器用貧乏万歳、を実現する「掛け算」と「戦略性」。 | Work , Journey & Beautiful

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オルタナティブな学びを探求する

匠の様に一つの技術を掘り下げること、つまり特化技術が日本人の特性としてスポットを浴び続けてきたその陰で、半ばぞんざいに扱われ続けてきた不幸な存在がいる。


それが器用貧乏、またの名をマルチ派・バランス派。


今回はそんな器用貧乏な人について。





僕の肌感覚では、結構器用貧乏タイプの人間は多い。


何かに突出して秀でているわけではないが、様々なことを一般よりは少し高いレベルで程々上手くこなしていく。こういった才能を「器用貧乏」という言葉によって「なんでも程よく出来るけど、どれもこれも中途半端」というイメージでラッピングして、切り捨てられてきてる感じだ。


これって大概に悲劇だと思う。(思わない?)


確かにこれまで日本は専門性をすり合わせることで組織を作ってきたきらいがある。例えば小数精鋭、という言葉があるけれどどんな集団を想像します?それぞれに専門性の長けた、スペシャリストの集まりをイメージしません?そこにはなかなか中途半端な器用貧乏が入りこむ隙間はなかったりする。


現代は「個」の特性が大きく注目される時代だ。(組織は個人の安全を以前ほど保証できなくなったから)
誰だって自分のキャリアをよりよいものに、より確実なものにしたいという焦りを持っている。


そんな中で、「あなたは何が出来る人?」という問い掛けを恐れて自己成長に逸り、焦り20代を過ごす


勿論、成長欲求があることはいいことだけど、行き過ぎた成長意欲やキャリア志向は人間関係や価値観に支障をきたす


例えば逐一仕事に対して「これをやることで自分は何を身につけられるんだろう?」とか「どんなメリットがあるんだろう?」とか思いながら取り組んでいたらどうなるだろう?短期的には価値を見出だせなくても長期的に芽が出る仕事ってたくさんある。でもそういった長い目で見なければいけない仕事は若く、逸る人にはさぞかしまどろっこしく、意味のないものに感じられるだろう。で、結果気付けば「なんとなく仕事が出来る」だけの何かに突出しているわけではない器用貧乏が出来上がる。


または自分の専門性を高めようとした時に一番難しいテーマは何かというと、「何を専門とするか?」だと思う。ここが定まらずに20代で3社、4社と転々と職を移る。職を移れば移るほど「そもそも自分は何がやりたかったんだ?」と自問自答して悶々とする。


結構、こんな人、多いです。




で、そうならないために、重要だと思うのは「掛け算」と「戦略性」だと思う。





まず、そもそも器用貧乏には要領の良さと飽きっぽいところとが併存している。それこそが器用貧乏が器用貧乏たる所以だ。良いように言い換えると本質を掴むのが他人より早い人が多い。

普通、一から丁寧に学んでいくのに対して、「そもそもこれは何のためにやってるのか?」「目的から考えてやらなくていいことは何か?」「どうすれば少ない労力で他の人と同等あるいは以上の成果を上げられるか?」を考える傾向にあって、それはそれで素晴らしい考え方だ。ただ、ある程度のレベルを越えるためには一定以上の努力が必要なんだけど、その努力が出来ない。なぜならその分野でずっと地道に努力してきた人間に勝てるわけがないからだ。それなら始めから地道に努力すればいいのに、って話なんだけどそれが出来たら「器用貧乏」にはならないわけで(笑)


で、そんな器用貧乏な人にこそ重要なのが「掛け算」だと思う。


ここでいう「掛け算」ってのは、既存の昔からある人材マーケットでは地道に努力している人に勝てない、のであれば自分が勝てる人材マーケットを創ってしまおう、ということを指している


例えば「ほどほどの英語力」と「ほどほどの財務知識」と「ほどほどのシステム開発経験」を持っている僕の会社のビジネスパートナーT氏はめちゃめちゃ頭がいいわけでもなければ、ビジネス経験が豊富なわけでもない(若いので)が、その組み合わせの希少価値が高いためにコンサルタントとしてよく声がかかるらしい。


つまり、一つ一つが「半端」でも「ほどほど」でも組み合わせ次第では、極めて希少価値の高いビジネスパーソナリティを獲得できるってわけ。


ただ節操なしに組み合わせてもなかなか価値は生まれないので、ある程度戦略性は必要だ。
・自分は将来何がしたいのか?
・そのためにどのようなキャリアを掛け合わせる必要があるのか?

を考え抜く必要はある。その意味でやたらめったら広く浅く色々身につけることも戦略っちゃー戦略だ。(あんまりお勧めできないけど)


また、掛け合わせて魅力的なキャリアにするためには個々のフェーズで努力が必要だというのは言うまでもない。でも、意図的に掛け合わせようとしている人は結構違和感なく努力しているもんで。しかも「人並み」以上に。それというのは「一つの分野では地道に努力している人間には勝てないけど、これとあれを組み合わせれば自分が勝てるキャリアマーケットを作れる」と思っているから、なのかもね。



とまぁそんなこんなで、「器用貧乏ってよくない?」っていう風潮を作ってみたいなぁとひそかに企んでいる今日この頃です。





■2009.10.31(sat) 19:00~ @Colabo cafe

vinviolette 3rd party "In Celler"




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「良音」
生き急げ 絶えず 程よく 比べることなく - Ignite something of us border=