京都金属弦ハープサマースクール2016 受付開始。 | アイリッシュ・ハープ研究家、奏者、制作者、音楽教育者 寺本圭佑

アイリッシュ・ハープ研究家、奏者、制作者、音楽教育者 寺本圭佑

アイリッシュ・ハープ研究家、奏者、制作者、音楽教育者、寺本圭佑の教室やイベントについて書いています。

2010年から開催してきた京都アイリッシュ・ハープサマースクール。
おかげさまで7年目に突入しました。
毎年日本全国、津々浦々から多くの方にご参加いただいています。
11世紀頃から何世紀ものあいだ、アイルランドで演奏されていたものの、
19世紀末に伝統が途絶えた「金属弦アイリッシュ・ハープ」について楽しく学ぶ会です。
初日の夜には参加者の皆さんと交流を深めるレセプションも予定しています。

今年は盲目のハープ奏者アーサー・オニールの没後200年。
応用編では彼が残した「アーサー・オニールの回想録」の解説をはじめ、
アイリッシュ・ハープ史における彼の位置づけなどを考察したいと思います。

みなさまのご参加をお待ちしております。



*この時期、京都は大変込み合っております。
遠方からお越しの方はお早目に宿のご予約をお願いいたします。


日時:2016年8月12日(金)13日(土)14日(日)

基礎編:10:00-12:30
応用編:14:00-16:30

12日(金)
基礎編
金属弦ハープ特有の演奏技法を習得。ダンピング練習を中心に。楽譜を使わない音楽への導入。
応用編
座学:アーサー・オニールの生涯と功績
実践:金属弦ハープ音楽特有のレパートリーを弾く。

13日(土)
基礎編
金属弦ハープ特有の演奏技法を習得。装飾法を中心に。楽譜を使わない音楽への導入。
応用編
座学:アーサー・オニールの回想録を読む。
実践:ほかの楽器のための楽譜を金属弦ハープ用に編曲する。

14日(日)
基礎編
金属弦ハープ特有の演奏技法を習得。アーティキュレーションを中心に。楽譜を使わない音楽への導入。
応用編
座学:アーサー・オニールのハープとレパートリー
実践:ヴァリエーションの創作を楽しむ。


場所:薬師山美術研究所(京都市北区大宮薬師山東町30)

アクセス:地下鉄「北大路」駅下車、市バス1系統「玄琢下(げんたくした)」停留所より徒歩3分
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/yakubi/map.html


講師:寺本圭佑

対象:未経験者、初中級者向け。
これからアイリッシュ・ハープを始めてみたい方。
アイリッシュ・ハープの歴史に関心がある方。
楽器は手に入れたけど、もっとアイリッシュ・ハープの世界を深く知りたい方。

基礎編では、金属弦ハープ特有の奏法や技法を集中的に修練します。
応用編では、資料研究の座学など少しアカデミックな内容となりますが、初心者の方も歓迎いたします。

楽器も無料で貸し出しております。会期中は持ち帰って練習していただけます。

また、会期中は寺本手作りの小型金属弦ハープの展示及び販売も行う予定です。
この機会にぜひご覧ください。もちろん試奏も可能です。


定員:各コマ10名 会場の都合上、定員が限られております。お早目のご予約をお願いいたします。

会費:1コマ4,000円(全6コマ、資料代込)


ご予約方法:お名前、連絡先、参加日(午前/午後/両方)、参加人数をお書きの上、
queenmaryharp@gmail.com(寺本)までメールをお送りください。

折り返し、振込先口座をお知らせいたします。


アイリッシュ・ハープとは?
11世紀からアイルランドで演奏されてきた楽器で、同国の国章とされる。
他国のハープと異なる最大の特徴は、金属弦が張られていたことで、これにより哲学者ベーコンも称賛した美しい響きと長い残響音が得られる。
その黄金時代はエリザベス1世やジェームズ1世の治世で、この頃英国やデンマークなどの宮廷にはアイリッシュ・ハープ奏者が雇われていた。
アイルランドでは失明したものがこの楽器を学ぶ習慣があり、なかでも有名なのがカロラン(1670-1738)だった。彼は独創的な作品を次々と生み出し、アイルランドの国民的音楽家とみなされるようになった。
カロランの死後、聴衆の趣味の変化とともにアイリッシュ・ハープ音楽は衰退の一途をたどる。だが、国章でもあるこの楽器は当時の愛国主義とも結び付けられ、保護活動が行われるようになる。放浪のハープ奏者を奨励すべく1792年ベルファストでハープフェスティヴァルが開催され、鍵盤楽器奏者バンティングが盲目のハープ奏者らの演奏を採譜した。
さらにバンティングはハープ協会を設立し、後継者の育成をもくろんだ。この時講師として選ばれたのがアーサー・オニール(1734?-1816)だった。
協会で学んだパトリック・バーンが1863年に他界したことでアイリッシュ・ハープの伝統はいったん途絶えてしまう。
20世紀に入り、ガットやナイロン弦が張られたネオ・アイリッシュ・ハープが登場するも、それは伝統的な楽器とは歴史的関連性のない、音色も奏法も全く異なる別の楽器だった。
その後、1980年代以降、古い金属弦ハープの復興運動がおこり、今日に至る。


【参加者の声】

今回初参加で、とても楽しい時間を過ごすことができました。ハープや音楽の話を詳しく聞くことができて興味深かったです。ダンピングは初心者の私には難しかったのですが、徹底してするよりはあのぐらいがちょうど良かったなと思います。来年もぜひ!楽しみにしています。
(大阪 Nさん)

密度の濃い有意義なレッスンで、あっという間に楽しい時間が過ぎました。レパートリーがひとつでもふえたことが嬉しいです。  
(京都 Iさん)

おととし、去年に比べ、レベルアップした内容で、とても充実していました。特に、みんなで一緒に演奏したのが印象に残っています。自分の音が、全体の音の中に浸っている心地よさを感じました。アカデミックな話も聞けて、刺激を受けました。
(神奈川 Yさん)










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【講師】
寺本圭佑(てらもとけいすけ)
京都市生まれ。横浜市在住。15歳から雨田光示氏にハープを師事。坂上真清氏からネオ・アイリッシュ・ハープを学ぶ。シボーン・アームストロング、アン・ヘイマンらから金属弦ハープの手ほどきを受ける。音楽学を樋口隆一氏に師事し、演奏だけではなく資料研究の方面からアイリッシュ・ハープの歴史と真実を追求。18世紀以前のアイリッシュ・ハープの研究により芸術学博士(明治学院大学大学院)。19世紀末に伝統の途絶えた「金属弦アイリッシュ・ハープ」を専門とし、この楽器の魅力を伝えるため、全国の大学や学会等で演奏やレクチャーコンサート、ワークショップを展開。近年では、演奏と教育、教育だけでは飽き足らず、小型金属弦ハープの製作にも取り組んでいる。2015年にはドイツの古楽ハープ製作者エリック・クラインマン氏のワークショップでベーミッシュ・ハルフェ(ボヘミアン・ハープ)を製作、1450年築の木組みの家で演奏。2016年、平野神社から依頼を受け、京都の桜で制作した金属弦ハープを奉奏ののち奉納。その様子はNHK、京都新聞、毎日新聞等各メディアに取り上げられた。
2010-16、明治学院大学非常勤講師。