瀬戸氏が「内部告発」についての具体的な言及を行わないのは、どのような理由が存在するのだろうか。


ともかく、瀬戸氏のこれまでの発言と、今後の言動については目が離せないところである。もちろん、東村山で発生し、現在も進行中の諸般の出来事については、平行して常に凝視し続ける所存であることは言うまでもないが。