腸間膜静脈硬化症はまれな病気で、大腸の血流が悪くなることにより、重症では大腸を切り取る必要があります。漢方薬が原因になりえます。京都大学の研究班から、漢方薬を40年間飲み続けた人の例が報告されました。

◆漢方薬を40年間飲んでいた87歳女性

ここで紹介する症例報告は、腸間膜静脈硬化症の適切な手術法に関わる経験として記述されています。

報告されている87歳女性は、漢方薬局で働いた経歴があり、黄連解毒湯などの漢方薬を頻繁に飲む習慣が40年間続いていました。

腹痛とお腹の張りを訴えて病院に行き、イレウス(腸閉塞)と診断されて入院になりました。

イレウスとは腸が詰まって流れなくなり、内側から高い圧力がかかって腸が膨れ上がってくる病態です。軽症ならイレウスチューブを入れて圧力を減らす治療により改善が見込めますが、重症の場合は手術が必要になります。

この女性はイレウスチューブの治療を受けましたが、症状が治まりませんでした。



◆腸間膜静脈硬化症の診断で大腸切除に

レントゲン写真やCTなどの検査により腸間膜静脈硬化症と診断され、漢方薬の長期使用が原因の>可能性があるとみられました。

緊急手術で一時的に改善して退院となりましたが、2回目の手術のために開腹したところ、大腸の一部が血流の悪化により黒紫色に変色している様子が見られました。大腸の半分を切り取り(右半結腸切除術)、残った小腸と大腸をつなぎ合わせ、漢方薬もやめたことで、2回目の手術から2年後まで再発なく経過しました。

研究班は考察として「漢方薬が原因の腸間膜静脈硬化症は、ほかの原因の腸間膜静脈硬化症に比べて右半結腸に限局した病変として発生する。漢方薬が原因の腸間膜静脈硬化症に対しては通常、結腸部分切除が適応となる」と述べています。



まれな病気に対しても症例報告から情報が積み重ねられることで、治療がより洗練されたものになり、原因に対応した治療法を判断できるようになります。


 このような記事を読んだら、漢方薬の服用が非常に怖くなりますね。しかし、この記事には、漢方薬と腸間膜静脈硬化症の因果関係の詳細な説明がないこと、また漢方薬の内容の服用履歴がないこと、また、漢方薬がその病人の病気の状態とあっていたのかなどの検証をしないで、勝手に因果関係を決められていては、非常に迷惑ですよ。病態に合わせていない漢方薬を服用したら、効かないだけでなく、副作用がでる。これ当たり前ことではないでしょうか。