アメリカ・K-12の教育政策・最先端レポート -データ分析の観点から

アメリカのK-12(小学1年から高校3年)に関する教育政策、膨大なお金がうごめく教育産業、教育政策を支える教育研究機関の動向を(勝手気ままに)述べるブログです。アメリカの教育政策に直接携わる立場から、分かり易くレポートしていきたいと思います。



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アメリカ・連邦政府が規定した新たなAccountability政策・Every Student Succeeds Act(ESSA)により、各州政府が州法に合わせた州独自のAccountabilityプランの作成&提出(第1回目)が行われた、という話。

 

Every Student Succeeds Act: Six Questions to Ask About State Plans

 

A Look at How Some States Want to Handle School Ratings in ESSA Plans

 

Which School Quality Factors Are States Including in Their ESSA Plans?

 

最近、ESSAとChronic Absenteeism(慢性的な欠席:欠席日数が学校日数全体の10%かそれ以上のこと)についてブログを書きましたが、実はAccountability政策について、4月3日に一つ、大きな流れがありました。それは、

 

アメリカの各州政府が、連邦政府より2017−18年度より実施されるAccountability政策・ESSAに沿った州独自のAccountability政策・プランを提出する

 

というもの。その第一次締め切りが4月3日で、アメリカ50州の内9州(コネチカット、デラウェアー、イリノイ、マサチューセッツ、ネバダ、ニュージャージー、ニューメキシコ、テネシー、バーモント)とワシントンDCがAccountabilityプランを提出しました。

 

第二回締め切りが9月18日にあり、この締切にその他多数の州政府が州独自のAccountability政策・プランを提出すると思われますが、今日のブログでは上記の提出した州政府が具体的にどのようなAccountabilityプランを提出したのか?について紹介していきたいと思います。

 

<School Rating&5th Indicators>

 

最近書いたChronic Absenteeismに関するブログでお伝えした通り、今回連邦政府から規定されたAccountability政策・ESSAでは、各州政府が5つの指標(Indicators)を設け、その指標を通してパフォーマンスの低い学校を特定し、その特定する判断を下す学校評価基準を設けることが定められています(詳細は過去のブログ参照を)。

 

そのため、一体どんな学校評価システムにしたのか?5つ目の指標に何を用いたのか?について、各州政府それぞれ見てみると、

 

(コネチカット州)

合計12の指標を採用したコネチカット州。各指標の占める割合は下記のグラフを参照してもらうとして、12の指標を使い、各学校を0−100点換算で評価していくAccountabilityシステムに落ち着きました。

興味深いのは、5つ目の指標としてPhysical Fitness(おそらく体育の身体能力を用いた指標)やAccess to Art Education(美術:アートの授業へのアクセス)があり、勉学以外の指標も取り入れている所。

 

(デラウェアー州)

この州の特徴は、ESSAで規定された5つ目の指標であるSchool Quality(学力テスト等で測定されない項目)が学校評価全体の20%を占め、それが2つの項目(Chronic Absenteeismの割合と、College & Career Preparedness:大学進学・就職への準備がどれだけで来ているか?についての指標)で構成されていること。

 

(ワシントンDC)

 

DCは学校評価を5段階(0-19.9, 20-39.9, 40-59.9, 6--79.9, 80-100)に分ける評価システム(名前はSchool Transparancy and Reporting)にしている所。

 

5つ目の指標である、Chronic Absenteeism、Standardized Observation(リンク先の記事から理解する限り、第三者の参観によるアンケート調査結果のようなもの・・)などで判断し、上記の0−100点換算の評価結果を行う、とのこと。

 

(イリノイ州)

 

イリノイ州は(5段階評価のDCと異なり)4段階評価を採用(Exemplary, Commendable, Underperforming, Lowest-performing schools)。一番良いExemplaryは67%の基準値を下回る(Underperforming)のグループが全くいない、州内上位10%の学校で、逆に一番下のLowest-performingは州内下位5%で高校レベルで卒業率67%以下の学校。

 

主な5つ目の指標は、Chronic Absenteeism、アンケート調査、9年生での卒業進路状況など。

 

(メイン州)

 

メイン州は今回のESSAのAccountability新システム以前から、独自のAccountabilityシステム(4段階の評価制度)を採用していたため、それを継続して採用し、(Chronic Absenteeismの割合とは別の)一定の出席率を満たしている生徒の割合を指標として用いています。

 

(マサチューセッツ州)

 

マサチューセッツも1−100点換算の指標を用いていて、評価基準は6段階(1-5, 6-10, 11-24, 25-49, 50-89, 90-100とリンク先にはありますが、まだ確定ではないそうです)。

 

主な5つ目の指標は、Chronic Absenteeismの割合、9年生での授業成果、高校レベルでの授業終了状況など。

 

(ネバダ州)

 

ネバダ州も1−100点換算、5段階評価のAccountabilityシステムを採用。ネバダ州は長く5段階システムを採用していたため、これを継続して採用するに至っています。

 

主な5つ目の指標として、出席率を基づいたStudent Engagement(訳しづらい英語なんですが、出席率等を下にどれだけ学校にコミットしているかを示す指標)、学力テストに基づいたCollge and Career Readiness(大学進学・就職する学力的な準備ができているか?という指標)、学力差(小中学校にのみ行う指標で、人種間の学力差、男女の学力差など少ないほうが良い)などなど。

