男たちのブルース | お宝映画・番組私的見聞録

男たちのブルース

「日テレ・ポスターコレクション」の話は続くのだが、中でも目を惹くのは(ポスターは大体目を惹くが)、ポケットに手をいれ、一人たたずむ黒縁メガネの中年男…そう芦田伸介(当時53歳)である。タイトルは「男たちのブルース」(70年)。
芦田といえば「七人の刑事」で約八年、終了後も「二人の刑事」と、当時はとにかく刑事のイメージが強く、このドラマもサスペンスものなので、刑事の役かと思いきやそうではない。
戦時中、芦田は特殊潜航艇の艇長で、その部下だったのが高松英郎である。高松は地元のヤクザになっていたが、芦田には恩義を感じていた。しかし、その高松が殺され芦田はその真相に迫っていくというようなストーリーらしい。芦田は刑事ではないが、刑事っぽい活躍をみせるようである。
他の出演者だが、芦田の息子役が田村正和で、かつての恋人が水野久美、他は役柄不明だが、珠めぐみ、勝呂誉、高橋昌也、細川俊之、橋爪功、田中明夫、加藤和夫、神田隆、そして特別出演扱いで加賀まりこといった顔ぶれである。
例のごとく、ほとんど情報のないドラマではあるが神田隆が副主人公的な活躍を見せるというような書込みがあった。悪役のイメージが強い神田だが、60年代までは東映の「警視庁物語」シリーズなど芦田同様に刑事役が多かったので、本ドラマでもそうだったのかもしれない。
生島治郎の原作小説があるようなので、詳しく知りたい人はそちらを読めばわかると思う。ところで、テレビドラマデータベースによると、本作は連載小説とドラマが同時進行で展開するという趣向でスタートしたが、後半はドラマが先行してしまい倉本聰の脚本を小説が追いかける形になったという。
ちなみに、このドラマには<芦田伸介劇場…1>という冠がついているのだが、<芦田伸介劇場…2>の存在は確認できなかった。おそらく、本作終了の翌々週に同じYTVをキー局にスタートした芦田主演、倉本脚本の「涙の河を振り返れ~艶歌より」(71年)がそれに該当すると思われるが、放送曜日・時間帯が替わってしまったため<芦田伸介劇場>は1だけで消えてしまったのかもしれない。