小学校六年生のとき、
卒業を目前に控えた僕たちに、
先生はそれぞれの夢を紙に書かせて、
黒板に貼っていきました。
ずらりと並んだ僕たちの夢。
その後ひとりひとり前に出てきて、
みんなに向かって発表します。
これが僕たちの小学校最後の授業でした。
全員の発表が終わると、
一枚の紙が残りました。
その紙には大きな文字でこう書いてありました。
「8」
実はこの紙に書いてあるのは、
先生の夢だったのです。
8年後、20歳になって立派な成人になったみんなに会いたい。。。
先生が涙を浮かべながら語る未来に、
僕たちは泣きました。
そして僕たちは小学校を卒業しました。
それぞれの中学校、高校へと進学していきます。
そして月日は流れ、
僕たちは20歳になりました。
成人式の後、小学校六年生の担任だった井上先生に会いに行きます。
8年後なんてすごく遠い日のように感じていたけど、
結構あっという間だったね。
みんな8年前とあまり変わらない。
先生がまた太ったくらい。
でも僕たちはそれぞれがあの頃語った夢の途中にいる。
目指せ100才!と言ってた陽子ちゃんも元気そうでなりよりだったよ。
僕たちのクラスで先生を目指す人が多かったのは、
井上先生の影響なんじゃないかなと思うよ。
きっと立派な先生になるね。
六年生のときのクラスに先生がくれた言葉、
「胸を張っていこう!」
は今でも宝物です。
疲れてるとき、視線が下がりそうなとき、
いつも思い出して支えてくれます。
辛いときも悲しいときも、
顔を上げて、前を見て。
仲間も胸を張ってがんばっているから、
ぼくもがんばれるんだよ。
みんなのこと見てなくても、
同じ気持ちなんだと信じてるよ。
あれからまた同じくらい時間経ったけど、
みんな元気でやってるのかな。
またみんなで集まって、
あの頃みたいにいっぱい遊ぼうよ。