 

(ニュージャージー州)

 

ニュージャージー州は、評価システムが単純な100点換算ではなく、結構ややこしく規定されていて、以下がリンク先にあった一例です。

5つ目の指標(Chronic Absenteeismのみ)が学校評価の10%を占めるシステムになっています。

 

(ニューメキシコ州)

 

A-Fの評価システムで過去5年間学校評価を行ってきたミシシッピー州は、今回のESSAのAccountabilityシステムでの引き続きこのA-Fシステムを用いる予定で、5つ目の指標は、出席率、(学力テストで測れない部分を測る)アンケート調査、学力差をどれだけ縮めたか(小中学年のみの指標)で構成。

 

(テネシー州)

 

州法でも規定されているA-Fの評価システムを取り入れることにしてテネシー州。5つ目の指標として、Chronic Abnseteeismはもちろん、停学率、そして大学進学に必要な学力を有しているかを測るテスト内の基準値に達しているかどうかを含む、卒業率を含んでいます。

 

(バーモント州)

 

4段階評価となるシステム(Bulls-eye, On-target, Near Target, Off-target・・・という少々変わった4段階評価)を設定するバーモント州。5つ目の指標は、(Chronic Absenteeismは入っておらず)College and Career Readiness(大学進学・就職に必要な学力を有しているかの能力)、Physical Fitness(日本語しずらいですが、身体能力に関する測定だと推測されます)、理科系学力などなど、と今回紹介した州の中では一番独特の指標を取り入れています。

 

<総評>

 

今日はとりあえず、ぱーと締め切りに提出した各州政府のAccountability政策のアウトラインについてお伝えしました。4月3日に提出されて以降、細かな詳細が明らかにされ、それに伴う記事も多数出てきているので、次回以降より細かくAccountability政策を見ていきたいと思います。

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生徒の出席率(アメリカでは欠席率:Absenteeism Rateと表示)とアメリカのAccountability政策についての3回目。

 

Chronic Absenteeism Could be Low-Hanging Fruit for ESSA Indicator

 

Lessons for Broadening School Accountability under the Every Student Succeeds Act

 

アメリカのAccountability政策とChronic Absenteeism(慢性的な欠席)の話しの三回目(今日がこのネタの最後です)。

 

<ESSAの指標に必要なこと>

 

過去2回のブログで、アメリカ最新のAccountability政策、Every Student Succeeds Act(ESSA)、そしてESSAによって義務化された、パフォーマンスの低い学校を特定するために5つの指標を設けること、その5つ目の指標としてChronic Absenteeism(慢性的な欠席:1年間の学校日数の10%かそれ以上欠席すること)を用いること、これらの説明をしてきました。一応、過去二回のブログの要点のおさらいをすると、

 

"Accountability requires that the fifth indicator be comparable statewide, and thus have a common, statewide definition. "

Accountability政策によって、5つ目の指標は州内で比較可能なもの、つまり州内全体で共通する定義であること)。

 

定義・・とは、つまり、この指標が州全体で共通した分析・計算・測定方法で行われること、という意味で、要は州内全ての学校に公平な指標であること、という意味です。

 

また、常に批判される学力テスト等の指標と異なり、Chronic Absenteeismのデータ(=生徒の学校出席状況のデータ)は全学校に存在するデータなので、指標としては使いやすく、学校間のパフォーマンスの違いを示す指標として最適、ということが特徴です。

 

さらに、学校に出席・欠席は直接、学業成績や卒業状況に影響を与えるので、指標として用いても批判は少なく、学校・学区内でChronic Absenteeismを下げる(=学校をサボらせないようにする)努力等取り組みやすいので、指標としては加えるべき、これがリンク先の結論です。

 

<Chronic Absenteeismの問題点>

 

では、このChronic Absenteeismを指標として用いても全く問題がないのか?というと、そんな訳ありません。紹介したリンク先のレポートは肝心の主要問題点をさほど大きく取り上げていないですが、重要な問題・課題等もあり、そちらもきっちり取り上げると、

 

(問題点1:Chronic Absenteeismの評価基準)

 

”the discrete threshold for chronic absenteeism gives no incentives for schools to reduce a student’s additional days absent”

(慢性的な欠席に対して設けられる、個々の基準値では、各学校が生徒の欠席日数を減らす動機づけに全くならない)

 

意訳しても分かりにくいので、説明を加えると、このChronic Absenteeismよりひどい欠席率(=学校日数10%以上の欠席)になっても、(学力テストでProficiencyレベル、Basicレベル等ある一定の基準値に基づいた、明確で複数のレベルが設けられていることとは異なり)、Chronic AbsenteeismはChronic(慢性なレベル)なったかどうか?の1点の基準のみです。

 

それ故、Chronic Absenteeism以上の欠席率になっても、Chronicになっている・・・という評価のみで、学校側がプレッシャーに押されて酷い欠席状況を食い止める、明確な動機付けは存在しません

 

この話、学力テストと比較すると分かり易くて、テスト結果は一般的に4レベルほどで報告されます(全米共通学力テストPARCCは4レベル、もう一つのテスト・SmaterBalancedは5レベル)。生徒の学力を測定し、その結果を4ー5レベルの基準値で判定する、テストはそういう風にデザインされています。

 

