大宝の配給作品 | お宝映画・番組私的見聞録

大宝の配給作品

大宝の配給作品には前項の「狂熱の果て」以外には次のようなものがある。
「飼育」(61年)。流れから新東宝っぽい作品ばかりと思いきや、これは監督が大島渚である。出演者も三國連太郎、沢村貞子、戸浦六宏、小松方正、浜村純、そして奥方となる小山明子といった大島映画っぽいメンバーの中に何故か三原葉子が紛れている。
「黒い傷あとのブルース」(61年)。主演は牧真史という人だが、日活ニューフェースの1期生だった牧真介と同一人物と思われるがはっきりしない。牧真介は記録では59年で引退したことになっているが、復帰していても不思議はないだろう。他の出演者には島崎雪子、龍崎一郎、清水元、南道郎といった渋いメンバーが並んでいる。
「黒と赤の花びら」(62年)。これは出演者が天知茂、三原葉子、丹波哲郎、松浦浪路、細川俊夫、沖竜次といった新東宝メンバーが並んでいる。ヒロイン役は新東宝系ではない上月左知子。松浦浪路は本作で引退したらしい。前項の「狂熱の果て」と「黒い傷あとのブルース」と本作は佐川プロの制作となっているが、佐川とは石井輝男作品でプロデューサーを務めた佐川滉のことである。
「大吉ぼんのう鏡」(62年)。寺内大吉の原作でシナリオ文芸協会が制作となっている作品。出演は龍崎一郎、筑波久子、川喜多雄二、炎加世子、そして松原緑郎など。
以上が大宝が存在した3ヶ月の間に公開された作品だが、業務停止後に「波止場で悪魔が笑う時」(62年)という作品が公開されており、これも大宝の作品らしい。これの主演は先ほどの牧真史で、泉京子、筑紫あけみ、そしてコロムビアトップ・ライトなどが出演していたようだ。しかし、マキシンジというと、どうしても牧伸二の方を思い浮かべてしまう。この頃すでにデビューしており、翌63年頃から人気を得たようである。役者の牧真史は本作で姿を消したようである。
いずれもソフト化などされていないのではと思いきや「飼育」はDVD化されているようだ。さすがは大島渚である。しかし、これらの作品は新東宝作品と同様に国際放映が管理しているのだろうか。