最期のときの迎えかた(映画のタイトルみたい) | さみしかったりたのしかったり

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悶絶するほど猫と自己探求が好きです。
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藤田紘一郎さん(感染免疫学や寄生虫学の教授)の著書『遺伝子も腸の言いなり』の中にあったエピソードのひとつが妙に心に残った。


インドネシアのカリマンタン島には、「首狩り族」と呼ばれたダヤック族が暮らしています。
80年前までは「首狩り」を実際に行なっていたそう。
農耕民族である彼らが「首狩り」をする理由は、限られた食糧で部族全体が生き残っていくため。
働けなくなった病人や老人は集団生活を維持するのに重荷になるので、お祭りとして「間引き」をしていたのだそうです。

これと同じようなことは、ほかの移動型狩猟民族でも行われていたそうです。
動けなくなった高齢者への対応は民族によってさまざまで、民族移動の際に少しの食糧を残して置き去りにしたり、自発的に死を選ばせたり…。
いずれにしても、民族が生き抜くために必要な伝統的行為だったのです。


この内容を読んで最初に思ったのは、
『老後の平和な死』という概念がない人生で、彼らは何を想いながら子を産み育て、日々を生きていたのだろう?
ということ。

ケガや病気で若くして死んでしまうか、長生きできても過酷な死に方が待っている。
まるで野生動物のよう。

そこでふと、日本にも姥捨山というおはなしがあったなと思い出しました。

そういう文化は何も特別なものではなく、生命が誕生してから何千年何万年も繰り返されてきた生き残るための知恵。

その時代を生きたヒト・動物たちは、自分が将来どんな死に方をするかよりも、今をどう生きるかで必死だったのではないかと思いを馳せることができます。

そして、苦痛・苦悩のない最期を迎えることが『いい人生』というわけではないな…と、あらためてハッとしました。


豊かになった現代では、ヒトの発達した知能はさらに快適さを求めつづけています。
暮らしの中から不快感はどんどん排除され、将来も快適でありつづけるための準備に奔走しています。
過酷な死を迎えるなんてもってのほか。
最期のときは、家族や友人に手を握られて愛に包まれながら眠るように息を引き取る…
That is the BEST!!


社会的に「孤独死」が問題になっていますが、それも集団意識としての恐れが大きいように感じます。
ひとりさみしく死んでゆくことは、感覚的にもステータス的にも最悪な結末であり、現代人にとっては『人生に失敗した』という烙印になるのか。

わたし自身は死んでしまってからのステータス?は気にしないけれど、死を迎えるまでの苦痛や苦しみが長引くのには抵抗があります。
逝くならラクに逝きたい。

この感覚があたりまえだと思っていたけれど、生命体の先輩たちに言わせれば
現代っ子だな〜
甘っちょろ〜
ってところだろうか。

はなしを戻して、
「孤独死」の何が問題かと言うと、そうならないための対策とは?とかではなくて、
ひとりでひっそりと死んでゆくことを社会的に“ダメなこと”にしてしまっていることだと思う。

冷静に考えると、ひとりでひっそりと…の何がいけないんだろう?
さみしい?かわいそう?
でも、自分以外の誰かから愛されてる証拠をそこで確認するっていうのも変なはなし。
虫だって動物だってみんなひとりで死んでゆく。
どんなに甘っちょろくなっちゃったわたしたちにだって野性的に潔く死に向き合うDNAは残っているはず。


だからといって、潔い死がカッコイイとか言うわけではなくて、
やりたいと思うなら望むような死を迎えられるように準備したほうがいいと思う。
ただそれが、苦しみたくないから とか、さみしい思いはしたくないから とか、現代社会に洗脳された甘っちょろさからくるもので、それを回避するために無理して高い保険に入ったり、やみくもに治療を受けたり、テレビの情報に振り回されたり、子どもたちや親戚や友人に媚を売ったり、恩を売ったりしているとしたら…

実は、ものすごーーく心にも体にも他者にもストレスを与えているから、やめれるならやめたほうがいいと思います。

痛みも苦しみも孤独感もその先の死も、やって来たら来たでわたしたちにはちゃんと受け止められるはず!たぶん 笑(←自分に言っている)

だから、将来への恐れや不安への対策で今の日常を犠牲にするのではなくて、
どんな結末が来てもわたしは大丈夫!
と野性の誇りを思い出して、今このときから自分の本当の想いを大切に生きていけたら、いろいろな問題(だと思っていたこと)がクリアにシンプルになっていくんじゃないかと思います。



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ここ3日くらいのひとりごとが、やっとまとまりました。
最後までありがとうございますほっこり



ベル