他方、Chronic AbsenteeismはChronic Absenteeism以上は、どれだけ悪くなってもChronic・・・とのみの表示で、(学力テストのような)バリエーションがなく、学校側が努力する特定のイニシアティブがない、という指摘です。

 

*****

都市部学区でChronic Absenteeismのレポート(毎年報告義務あり)を3年も連続して担当した私個人の経験を言うと、(リンク先のレポートはChronicかどうか?の基準値1つという指摘ですが)、私が働いていた学区は、この欠席率の基準に相当するカテゴリー、実は4つありました・・・笑。

 

私の学区では、私が担当する4−5年前から、

 

Low(欠席日数5%以下) - 

Medium(欠席日数5%以上、10%未満)

Chronic(10%以上、20%未満)

Excessive(20%以上)

 

の4つのカテゴリー(基準)でした。どういう経緯でこの4つになったか知りませんが、このカテゴリーで学区内の全学校を分析、また学年別、性別、学校別、人種別などで分析&報告しました。

 

言わずもがな、学力テストでProficiencyレベルに達しているかどうか?が一つの合格ポイントであるように、Chronicに達しているかどうかが、欠席率の明確なポイントでした。

 

私の勤務した学区は州都市の学区だったので、州政府からの注目度が高く、学区のトップである教育長はもちろん、学区内の偉いさん方は皆、このChronic Absenteeism Rateが毎年順調に下がったかどうかを大変に気にしていました。

 

とはいえ、この4つのカテゴリーがどう生徒の学業成績と関連性があるかどうかまでは突っ込まれないので(つまり、欠席率が毎年順調に下がったかだけが極めて重要だった)、Chronic Absenteeismの割合が学業成績にどれだけ影響を与えていたかは分かりません(というか、分かりようがない理由が実は存在してたためなんですが、それは後で書いてあるので、このブログを最後までお読み下さい・・・)。

 

ということを考えると、リンク先のレポート、ある有名な組織のリサーチャー3名が関わったみたいですが、(私の学区のレポートのようなカテゴリーについて言及が全くないので)多分3人とも学区(School District)での仕事経験がないのでは?と勘ぐってしまいます。

***

 

(問題点2:データ管理&システム)

 

2点目ですが、このトピックの一回目のブログで言及した話しの関連です(シカゴの高校が出席記録を改ざんした話)。確かに、学校現場で記録改ざんはあると思います・・・が、これだけではありません。

 

Chronic Absenteeismのデータ分析での問題は、(私の学区での仕事経験からズバリ言うと)

 

欠席日数のカウントの仕方&それに関連した規定

 

これです。実はアメリカ、学区内のデータシステムで"欠席”記録されるのは、その学区、州政府によって別々のルールがあるのです。

 

私が学区で働いた事例を取り上げると、その州都市に位置する学区、生徒がデータベース上欠席となるのは、

 

その日の3時間目の授業まで欠席だった時(言い換えると、3時間目から学校に来たら、データベース上なんと出席扱いとなる)

 

というふざけたルールがありました(笑)。これ、嘘みたいな本当の話で、学区の学校に通う全生徒のデータ管理するデータベース上で言うと、

 

3時間目から出席した生徒は、遅刻のカテゴリー(多分日本人の方には馴染みない単語だと思いますが、Tardyと呼ばれる)にチェックがデータが入り、他方、学校出席の欄には、出席のデータとして記録され、欠席(Absence)とデータ上記録されないデータシステムとなっています。

 

私が学区のChronic Absenteeism Data Reportという名の欠席状況のデータ分析&レポートを初めて作成した2013−14年度の時、まさかこんなルールで出席&欠席がデータ管理されていると知らずにデータ分析していました。

 

先程Chronic Absenteeimsが学業にどれだけ影響を与えているか分析しようがない・・・とお伝えしたのはこれが理由です。

 

例えば、ある生徒がデータベース上出席でも、実際は1,2時間目は欠席して3時間目から登校してても、データベース上はきっちり”出席”となります・・・が、仮にその欠席した1,2時間目に学力テストで測定される英語、又は数学の授業があったとしたら、どうでしょう?

 

データベース上は出席、でも実際は1−2時間目にあった数学、又は英語の授業を欠席しているため、こんな(実際エラーのある)データで生徒の出席状況と英語&数学の学力の関係性を分析してもエラーが出て、信用できない分析結果しか出せない、

 

これが学区の(実際に働いていたために知ってる)内部の問題です。こんな誤魔化ししても欠席率下げたいか!!と思いますが、残念ながらこれが現状です(しかも学区上の公式な規定だからビックリです)。

 

ただ、興味深いのは私が働いた3年目の2015−16年度、学区内のルールは変わない代わりに、州政府のルールが変わり、我々がデータ分析する(欠席・出席状況を含む)以前のオリジナルのデータを全て一度州政府に送り、州政府がデータクリーニング等を行って、学区に再度提供し、各学区が通年通りのデータ分析&レポートを行う、

 

となりました。つまり、私のようなデータ分析のリサーチャーがアクセスできる欠席・出席の判断された記録を集めたデータ以前のデータ(=各授業の出席・欠席状況は各授業担当の先生がネット入力し、データベース上自動的に出席&欠席が記録されるシステムなんですが、その出席&欠席の記録される前のまさにオリジナルのデータ)を州政府に送り、州政府が規定する方針でクリーニングされたデータが戻ってきました。

 

すると・・・です。州政府の規定は

 

