組織におけるコーディネーションの問題を考える上での前提となる考えについて | Work , Journey & Beautiful

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前回、組織における動機づけの問題を考える上での前提となる考えについてで取り上げたことの繰り返しだが、組織マネジメントの中心的な課題は2つである。それは

①コーディネーション
どのような情報のもとで誰が意思決定を行うか、必要な情報を確実に入手できるコミュニケーション・システムをどのように設計するかという課題

②動機づけ
それらプロセスにかかわる各個人が、自らの役割を積極的に果たすような保証を設けること。


の2点だ。
今回はこのコーディネートの問題について簡単に前提を整理する。

仮に一人で全ての業務を行うときにはコーディネートが問題になることはない。一方で、多くの組織がそうであるように複数人で業務を行うことになると、
①必要なすべての作業が行われる事を保証しつつ、
②仕事が重複したり非効率にならないように
コーディネートする必要が生まれる。つまるところコーディネーションの目的は組織のパフォーマンスの最大化である。


そもそも組織のパフォーマンスとは何か?最大化というがどのようにして測ることができるか?経済学的な視点に立てば、経済システム自体を含むいかなる組織にとっても、その目標は個々の人間の欲求とニーズを充足することである。(そこで一番重要なのは、誰の利益が考慮されており、どんな選択肢が可能かを考えることだ。)

つまるところ、組織のパフォーマンスを高めるとは、いかに利害関係者の利益を、いかに効率的に最大化できるか?ということと同義である。ではここでいう効率性とはどのようにして測定されうるものなのだろうか?

例えば同じ期間、同じ資源をもって、同じ目的(同じような要件の利益)に取り組むといった、「同じ条件」の組織A社とB社というように比較できるならば組織の効率性は比較できるし、測定できる。しかし現実的には上記のように相対的に比較することは難しい。

相対的に比較できないということは、客観的な指標でもって測定することも困難であるということと同義である。

では組織の効率性を測定することはできないかというと必ずしもそうではない。例えば経済学的には組織及びその利害関係者となる人々が十分に話し合うことができ、その決定をきちんと実行し強制できるならば、少なくとも話合いに参加した人たちにとっては経済活動の結果は効率的となる、と考えられている。(これを経済学的には効率性原理と呼ぶ)



組織のコーディネートを実現するために、一番重要なことは各個人が自分が置かれた環境、状況、局面に合わせて効率的な選択を行うことてある。個人が効率的な選択を行うためには、そのために必要な情報をもつ必要があるが、多くの場合その情報の多くをもっていない。

例えば目の前のAという業務に対して、どこまでを自分が行い、どこまでを誰かに委ねるべきなのかを選択するために必要な情報をあげると、

①顧客をはじめとした利害関係者の期待値がどの程度であるのか?
②Aという業務の他にどのような業務があり、誰がどのように関わっているのか?
③また、それぞれの業務に対する利害関係者の期待値はどの程度のものか?
④上記のような線引きをいくつかのパタンで行うとするならば、それぞれのパタンによって利害関係者の利益はどのように変化するか?

といった情報が必要になるが、当たり前のことだが、これらの情報を個人が保有することは不可能である。

従って、実質的にコーディネーションの課題を解決する方法は

・個人の効率な選択を支援する仕組みを作る(ex.IT活用)
・情報を特定の人に集める(選択=意思決定を行う個人を選択し、権限と責任を集中する組織構造を作る
・市場価格システムを通じた組織内コーディネートを行う(ex.京セラのアメーバ経営)

などが用いられることになる。



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