前回の続きです。


この事業所では職員が常時不足していて公募するなどしていても条件も良いとは言えないので応募者もないに近いくらい少なかった。なかなか人が定着しない現状に手を焼いていた施設長の宇賀さんや副施設長の谷さんは何とか私を早く雇用に結び付けたいと考えていた。そうすると私の雇用実績と職員不足の解消両方が実現できるからである。

 

そんな中で私が訓練している期間中多くの職員がやってきた。私が入所してから定着した職員は前年11月から来たトイレ行くな事件の桜川さんと1月から来ることになった御厨さんの2人だけだった。職員は以前からいる玉本さんと施設長と副施設長合わせて5人だった。

 

新たに職員を雇用しても1週間持たないこともしばしばで中には1日で退職してしまう人もいるほどだった。この定着率の悪さに職員たちもあきらめモードだった。

 

ところがこの事業所を運営する法人が新たに隣町で別の就労継続支援B型の事業所を開設することがこの年の秋に決まったことで当然のことながら人員が必要となる。就労継続支援B型の事業所の職員も必要になるので事前に就労移行支援の事業所で研修をして開所とともにそこの職員になってもらうという構想を描いていた。

 

この法人は人手が足りなくなると縁故に走る傾向にあった。表面上分からないようにはしているが待遇を公募で来た人よりも手厚くするなど利用者である私がらみてもこの職員は縁故で来ているなというのがわかるほどだった。

 

余談だが私は精神保健福祉士に合格した年(2013年)に職安を通して仕事を探していたがなかなかいい返事をもらうことができなかった。だからこんなに常時人員不足で経験のない人でも雇用する現場を見て驚いていた。京都で精神保健福祉士登録者は現在約1700人いるがこれでも過剰であると言われている。ちなみに大阪では5000人以上いる。

 

それだけに精神保健福祉士有資格者の私は手放したくなくて何とか雇用したいと理事長(この法人では社長と呼ばれている)も考えている様子だった。私がなかなかいい返事をしないので人員の計画が立てられないが私にも職業選択の自由がある。前述の看護師の奥村さんにも声がかかっていたものとみられる。

 

福祉の業界は低賃金の割に負担が重いことで知られている。ただ費用の出どころは自己負担が一部ある場合を除いて公費(介護保険や障害者総合支援等)なので運営さえしっかりやれば他の業界と比べると安定しているとは言われている。

 

この事業所で人がなかなか定着しないことには大きな原因があった。この時はその原因までは分からなかったが実際に雇用されることが決まった段階で分かった。詳細はこのテーマの最後の話でしたいと思う。

 

 

話は次回に続きます。

 

 

 

 

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