(3時間目から授業に出席すれば出席扱いだった学区と違い)2時間目までに出席しないと欠席にする

 

でした。慌てたのは学区側。そんな厳しくなった(といってもまー普通のような気もするが)新ルールの下にChronic Absenteeismをデータ分析したら、案の定、

 

過去5年連続で減少していたChronic Absenteeismの割合が上昇(欠席率なので、上がるってことは悪くなった、ということです)

 

という結果に・・・(笑)。そりゃー、これまで出席扱いだった3時間目から来た生徒が欠席扱いになれば、欠席率が上がるのは当然であり、現場がこんな生ぬるいルールで出席のパフォーマンスが上がっていると主張してたこと自体おこがましいですが・・。

 

というわけで、ポイントは

 

出席・欠席の記録にする(学区を超えた)州規模での共通したルール規定(規定がなければ、州法で規定を設ける)

 

これがデータ記録かいざんを防ぐことと同じくらい重要です。私のようなデータ分析の専門家が学区のデータベースからアクセスして得るデータは、あくまで学校の各先生が入力したデータをIT部門が(3時間目から出席した生徒が出席扱いでデータに記録されるような)プログラミングされたデータなので、こんな訳分からないことが起こります。

 

ちなみに、私が勤務してた学区のデータベースシステム、全米のかなり多くの学校で採用されているデータベースシステムで、他の多くの学区も同様の問題を抱えていることになります。

 

<総論>

 

最後に総論として、ESSAの指標としてChronic Absenteeismが機能するのか?についての個人的意見を少々。

 

今日のブログで長々と述べたデータベース上の規定(州法、又は州法改正)を設ける必要性はもちろんですが、リンク先のレポート、Chronic Absenteeismの指標としての適正を少々過大評価しているような印象を受けます

 

生徒の学力が全てテストで測定されるわけではない、等の批判を受ける学力テストバイアス(不公平な判断・結果)を受けやすいと言われるアンケート調査結果と異なり、出席・欠席はそのような不公平は判断となることも少なく、テストスコアーのような一部分の能力のみが測定されるようなこともない・・・、これが(ざっくり言うと)Chronic AbsenteeismをESSAの指標として適切であると主張する、今回のリンク先のレポートの意見です。

 

・・・が、果たしてそうか?というと、そうでもない、と私個人としては思っています。話を整理しますが、Accountability政策であるESSAにおける、各指標を設ける目的は、

 

各学校のパフォーマンスを把握し、パフォーマンスの低い学校を特定する

 

です。(学力テストで、全生徒を英語&数学でProficiencyレベルを達成させる、という最終目的だったNo Child Lfet Behind Actと異なり)ESSAの目的は学校レベルでのパフォーマンスを把握することです。学力テスト一辺倒だった前Accountabilityシステムでは、スタートラインで基礎学力以下だった学校が、基礎学力レベルに達するという学力向上に成功しても、Proficiencyレベルに達していない、という理由でパフォーマンスが低く評価されました。

 

その反省から、過去2回のブログでお伝えした通り、Proficiencyレベルに達したかどうかの一つの指標から、複数の指標に改正され、さらに学力テスト一辺倒から、他の指標も導入することになった、ということになります。

 

しかし!!です。Chronic Absenteeism(慢性的な欠席率)にしても、実は学力テストと状況が似ていて、始めからみんな同じスタートラインからヨーイドン!!ではありません。貧困レベルの高い地域は元々ひどいChronic Absenteeismを抱えています(逆の言い方をすると、裕福な地域は元々欠席率は低く、Chronicなどほぼない・・・つまり、欠席率において全ての学校が同じスタートラインでパフォーマンスを評価されるわけではない)。Chronic Absenteeism Rate(欠席率)を指標を導入し、Chronic(慢性レベルかどうか?)の指標に仮にすると、Proficiencyレベルに達したかどうか?の指標で判断する学力テストと同じような不公平な指標となり得ます。

 

さらに・・・です。学力テストが指標として批判される理由として、

 

学力テストスコアーの上昇・減少は、(先生の授業の質・学校の学習サポートなど)学校内の影響だけでなく、学校外の影響(家庭での影響・学校終了後の学習等)といった学校のパフォーマンスとは無関係の要因もあるので、学力テストの結果で学校のパフォーマンスを判断するのはおかしい(エラーがある)

 

という指摘です。確かにこれはもっともな指摘で、学力テストの伸びから学校の影響で伸びた分だけ抽出して分析しようってのが、Value-Added Measure(Model)と言われる分析方法(最近まで私がブログで書いてたStudent Growthの話しがまさにこれ)で、専門家の間でもそれが理論上可能かどうかずーと議論されています。

 

学力テストの伸びがこのように学校独自の取り組みや先生の影響といった学校内のパフォーマンスに関係するものから(家庭内の取り組みといった)学校外のものまである・・・というのは、このChronic Absenteeismにもがっつり当てはまります!!!

 

私が働いた学区の例で言うと、学区内に州内ナンバーワンと言われた高校がありました(その高校だけ突出して大学進学率が高く、学力テストの結果も突出してました)・・・が、そんな教育熱心な家庭出身ばかりの生徒が多く集まる高校だけあって、(興味深いことに)学力テストは教育上おかしい、という信念なのからか、(州法で規定された、必修である)州規模の学力テストをボイコットする、そのボイコット率は実はこの学校が一番高かったのです!!

