アメリカ・公立学校で働く先生に対して、アメリカ・連邦政府からの教育予算で銃の購入は認められる、とトランプ政権が公言した、というニュースについて。
Top Trump Education Official: Schools Can Use Federal Money to Arm Educators
Will States Allow Districts to Arm Educators Using Federal Funds?
前回のブログで、アメリカ・連邦政府が施行するAccountability法、Every Student Succeed Actの予算を使って学校の安全・危機管理目的で銃の購入は認められるのか?についてお伝えしました。丁度ブログ更新した翌日にニュースが流れ、教育副長官の一人(Assistant Secretary of Education of Elementary and Secondary Education)・Frank Broganが公的に連邦政府の教育予算で銃の購入は認められる、と発言しました。
<銃の購入に関する教育長官の立場>
この問題、一定のトレーニングを受けた学校の先生ならば、教室内であっても銃の保持を認める州の一つ・テキサス州政府からの質問に対し、トランプ政権がはっきりと銃の購入についての見解を明らかにしました。
前回のブログでは、民主党の一団から教育長官・Besty DeVosに対して、連邦政府の教育予算で銃の購入を認めないようにしてほしい、と懇願した・・・というところまででした。これに対して、Besty DeVos教育長官は、正式に、
”I have no intention of taking any action concerning the purchase of firearms or firearms training for school staff under the ESEA...Congress did not authorize me or the Department to make those decisions”
(Accountability法である)Elementary Secondary Education Actの下において、銃の購入、又は銃の使用訓練に関するいかなる措置を講じる意志はなく、議会も(教育長官である)私や教育省にそのような決定を下す権限を下したことはありません。
と民主党の政治家による公的な書簡に対して返事をしました。教育長官の返事を分かりやすく言うと、教育長官として各学区が連邦政府からの教育予算で銃の購入や銃の使用訓練等を行うことに対して何らかの通達を行うことはない、ということ。
一見なるほどーって思えますが、別の見方をすると、
教育長官として、学区が銃の購入をすることを禁じたり止めさせることもまたしません
ということであり、容易く言うと教育長官はこの件に一切関わりません・・・と責任を全く取るつもりはないような発言でした。これにさらに付け加える形で、今回教育副長官が公的に発言し、事実上学区による判断次第では、銃の購入オッケーという話になったので、マスメディアも報道しています。
<教育関係者の反応>
この発言、民主党の政治家はもちろん憤慨、さらにアメリカの2大教員組合の一つ・American Federation of Teachersももちろん憤慨、というわけで教育関係者はかなりご立腹です。
トランプ大統領はもちろんこの発言を全面的に支持し、学校のスタッフや先生が銃保持することで学校はより安全になる・・・と発言。
銃といえばアメリカでは誰もが思い浮かぶ、The National Rifle Association(NRA:アメリカ銃協会)ももちろん支持。後は田舎の学区は意外に支持してます(田舎の学区は、警察が来るのも面倒なくらい距離が離れているため、警察が来るのを待ってられない・・・という理由らしいですが・・・)。
<銃購入を規制できるか?>
現在の連邦法では、各州政府の学区が銃購入を禁止する法律は存在しません。では、禁止する法律はできるのか?という疑問がわきますが、教育長官の理解では、
Accountability法・Every Student Succeed Act法のStudent Support and Academic Enrichment Grantsと言われる枠内でArming teachers(学校の先生に銃などの保持をさせる)ことが可能
という見解で、民主党陣営はこれに対して真っ向から異議を唱えています。それ故、民主党陣営からは、連邦政府からの教育予算内での銃の購入を禁止する法律を作ろうという動きが出てきています。ただ、法律を可決させるには共和党の支持が必要で、共和党内ではむしろ教育長官の立場を支持する側が多くいるのが現実。
共和党内でも、Arming Teachers(教員に銃などの保持をさせる)という考えをも支持する人もいれば、その考え自体好きではないが連邦政府の教育予算で銃購入することは合法でそれは問題ない、ということで、まー要するに教育長官支持です。
一応現在の法律では、アメリカ50州の内、テキサス州を含む19州の州法で、学校関係者が銃の保持を認めています。19州はちなみに、
Alaska, Arizona, Connecticut, Georgia, Iowa, Kansas, Louisiana, Massachusetts, Michigan, Montana, Nevada, New Jersey, New York, Ohio, Oklahoma, Oregon, Texas, Utah, Vermont
で、保守的な州ばかりか?と思いきや、マサチューセッツなども含まれているから、私にもよく分かりません・・・。
もちろん、各州微妙に州法が異なるため、どのような条件・規制のもとに銃の保持を認めているか、それは各州法を見てみないと分かりませんが、いずれにせよ、これがアメリカの現実です。
というわけで、このネタ、また何かアップデートがあれば、お伝えしたいと思います・・・。