アメリカ・ジョージア州・アトランタで起こった、学力テストにまつわるカンニング・スキャンダル。今日はその最新情報が報道されたので、そのことについて。


Atlanta Latest in String of Cheating Scandals

http://www.edweek.org/ew/articles/2010/08/17/370700ustestcheatingscandal_ap.html?tkn=XSMFhMauF4JHbqa%2BGcUkIVw1r6wIQXYw91qC&cmp=clp-edweek


随時お伝えしている、アトランタのカンニング事件。アトランタ市内・12以上の小中学&高校で、生徒のテスト用紙に、書き直した答えが正解となり、その正解の確率が(統計学上の)分析上起こりえないことから、、カンニング不正疑惑にまでなっている、このスキャンダル。



***カンニング事件ネタをお忘れの方は、2010年8月5日「カンニング疑惑の調査結果が発表される」をお読み下さい***



前回お伝えしたのは、調査結果が発表され、カンニングを行った完全なる証拠はないものの、疑惑だけが残っている・・・こんな感じでした。


あれから数週間。案の定、まだまだ揉めています、この話し。


記事で伝えられているのは、


-生徒の一人曰く、先生が耳元で設問の答えをささやいた


-学校関係者が生徒の解答用紙の答えを書き直しているのを先生が目撃し、それを言うと「Shhhhh(しー!!)」と言われた


など、明らかにカンニングが行われた情報ばかり・・・。


さらに、問題なのは、このAtlanta Public Schoolsという学区の最高責任者が、カンニング事件前に、学力が大いに向上した・・・などの理由から、2009 Superintendent of the Year by the American Association of School Administratorsという賞を受賞してたから、はっきりいって厄介です。


要するに、2009年度・学区(School District)最高責任者のモデルとして賞を受賞した、その功績であったはずの学力テストアップの結果が、カンニングだった・・・という疑惑


とはいえ、ブッシュ政権時代に定められた、


2013-14, 100 percent of students are required to be proficient in math and English language arts

2013-14年度には、全米全ての子供が、数学と英語において、Proficient(標準レベル以上)レベルに達していないといけない


という取り決めで、基準を満たさなければ何らかの制裁が待っており、学校関係者もそれを達成するために必至です(といっても、カンニングが許される事にはならないですが・・・)。


前回もお伝えした通り、アトランタ市内では、カンニング行為がなされたに違いない結果が出ていて、今回の記事でも、


93~97%の児童が算数&英語のテスト基準を満たしたとされる、ある小学校では、あまりの多くの不正解から正解に書き直された回答が生徒の回答内にあり、報告された調査結果では、その確率がなんと


10兆分の1


こんな値が出たら、誰でもおかしいと思います。


で、問題の一つは、


学区の最高責任者がこのカンニング行為の指示をしたのか、つまり関与があったかどうか?


ということ。


実は、偶然かどうかはともかく、おかしなことがあり、


-カンニング疑惑がある12の学校の生徒を対象に、3ヶ月の特別指導プログラムを行う指示を出し、それら生徒が数学&英語の学力が遅れていないことを確認させていた


→つまり、何も特別なことをやっていなくてテストスコアーが上がったら不自然で、こういった特別プログラムを施行することで、テストスコアーが上がった・・・という根拠となる(アリバイ作りのように見えなくもない・・・ということです)。


-テストスコアーが上がった生徒と直接関係のない12人の校長先生を転任させ、元々いる学校関係者の名前は、今回のカンニング事件の調査のために提供している。


→なぜテストスコアーが上がったそれぞれの校長先生が転任されたの不自然・・・と思えなくもない。


いずれにせよ、この学区最高責任者に責任が及ぶのか?が一つの焦点になっています。


元々今回のカンニング事件は、生徒のテスト用紙の書き直し回答に不自然な数(つまりあり得ない程多くの)の正解回答が見られた・・・というのが事の発端でした。


ただ、このようなカンニング事件は、ジョージア州・アトランタだけでなく、


1.メリーランド州・ボルティモア(Baltimore)


何千もの数で、正解へ書き直された回答が見つかり、ある小学校の校長先生が懲戒免職&校長先生の免許剥奪(その校長先生は、不正疑惑を未だ否定していますが・・・)。


2.テキサス州・ヒューストン


2005年の調査で、23の学校でカンニング疑惑が発生。結果として4つの学校から6人の先生が解雇&3人の学校関係者が降格処分。


翌年、カンニング行為が拡大し、疑惑に上がったのは(なんと)442校!!テキサス州政府は、より厳しい取り決めを実施せざるを得なくなり、最近では複数の学校で、学校関係者が多数、カンニング行為に関わったとされ、解雇処分又は、他へ部署替えを行う。


今年5月には、(以前このブログでお伝えしたかもしれませんが)ある小学校の校長、副校長が、テスト改ざん事件で辞職。調査結果から、学校関係者が、見てはいけないテスト問題を事前に盗み見し、それを下にテストガイドなるものを生徒の提供した・・・という事件。


3.ワシントン州


約20以上の調査結果から、何人かの先生が、テスト前に設問内容を生徒に伝えていた、又は生徒の回答の書き直したり、生徒に回答を書き直すように指示した事件が判明。


4.ヴァージニア州・ノーフォーク(Norfolk)


州政府の調査で、校長先生が先生方にプレッシャーをかけ、オーバーヘッド・プロジェクターを通して、テストの正解をなんと教えていた。


5.マサチューセッツ州


あるチャータースクールが、異常なテストスコアーのアップから、学校閉鎖へ追いやられる。


というわけで、No Child Left Behindのプレッシャーから学校関係者の大変さは分かりますが、不正行為は認められるわけはなく、今回のアトランタ・カンニング事件もその一連です。学区最高責任者の処遇を含む、その対応に依然注目が集まっています。


このブログでは、(私の専門は、カンニング行為をデータ分析して発見する側ですが)、政治的対応にも注目し、何かあればまたお伝えしたいと思います。