 

教育熱心な家庭出身者の多い生徒を抱えるこの高校。学力テストに対しては批判的な立場を取る保護者が多く、テスト実施日だけその立場上子供を休ませる・・・なる行動に出ており、テスト実施日だけに関して言うと、なんと学区内全ての学校で一番高かった・・・という結果です。もちろん、学校1年を通した欠席率が学区内で一番低いのはこの学校なので、このテスト実施日のみ欠席者の多いのは、学校のせいではもちろんなく、保護者の意向であり、これを学校のパフォーマンスとして査定されると、学校側は大変困ります。

 

上記の例は少々極端かもしれませんが、それくらい保護者の影響で欠席率は大きく変わるので、Chronic Absenteeismが学力テストよりも公平に学校のパフォーマンスを査定できる・・・というのは何か違うような気がします。最低でも、

 

Chronic Absenteeismで学校のパフォーマンスを学力テストよりも公平に評価できるとは限らない。

 

言い換えると、

 

Chronic Absenteeismで学校の影響だけを評価できることはなく、学力テストとあまり大差ない

 

こんなことが言えると思うのですが、リンク先のReportはそのようなことを言及されていないので、学区のデータ分析に携わっていた私からすると、なんか肝心のポイントが欠けている・・・そんな印象を受けたレポートでした。

 

というわけで、そんな感じで、次回以降、最近大きな動きがあった、Accountability政策、Every Student Succeeds Actについて書きたいと思います。

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前回の続きで、生徒の出席率(アメリカでは欠席率:Absenteeism Rateと表示)とアメリカのAccountability政策について。

 

Chronic Absenteeism Could be Low-Hanging Fruit for ESSA Indicator

 

Lessons for Broadening School Accountability under the Every Student Succeeds Act

 

前回はAccountability政策であるEvery Student Succeeds Act(ESSA)とそのAccountabilityシステムで学校の評価、又はパフォーマンスの低い学校を特定するために使われる指標となりうるChronic Absenteeism(慢性的な欠席:学校日数の10%以上欠席)について説明しました。

 

今回は具体的に、Chronic Absenteeismがどのように機能して、AccountabilityシステムであるESSAの規定にフィットするかまた別の角度から説明していきたいと思います。

 

<ESSAの5番目の指標>

 

ESSAの5番目の指標、ということですが、アメリカ連邦政府は5番目の指標(Fifth Indicator)は何でも良い、と言っている訳ではなく、ある程度の規定を設けています。(Chronic Absenteeismを5番目の指標として適切云々に)まず、その規定を掘り下げていくと、

 

1.Allow for meaningful differentiation in performance on the indicator between schools

(学校どうしのパフォーマンスの違いをはっきりさせる指標)

 

前回のブログでお伝えした通り、この指標の目的は各学校のパフォーマンスを測定し、パフォーマンスの低い学校を発見・特定することです。指標に基いて分析したが、どの学校も同じだった・・・なることでは許されません(というか、どの学校もパフォーマンスが同じだった・・・なることはあり得ませんが・・・)。

 

2.Valid, reliable, comparable, and state-wide across all schools and by grade span

 

(敢えて日本語訳書きませんでしたが)この英文の意味する所は、この指標が州のどこでも同じように正当できっちり機能すること、そして全ての学年で同じように機能すること、ということです。

 

別の言い方をすると、State-wide・・・というのは、都市部の学校だろうが、郊外の学校だろうが、それこそ田舎の学校だろうが、州内全ての学校に公平に査定できる指標であること(間違っても、ある一定の地域の学校に有利になる指標ではなく)という意味です。

 

By grade spanというのは、その指標が小学校では達成しやすい(又は良い評価を受けやすい)が、学年が上がれば難しくなる・・・そのような学年の違いがなく、どの学年でも公平な指標であること(間違っても、小学校、中学校、又は高校など、特定の学年にだけ有利に働くことのないように、ということ)。

 

3.Must be likely to impact student learning and, for high schools, increase rates of graduation and postsecondary enrollment

 

5番目の指標は生徒の学習に影響を与えるものでないといけなくて、高校レベルでは卒業率を上げ、大学進学をアップさせるような指標でないといけない、ということを規定しています。

 

4.Must be calculated the same way in all schools or vary by grade span

 

これは5番目の指標の数値は(全ての学校に対して)同じ分析方法で行うこと(間違っても学年によって、ころころ分析・計算方法が変わることがあってはいけない)、という意味です。

 

5.Can be amended over time

(修正可能)

 

通常、決まった方法を(例えば翌年とかに)修正することは禁止されているものですが、意外にも修正可能、ということ。(修正されると、前年分析したスコアー(数値)と翌年の数値が異なる意味となり、比較不可能になる懸念があるのですが、今回はどうも違うみたいです)。

 

以上が、ESSAに規定された5番目の指標を設ける際のルールです。

 

<Chronic Absenteeismは指標となり得るか?>

 

では、Chronic Absenteeism(慢性的な欠席)がこの5番目の指標としてなり得るのか?について考えたいと思います。

 

まず、最初に、

 

学校に行き、授業を受ければ、基本学力は上がる

 

ということは、まー共通認識とされています(もっとも、授業を受けることでどれだけ生徒の学力は伸びるか?(学業にどれだけの影響を及ぼしているのか?)がデータ上はっきり証明されてはいませんが・・・)。

 

しかし・・・です。問題はやっぱりあって、

 

schools may falsify attendance logs

(学校が出席記録を改ざんすることがある)

 

これです。リンク先のレポートでは、シカゴの高校が出席日数を水増しした例を取り上げていて、その対策として州政府や学区がきっちりデータの管理運営することを述べています(もっとも、学区で働いていた経験から個人的見解を述べると、これでもまだまだ甘いですが・・・。)

 

さらにこのレポートでは、

 

Across the nation, 18 percent of schools have a chronic absence rate above 20 percent; i.e., one in five students in about one in five schools misses at least three weeks. 

(全米レベルにおいて、18%の学校がChronic Absenteeism(慢性的な欠席)の割合が20%を超えており、これは5校に1校の内、5人に一人が3週間かそれ以上学校を休んでいることになる)

 

と言っています。イマイチ分かりにくい言い方してるので、私が働いていた学区の経験を紹介すると、私の働いていた都市部学区は6つの高校がありました。その内、Chronic Absenteeismと呼ばれる割合、つまり学校全体の平均欠席率が10%を超える学校が2つありました。この二校の欠席率を計算したら、生徒一人の平均欠席が、週に一回学校を休む計算になる・・・とまー、よく休む生徒たちです(笑)。

 

***

余談ですが、このESSAに基づいた各州政府のAccountabilityプラン&政策ですが、4月3日に第一次締め切りがあり、連邦政府に提出した州政府の内、5州政府(コネチカット、デラウェアー、イリノイ、マサチューセッツ、テネシー)&ワシントンDCがChronic Absenteeismを指標として採用しています。

***

 

<データで見るChronic Absenteeism>

 

では、リンク先のレポートに紹介されている、最新のChronic Absenteeismの割合のデータ結果(2013−14年度)を見ると、

X軸が学校レベルのChronic Absenteeismの割合(右へ行く程割合が高く、良くないことを意味する)、Y軸が各学校の割合(上の結果は全米レベルなので、連邦政府が公表している全米全ての学校が含まれています)。

 

グラフにあるように、薄緑色の所(8.5%)のみChronic Absenteeismの割合がゼロ(つまり、慢性的な欠席をしている生徒が一人もいない)ことを表します(個人的には8.5%にビックリですが・・・)。

 

次にChronic Absenteeismの割合と学力テストの結果の関係性について。

データは2013−14年度、ニューヨーク市の小学4年生と中学二年生(8年生)のデータ。グラフ左側が小4、右が中2です。この分析、緑色が欠席率が低い(つまりChronic Absenteeismではない)グループで、薄緑がChronic Absenteeismのグループで、それぞれグループ内で何%が数学(Math)、英語(ELA)のテストで習熟レベルと見なされるProficiencyレベルに達しているか?を表しています。

 

結果は、言わずもがな、Chronic Absenteeismではないグループの方が、数学、英語ともにProficiencyレベルに達している割合が高く、敢えて興味深いのはChronicではないグループの小4での数学の割合が高く、中2では英語の方が高い、ということです。

 

***

グラフにある、School Climateはおそらくアンケート調査で出したデータですが、どういったアンケート調査か、リンク先のレポートでは分からないので、言及しません、悪しからず。

***

 

もう一つ紹介するのは、Chronic Absenteeismの割合と卒業率(On-time Graduationとグラフで表示されているので、これは12年間、つまり留年することなく卒業した割合)の関係性を表したグラフです。

データは、2014−15年度で、左側がオレゴン州のデータ、右はニューヨーク市のデータ分析結果です。

 

濃い青の棒グラフがChronicではないグループ、水色側がChronic Absenteeismのグループでは、オレゴン、ニューヨーク市どちらもChronicではないグループの方が卒業率が高く、ニューヨーク市の方がその差が大きいことが分かります。

 

<総論>

 

今日は5つ目の指標の詳細、そしてChronic Absenteeismについて前回より突っ込んだ説明を加えたブログでした。

 

上記のデータ分析結果、Chronicかどうか?である程度の学業成績の違いが示すことができる、ということを証明したかったために、リンク先のレポートはデータ結果を掲載したので、その辺りを掴んでもらえれば良いかな・・・と思います。

 

というわけで、次回をこの結果に基づき、Chronic AbsenteeismをESSAの指標の観点から政策レベルでどう扱うか?について紹介する予定です。

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生徒の学校出席状況と学業、教育政策、とりわけAccountability政策への応用について書かれたレポートについて。

 

Chronic Absenteeism Could be Low-Hanging Fruit for ESSA Indicator

 

Lessons for Broadening School Accountability under the Every Student Succeeds Act

 

最近Student Growth(学力の伸び)ネタが続いたので、少しお休みし、全く違うネタ・Accountability政策とそれに関連したChronic Absenteeism(慢性的な欠席)について。

 

<Accountabilityシステム:ESSA>

 

今日の話、オバマ政権で可決&実行される新たなAccountability政策・Every Student Succeeds Act(ESSA)によって、各州政府が州法改正、州のAccountability政策の改正を行っている最中で、これと関連してChronic Abseteeism(慢性的な欠席)が重要になってきている・・・という話で、まず最初にESSAの概略をお伝えします(というか、これを先に説明しないと後の話ができないのです)。

 

では、このESSAとはどんな法律か?(何度かこのブログでお伝えしてますが、おさらいです)というと、

 

"Under ESSA, states will be required to begin collecting data during the 2017-18 school year in order to identify the lowest performing schools the following school year. "

(2017−18年度から、パフォーマンスの低い学校を特定する目的でデータ収集を義務付ける)

 

以前のAccountability政策であったNo Child Left Behind Act(NCLB)が学業成績を含む、学校現場の現状をあぶり出すことに一定の成果を上げたことから発展し、各州政府はパフォーマンスの低い学校を特定しないといけない、と一歩進んだ内容になりました。さらに、

 

"ESSA requires state accountability systems to annually measure five indicators that assess progress toward the state’s long-term educational goals"

州で定めた長期的目標をどれだけ達成したかを査定する5つの指標を、Accountabilityシステムにおいて、毎年測定する

 

とESSAで5つの指標(又は観点)を通して州が定めた目標をどれだけ達成したか分析しないといけなくなりました。NCLB法で規定された学力テストでProficiencyレベルにどれだけ達したか?のテストスコアー重視の観点から、(テストスコアーだけで以外にも)5つの指標というもう少し幅広い観点から学校現場のパフォーマンスを評価しようとしています。

 

<5つの指標とは?>

 

では、この5つの指標はどのようなものか?というと、ESSAではそれも規定されていて、

 

(指標1〜3:学業成績に関するもの)

 

指標の一つは(NCLB法を継承した)学力テストで測定した学力(例:Proficiencyレベルに達したかどうか?など)、学業成績

 

二つ目の指標も、中学・高校レベルに関係する(指標1の)テストスコアー以外の学業を測定するまた別の指標(例:学力の伸び(←Proficiencyレベルに達する・しないに関係なく、学力の伸び自体で学業の出来具合は評価できます)、卒業率など)。

 

三つ目の指標は、高校卒業・大学進学に関連する学業成績を示す指標アメリカで数年前から注目されているCollege-readinessがまさにこれ)。

 

(指標4:英語学習者(English Language Learners: ELL)

 

このブログでもお伝えしたことがありますが、NCLB法にはなかった新しい指標で、ELL生徒の学力向上。ELL専用の学力テストそれ自体は必修でしたが、どれだけELLの生徒の英語力が伸びたか?がAccountabilityシステムに含まれることになりました。

 

(指標5:School Quality ・Student Success)

 

今日のブログの話がこれで、5番目の指標、Student Quality又はStudent Success

 

従来(つまりNCLB法)にはなかった、学力以外の指標を設けることがESSAでは規定されていて、具体的には

 

”The fifth indicator may include measures of student or educator engagement, student access to and completion of advanced coursework or postsecondary readiness, school climate and safety, or any other indicator under a broad banner of school quality and student success. "

 

上記の英語、大変訳しづらいので、敢えて日本語訳付けませんでしたが、要するに

 

生徒の学力以外で、学校の質、又は生徒の学業達成を示す(学力以外の)測定可能(Measurable)な指標

 

これをAccountabilityシステムに加えることが義務化されました。School Safety(学校の安全性)でも構わないし、Completion of advanced coursework(Advanced Classと呼ばれる学業成績の高い生徒用の授業終了)を指標にしても良いし、そういったことを指標にして設けなさい、というのが今回のESSAの法律内容です。

 

こういった指標を設けることで、(既に述べた)パフォーマンスの低い学校を特定しなさい!!、ということがこのESSAの主な流れになります。

 

<Chronic Absenteeismとは?>

 

今日紹介したリンク先のレポート、実はこの5番目の指標にChronic Absenteeism(慢性的な欠席率←日本語に大変しずらいですが、無理やりした訳語なので、すっきりしない日本語です、すみません・・・)を用いてはどうか?、そんな内容で、そのリサーチレポートを取り上げた理由はまさにそれです。

 

ではまず始めに、このChronic Absenteeismとは何か?というと、

 

1学年(つまり一年)で欠席日数15日以上、又は1年の学校日数の10%以上を欠席

 

というのがChronic Absenteeismと見なされる感じです・・・感じというのは、アメリカの場合、各州によって、1年の学校日数が一定しておらず(州によって結構ばらつきがあります、実は)、さらにこの10%というのも州や学区によってばらつきがあります。

 

今回紹介したリサーチ・レポートはニューヨークCity(つまりニューヨークのマンハッタン、そしてその近郊エリア)のデータを使って、Chronic Absenteeismの割合と学力結果の関係性を分析したもので、それを通して、新たなAccountability政策であるESSAの規定される指標の一つとしてChronic Absenteeismが使えるかどうか?という検証を行っています。

 

というわけで、この話、前置きだけで結構長くなったので、今日はこの辺りで。続きは次回書きます。

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テーマ:

学力の伸びを測定する方法の一つで、過去の膨大なテストスコアーのデータから、次のテストで獲得するであろうスコアーを予測し、予測されたスコアーと実際に取った点数を比較することで学力の伸びを判定するResidual Gain Modelについて。

 

A Practitioner's Guide to Growth Models

 

前回に引き続き、学力の伸びの測定方法の3回目。今日はまた別の測定方法のである、Residual Gain Model。

 

<Risidual Gain Modelとは?>

 

英語にすると一見難しそうですが、理屈は単純で、

 

How much higher or lower has this student scored than expected given his/her past scores?

(生徒の過去のテストスコアーから分析された(これくらい上がるであろうと)予想される点数と比べてどれくらい高いか低いか)

 

というもの。以前にも説明しましたが、例えば、

 

ある生徒がテストで100点中50点だとしたら、過去に同じテストで50点だった全ての生徒の次のテストで取った点数を全て集計し、50点だった生徒の次のテストのスコアーの伸びを計算します(それを英語でExpected score)。そして、ある生徒が取った点数の伸び(その生徒の点数は英語でObserved score)と過去に50点だった全ての生徒の伸び、すなわちExpected scoreを比べ、その生徒の伸びの方が過去に50点だった全ての生徒の伸びの平均値(=Expected score)より高ければ、+(プラス)で、低ければー(マイナス)と表記される

 

というのが、この学力の伸び、すなわちResidual Growth Modelです。

 

去年(前回)より今回のスコアーがどれだけ上がったか?を測る他の学力測定モデルとは決定的に異なり、Residual Growth Modelは予測される学力の伸びと比べているのがその特徴です。

 

<Residual Gain Model:学力の伸びの測定方法>

 

まずは、下記のグラフを見て下さい。

グラフの下(つまりX軸)はGrade 3(小3)の学力で、左側(Y軸)はGrade 4(小4)の学力です。今回は例として8人の生徒のデータ(つまり8人分の小3&小4の時のテストスコアー)が含まれています。

 

小3のテストスコアーが345点に3人、350点に3人、そして355点に二人で、後は小4の点数に応じてそれぞれ黒点が表示されています(例:小3に345点だった生徒3人が小4のテストスコアーが335点、355点、そして360点の位置に黒点があります)。

 

斜線はそれら8人の生徒の点数を平均化したもの(もちろん、実際のテストでは8人どころか数千人、数万人のデータですが)。この線が先程説明した、過去のテストスコアーか分析された上がるであろうと期待(予想)されるスコアー(Expected Score)を表したものです。では、上記のグラフを使った実際の学力の伸びを計算すると、

グラフにある様に、上がるであろうと予想されたスコアー(Expected Score)よりも上(つまり学力が過去小3で350点を取っている生徒に比べて、4年生時の学力が予想されていた伸び以上の伸びている)で、小3に350点取っている生徒の4年生でのスコアーの平均が364点で、比較されている生徒の実際の点数が375点、つまり+11点、と表示されます。これが、Residual Gain Modelの学力の伸びの測定方法です。

 

<Risidual Gain Model:主な特徴>

 

このRisidual Gain Modelですが、いくつかの特徴があるので、そこにも言及すると、

 

(1)グループレベルでの分析結果

 

グループレベル(例:各担当教員別、学校レベルなど)での分析結果が使えるのが、このモデルの強みであり特徴で、既に使用したグラフで説明すると、

分かり易く、2つのグループに分けられていますが、グループA(Expected Scoreを示す斜め線の上にある黒線で囲っている3つの点)の平均が約9点(つまり、Growth Scoreが9点)。グループB(黒の点線で囲っている、斜め線の下)の平均が約−12点。説明しやすいように点が3つずつのグループですが、実際これが数十人、数百人になっても平均値の計算方法は同じで、分かり易く、説明しやすい点がこのモデルのメリットです。

 

(2)Adequate Growth(十分な学力の伸び)とは?

 

実はこのResigual Gain Model、一つ重要な問題・欠点のような特徴があって、

 

学力が十分向上した(Adequate Growth)と呼ばれる基準値を規定しにくい

 

という少々困った問題あります。アメリカで使用される学力テストは、(このブログでは再三再四お伝えしている通り)Proficiencyレベル、と呼ばれる、各学年で規定される学力の基準値があり、この基準値に達しているかどうか?で学力を判断します。

 

他方、Residual Gain Modelになると、この学力向上(Growth)は過去のデータからExpected Scoreが導かれ、このスコアーと比べて上か下か?の話しになるので、学力が十分あると認定されるProficiencyレベルとは別の話しになります。

 

一応、専門的観点からResidual Gain Modelでも似たような基準値を設けることは可能らしいですが、設定するとかなり大変で、なかなか使い勝手が悪いみたいです。

 

(3)一定しない学力の伸び(Growth Gains)測定基準

 

最後に一つ、このモデルの欠点。過去のテストスコアーを計算して、Expected Score(掲載したグラフの斜線)を導き出すこのモデル、これは過去のテストスコアーなので、毎年過去のデータを加えて再度計算することでExpected Scoreもまた大なり小なり変化します。

 

ということは、学力の伸びの数値もまた変化し、毎年毎年使用し、数年レベルでどう学力向上が変化したか?を計算するには不向きになります(つまり一定していない)。数値上計算して学力向上を測る客観性がある一方、長期レベルで使用するには不向きの特徴があります。

 

<総論>

 

学区でのデータ分析した経験から言うと、アメリカのテスト会社から送られてくるテスト結果のデータファイルにはこのResidual Gain Scoreで計算されたスコアーも含まれていて、いつもへーって思いながら眺めていますが、実際の教育政策で使われたことは見たことがなく、専門的には興味深い分析方法ですが、これまた実際に現場に役立つような活かし方は?となると、少々疑問です(といっても、まーどこかで活用されているとは思いますが・・・)。

 

というわけで、奥が深い、学力の伸び測定方法でした。

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